今回は、2017年の最新版として清涼飲料業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。
2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。
清涼飲料業界の基本情報
ミネラルウォーター、お茶、コーヒー、ジュース、炭酸飲料といった清涼飲料は、私たちの生活にすっかり浸透し、なくてはならない商品となっているのですが、
- 美味しくなければ選ばれない
- 一時期、流行ってもブームが過ぎ去ると選ばれない
- 他社からヒット作が出ると選ばれない
このように、生活に密着しているからこそ消費者の評価がシビアに反映されてしまう厳しい業界でもあります。
そのため、売上が安定していたとしても各社、あぐらをかくことなく、新製品・ヒット商品の開発・改良に余念がありません。
ここ近年、特定保健用食品(トクホ)飲料、野菜系飲料が、健康志向の消費者に強く支持されてきていたのですが、これらに続け! と大躍進を遂げてきたエナジードリンク類に暗雲が立ち込めています。
“カフェインを多量に含む眠気防止薬や「エナジードリンク」などの清涼飲料水の急性中毒で、平成23年度からの5年間に少なくとも101人が救急搬送され、7人が心停止となり、うち3人が死亡したことが13日、日本中毒学会の調査で分かった。”
このように「カフェイン中毒」について、どう対応していくのかが、各社の課題となっています。
そんな清涼飲料業界の市場規模は、一般社団法人 全国清涼飲料工業会(全清飲)の資料によると、2015年の総生産量が2047万キロリットル(500mlPET換算 約409億本)、生産者販売金額が3兆7005億円となっています。
また、清涼飲料業界の主要企業11社(後述)の社員の状況について、平均年齢は41.4歳、平均勤続年数は15年、そして、平均年収は778万円となっています。
清涼飲料業界 ~今後の展望~
清涼飲料業界の今後の展望として昨年お伝えしていたのが、『海外での事業展開』でした。
2017年版では新たに『各業界とのコラボレーション』に注目したいところです。
コカ・コーラは、おやつカンパニーとコラボし、炭酸飲料「ファンタ」フレーバーのベビースターラーメンを発売しています。
また、ファーストリテイリングのグループブランド「ジーユー」の10周年特別企画で、コカ・コーラのロゴを模したメンズ・ウィメンズのグラフィックTシャツ、バッグなど27種類が商品化されています。
サントリーは、ロッテとコラボし「デカビタC」のタブレット、「C.C.レモン」のグミ、「オランジーナ」のグミを発売しています。
また、キリンビバレッジとドトールコーヒーがコラボし、ドリップ製品の「午後の紅茶 THE DRIP TEA」を発売しています。
今後も、清涼飲料のブランド・バリューやフレーバーを活用した商品化の動きは続いていくものと考えられます。
清涼飲料業界の主要企業及び年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)
各社の年収一覧
- コカ・コーラボトラーズジャパン(今年、下記の東西2社の統合により誕生)
- コカ・コーライーストジャパン 591万円
- コカ・コーラウエスト 678万円
- サントリー食品インターナショナル 1014万円
- アサヒグループホールディングス 996万円
- 伊藤園 545万円
- キリンホールディングス 963万円
- 大塚ホールディングス 1078万円
- カゴメ 742万円
- サッポロホールディングス 819万円
- 不二家 473万円
- ダイドーグループホールディングス 656万円
清涼飲料業界主要企業11社(上記)の平均年収は、778万円でした。詳細は、下図を参照ください。
清涼飲料業界を代表する企業の基本情報
コカ・コーラボトラーズジャパン
コカ・コーラボトラーズジャパンは、今年4月の東西2社の経営統合により誕生し、世界屈指の巨大コカ・コーラボトラーとなりました。
“コカ・コーラウエストは30日、コカ・コーライーストジャパンとの経営統合でコカ・コーラボトラーズジャパンを発足すると発表した。
来年4月にはコカウエストを母体として、連結売上高1兆円を超す世界有数の巨大ボトラー(瓶詰会社)が九州に誕生する。本店所在地を福岡市に据える背景には、成長するアジア市場を取り込みに行く意図が透ける。”
引用:日本経済新聞 コカ・コーラ東西統合を発表 アジアに攻勢、九州から
コカ・コーラ東西統合を発表 アジアに攻勢、九州から - 日本経済新聞コカ・コーラウエストは30日、コカ・コーライーストジャパンとの経営統合でコカ・コーラボトラーズジャパンを発足すると発表し...
かつて、東のコカ・コーライーストジャパンは業界2位、西のコカ・コーラウエストは業界4位の売上高を誇っていました。コカ・コーラグループ全体の販売数は5億100万ケース、自動販売機は約98万台となっています。
主な製品はコカ・コーラ、アクエリアス、ジョージア、リアルゴールドなどです。
コカ・コーライーストジャパン
- 売上高:5724億9600万円
- 経常利益:179億2100万円
- 社員数:6995名
- 平均年齢:41.9歳
- 平均勤続年数:17.3年
- 平均年収:5,911,873円
コカ・コーラウエスト
- 売上高:4604億5500万円
- 経常利益:206億200万円
- 社員数:1635名
- 平均年齢:43.5歳
- 平均勤続年数:21.5年
- 平均年収:6,783,030円
サントリー食品インターナショナル
サントリーホールディングスの傘下企業であるサントリー食品インターナショナルは、2013年7月に東証一部上場を果たし、サントリーブランドのソフトドリンクの商品開発・マーケティング・国際事業を手掛けています。販売数は4億2570万ケースで、自動販売機は約47万台となっています。
販売・営業についてはサントリーフーズ及びサントリービバレッジソリューションに任せ、商品の製造についてはサントリープロダクツに委託しています。
群馬県にある榛名工場、埼玉県の羽生工場、東京都の多摩川工場、神奈川綾瀬工場、山梨県の天然水南アルプス白州工場、愛知県にある木曽川工場、京都府の宇治川工場、兵庫県の高砂工場、鳥取県の天然水奥大山ブナの森工場で製造されています。
主な製品は、ボス、伊右衛門、GREEN DA・KA・RA、ペプシ、C.C.レモンなどです。
基本情報
- 売上高:1兆4107億6500万円
- 経常利益:912億2400万円
- 社員数:482名
- 平均年齢:39.8歳
- 平均勤続年数:14.3年
- 平均年収:10,148,507円
アサヒグループホールディングス(飲料事業)
アサヒグループホールディングス(飲料事業)では、アサヒ飲料・カルピスが各種飲料の製造・販売を行い、アサヒ飲料販売などより仕入れた飲料を自動販売機にて販売しています。沖縄における販売はアサヒオリオン飲料が担い、エルビーはチルド飲料の製造・販売を行っています。
アサヒ飲料の販売数は2億4622万ケース、自動販売機の数は約28万7000台となっています。主な製品は、三ツ矢サイダー、ワンダ、十六茶、カルピスです。
基本情報
- 売上高:1兆8903億1000万円(うち飲料売上収益3639億500万円)
- 経常利益:1374億3000万円(うち飲料事業利益323億3500万円)
- 社員数:285名
- 平均年齢:42.2歳
- 平均勤続年数:13.7年
- 平均年収:9,961,548円
伊藤園
伊藤園は、飲料関連事業とともに茶葉関連事業も展開しており、緑茶、ウーロン茶、紅茶、麦茶、ほうじ茶などのリーフ商品の販売も行っています。
清涼飲料については、製品の企画・開発を行い、製造は外部委託し完成品を仕入れ販売しています。販売数は2億2530万ケース、自動販売機も約16万台です。
また、同社グループ企業には、乳類の処理加工販売及び発酵乳等の製造販売を行っているチチヤス、飲食店・フランチャイズ展開をしているタリーズコーヒージャパンがあります。
主な製品は、お~いお茶、充実野菜、TULLY’S COFFEE、TEAS’ TEAとなっています。
基本情報
- 売上高:4655億7900万円
- 経常利益:150億7400万円
- 社員数:5340名
- 平均年齢:36.7歳
- 平均勤続年数:13.1年
- 平均年収:5,454,000円
参考文献
- コカ・コーライーストジャパン株式会社第16期有価証券報告書
- コカ・コーラウエスト株式会社第59期有価証券報告書
- サントリー食品インターナショナル株式会社第8期有価証券報告書
- アサヒグループホールディングス株式会社第93期有価証券報告書
- 株式会社伊藤園第51期有価証券報告書
- 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社
転職・就職へのアドバイス
清涼飲料業界を志す方は、
- まずは自分自身がどのような役割を担いたいのか?
- そのためのスキルや経験は持っているのか?
を確認するところから入る必要があります。
清涼飲料業界の職種は、コカ・コーライーストジャパンのウェブサイトを参考にすると、
- 営業(飲食店・小売、チェーンストア、自動販売機)、営業推進、マーケティング
- 製造(ライン、品質管理)、物流、配送
- 財務、人事、調達、IT、広報、法務
などに分かれているようです。
製造に関しては主に理系出身者が、その他に関しては文系出身者が活躍できそうです。
人気企業・職種での転職・就職を望むのであれば、
- その企業ではどのような製品が取り扱われているのか?
- その職種ではどのような役割をもって、どのような作業を行っていくのか?
などの研究をしっかりと重ねて行っていきたいものです。
また、人気があるゆえに採用枠は争奪戦となりますので、ライバルに先を越されないよう常に情報のアンテナを張っておく必要があります。
そのために転職エージェントに複数登録してキャリアコンサルタントと日頃から仲良くしておき、情報を随時、得られるようにしておくといいでしょう。
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