今回は、2017年の最新版として医療機器業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

医療機器業界は、ほかの業界に比べると

  • 世界が舞台であること
  • 製品の分野や種類が多数あること

が大きな特徴です。それでは、詳しく見ていきます。

医療機器業界の基本情報

医療機器は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律によると、

「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。

となっています(第2条「定義」第4項)。

また、厚生労働省によって、GHTF で議論されているクラス分類ルールを踏まえて次のように分けられているようです。

  • 一般医療機器(クラスⅠ)
  • 管理医療機器(クラスⅡ)
  • 高度管理医療機器(クラスⅢ・Ⅳ)
  • 特定保守管理医療機器

※GHTF(Global Harmonization Task Force)は、患者の安全確保と安全性・有効性・臨床的に有益な医療技術を世界に提供することを目的とする医療機器規制国際整合化会議のことを指しています。

参考URL:Global Harmonization Task Force Conference

http://www.omc.co.jp/ghtf2012/japanese/about_j.html

では、具体的にはどのような医療機器があるのかについてもお伝えしておきます。

私たちの家庭にも常備されているような電子体温計、電子式血圧計、医療の現場に欠かせない聴診器やX線フィルム、病気を発見してくれる画像診断機器、電子内視鏡、命を救ってくれる放射線治療機器、体外式結石破砕装置、汎用輸液ポンプ、吸収性縫合糸、ステント、ペースメーカーも医療機器です。

昨年もお伝えしていたように、医療機器はその目的も用途も価格帯も本当に多岐にわたります。体温計をはじめ、その数は50~60万種類ともいわれているのです。

そのため、日経業界地図 2017年版を見ても、ほかの業界に比べると登場している企業数は多く、見開き2ページにぎっしりと掲載されています。

 

とはいえ、日本の医療機器業界各社は、世界的にはトップ10にもランクインできていないのが現状なのです。

といいますのも、ここは現代医療の原点でもある西洋医療を発展させてきたアメリカやドイツ、オランダ、スイスなどの企業がトップ・けん引役を担っているからです。

そのようななかでも、現在、30兆円ほどの世界市場のうち、約1割を日本が占めているといいますから、まずまず健闘しているといえるでしょう。

2014年(平成26年)の数値なのですが、日本国内の医療機器業界の市場規模は、過去最大の約2.8兆円で、医療機器業界大手5社(後述)の社員の状況は、平均年齢は41.1歳、平均勤続年数は16.2年、平均年収は814万円です。

 

医療機器業界 ~今後の展望~

医療機器業界の今後の展望を考えるうえで欠かせないのが『M&A』です。

パナソニックヘルスケアホールディングスは昨年、バイエル社(ドイツ)の糖尿病患者用血糖測定器などの事業を買収。東芝メディカルシステムズもキャノンが買収。2018年初頭を目処に新たな社名を「キヤノンメディカルシステムズ」に変更する予定です。

2017年5月には山下医科器械がトムスを約9億円で買収しており、今後もM&Aには注目していきたいところです。

 

医療機器業界の主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

各社の年収一覧

  • オリンパス(消化器内視鏡で世界シェア7割) 870万円
  • テルモ(血管内治療用カテーテル、ステントなど) 727万円
  • 富士フイルムホールディングス(X線撮影装置) 1070万円
  • ニプロ(注射針・カテーテルなど) 539万円
  • 日立製作所(超音波診断装置・CT・MRIなど) 868万円

医療機器業界の主要企業(上記)の平均年収 814万円

 

医療機器業界を代表する企業の基本情報

オリンパス(医療事業)

デジタルカメラで有名なオリンパスですが、意外なことに会社の売上は医療事業が大きく、およそ全体の売上の4分の3となっています。

なお、科学事業・映像事業は全体の4分の1にもおよびません。また、その売上のほとんどは海外からのもので日本国内では2割程度にとどまっています。

同社の公式サイトによると、1950年に世界初となる実用的な胃カメラを開発して以来、内視鏡技術の改良を進めてきたといいます。現在は、早期診断から低侵襲治療までを支えているそうです。

※低侵襲治療とは

九州大学病院先端医工学診療部のサイトによると“体に有害となる可能性のあるおせっかいとその程度”を医学用語で侵襲というそうです。それが低いわけですから体にやさしい治療だと言い換えることができそうです。さらに、同部の説明によると、その代表が内視鏡外科手術なのだそうです。

参考文献:九州大学病院 先端医工学診療部 低侵襲治療とは

http://www.camit.org/treatment/

基本情報

  • 売上高:8045億7800万円
  • 経常利益:908億9800万円
  • 社員数:19783名
  • 平均年齢:42.1歳
  • 平均勤続年数:13.4年
  • 平均年収:8,709,957円

 

テルモ

個人的にはテルモといえば体温計だとスグに連想できるほど、小さな頃から身近に感じている会社のひとつなのですが、同社の公式サイトによると、現在は心臓血管・ホスピタル・血液システムという3つのカンパニーを通じて事業活動を展開しているとのことです。

カテーテル、体外循環システムや人工血管、採血装置、血液自動製剤システム、遠心型血液成分分離装置、細胞増殖システムなどを世に送り出しているそうです。

特筆すべきは、日本国内の売上高は全体の売上の36%で、残りが海外となっています(2015年度)。このようにテルモは世界的企業だといえます。

基本情報

  • 売上高:5250億2600万円
  • 経常利益:730億9000万円
  • 社員数:20697名
  • 平均年齢:41.06歳
  • 平均勤続年数:18.0年
  • 平均年収:7,270,416円

 

富士フイルムホールディングス

昨年はニプロをご紹介していましたが、今年は富士フイルムホールディングスについて説明いたします。同社は、言わずと知れた日本を代表する写真フィルムの老舗メーカーであり、X線撮影装置に強みがあります。

デジタルカメラの普及から写真フィルムの需要減をいち早く見越し医療・素材・化粧品など新事業を生み出しては成功させたことでも有名です。

医療機器業界でも、こうして成果を上げている同社ですが、稼ぎ頭はオフィス用複写機・複合機の製造販売・関連サービス、コピー用紙や消耗品の販売といったドキュメントソリューション事業なのだそうです。

基本情報

  • 売上高:2兆4916億2400万円(うち、ヘルスケア4235億円)
  • 経常利益:1945億2900万円
  • 社員数:21424名(インフォメーション ソリューション)
  • 平均年齢:43.6歳
  • 平均勤続年数:19.1年
  • 平均年収:10,707,834円

 

参考文献

  • オリンパス株式会社第148期有価証券報告書
  • テルモ株式会社第101期有価証券報告書
  • 富士フイルムホールディングス株式会社第120期有価証券報告書
  • 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社

 

転職・就職へのアドバイス

ここまでお伝えしてきたように、これだけたくさんの企業が活躍している医療機器業界ですから、転職の門戸も広く開放されています。

また、医療機器業界は、今後も成長が十分に見込まれる業界だといえます。それは、

  • 長寿と高齢化社会の進行
  • 健康至上主義の世の中
  • 製品は医療現場必需品
  • 医療機器は常に進化

といった理由からです。この流れは国内だけにかぎったことではありません。

新興国でも医療はどんどん発展し、向上していきます。メイドインジャパンを求めている海外国に医療機器を送り出すことで各社、今後も市場を拡大していけるでしょう。

将来性のある業界で働きたい方にとっては、この上なく魅力的です。

転職時のノウハウは以下で纏めていますので、併せてごらん頂けますと幸いです。

そんな医療機器業界への就職や転職に向いている方は、メーカー・販売ともに業界未経験者であっても知識欲の強い方、すなわち新しい知識をどんどんと身につけていこうという意欲がある人です。

やはり戦力となりうる経験者を企業側が欲している場合であれば、医療機器のいろはを知っている方、基本的な営業スキルを習得済みの方は強いです。

最後に、医療機器業界は世界が舞台です。医療機器の知識や営業スキルを面接の際に自己PRしても、はっきりいって月並みです。これらに加えて英語力グローバルな視点での考え方を身に付けてアピールできるようにしておくと、ライバルに差をつけることができそうです。