今回は、2017年の最新版として点眼薬を製造する会社の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。
2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。
製薬(点眼薬)業界の基本情報
テレビだけではなく、タブレット、スマホ、パソコンなどによって、日常生活や仕事で、ブルーライトの影響を受け、目を酷使する環境に置かれることが多くなった現在、目の疲労を訴える方が増えています。
ブルーライトをカットするアイウェアとともに目薬が手放せない方も多いのではないでしょうか。私もSEという職業柄、目薬はよく点眼するほうだと思います。
点眼薬の種類
- 天然繊維
- 化学繊維(合成繊維)
まず、医療用眼科薬の種類ですが、日本眼科学会のサイトに以下のようなものがあります。
- 抗菌薬
- 抗ウイルス薬
- 抗真菌薬
- 抗炎症薬
- 抗アレルギー薬
- 副腎皮質ステロイド薬
- 角膜治療薬
- 緑内障治療薬
- 散瞳薬・調節麻痺薬
- 局所麻酔薬
- 抗白内障薬
- ビタミン剤
参考:日本眼科学会 日本眼科社会保険会議:眼科用剤一覧表(先発品・後発品)
http://www.nichigan.or.jp/member/syaho/ganyaku.jsp
緑内障治療薬、抗アレルギー薬などの特徴や詳細については2016年版にも記載をしていますので、こちらもご確認いただければ幸いです。
目薬の種類
- 一般点眼薬
- 抗菌性点眼薬
- 人工涙液
- コンタクトレンズ装着液
- 洗眼薬
参考:日経トレンディネット 細分化しすぎて選べない? 賢い目薬の選び方
http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20131113/1053478/
医療用眼科薬の市場規模
医療用眼科薬の市場規模は、昨年お伝えしていた数値が168億円で、前期比減となっていました。その理由は白内障などの手術後における投与期間が短縮されたからと説明していました。
製薬業界の動向・年収 2017年度大手企業の調査・比較でもお伝えしているのですが、政府はこれまで2年に1度だった「薬価改定」を2018年度から「毎年」行う方向で改革を進めています。
そのため、医療用眼科薬市場は、今後も現状維持もしくは徐々に縮小していくのではないかと考えています。
一般用医薬品(目薬)の市場規模
一方、一般用医薬品である目薬の市場規模は、株式会社矢野経済研究所によると、
“2015年の国内OTC市場(メーカー出荷金額ベース)を薬効別にみると、目薬が前年比11.8%増の485億円と 2 桁成長を達成した”
とあり、ここ近年、大きく成長していることがわかります。
引用:株式会社矢野経済研究所 プレスリリース
製薬(点眼薬)会社、大手9社(後述)の社員の状況ですが、平均年齢は41.8歳、平均勤続年数は15.5年、平均年収は783万円となっています。
製薬(点眼薬)会社 ~今後の展望~
昨年お伝えしていた製薬(点眼薬)会社の今後の動向を表すキーワードが『海外事業の拡大』でした。
とくにアジア地域で著しい成長がみられており、今後もさらなるグローバルな展開を強めていくとお伝えしていたのですが、その続編です。
日本経済新聞 ライオンがベトナム市場参入 まず目薬、都市部など8000店に
ライオンがベトナム市場参入 まず目薬、都市部など8000店に - 日本経済新聞ライオンはベトナム市場に参入する。9月中に「Eyemiru(アイミル)」ブランドの目薬や洗眼液を投入し、都市部の薬局を中...
このように、ライオンは、健康志向が高まり目薬市場の成長が続いているベトナムに進出します。「Eyemiru(アイミル)」というブランドの目薬や洗眼液を都市部中心に展開するそうです。メイドインジャパンの目薬は人気があり、今後、カンボジアへの進出も視野に入れているそうです。
また、新たなるトレンドとしては『キャラクターとのコラボレーション』が話題となっていますので、ご紹介します。
昔から、キャラクターとコラボした目薬の販売戦略はあったように思われますが、
参天製薬は、人気アニメ「ワンピース」とコラボした「サンテFXネオ ルフィモデル」「サンテFX Vプラス ローモデル」を発売しています。
また、ロート製薬は、人気ゲーム「ドラゴンクエスト」とコラボし、スライムをかたどった容器の「ロートジー スライム型目薬」を発売したのですが、反響が大きく、増産されるほどの話題となりました。
今後も、一般用医薬品である目薬の市場は拡大していく可能性が秘められており、各社の戦略に注目していきたいところです。
製薬(点眼薬)会社、主要企業及び年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)
2016年度版では「内資」「外資」系企業で区分してご紹介をしていますので、ぜひ参考にされてください。
各社の年収一覧
- 参天製薬 812万円
- ロート製薬 662万円
- ライオン 718万円
- 大正製薬ホールディングス 843万円
- 千寿製薬 673万円
- 佐藤製薬 773万円
- 田辺三菱製薬 901万円
- 久光製薬 646万円
- 武田薬品工業 1015万円
製薬(点眼薬)会社、大手9社(上記)の平均年収は783万円でした。詳細は下図を参照ください。
製薬(点眼薬)会社、代表する企業の基本情報
参天製薬
参天製薬は、いずれも国内ですが、医療用眼科薬においてはトップシェア、一般用医薬品(目薬)市場も2位で上位クラスの企業です。
サンテメディカル、サンテ40、サンテFX、サンテPC、サンテドウ、ソフトサンティア、こどもサンテなどを展開しています。
- 売上収益:1990億9600万円
- 税引前当期利益:318億2200万円
- 社員数:1844名
- 平均年齢:42歳
- 平均勤続年数:15.5年
- 平均年収:8,125,000円
ロート製薬
昨年もお伝えしているとおり、ロート製薬は、一般用医薬品(目薬)市場でトップシェアを誇っています。
Vロート、アルガード、デジアイ、新V・ロート、リセ、ロートジー、Cキューブなどを展開しています。
- 売上高:1545億9900万円
- 経常利益:159億6400万円
- 社員数:1562名
- 平均年齢:39.6歳
- 平均勤続年数:11.5年
- 平均年収:6,627,000円
ライオン
スマイル40にスマイルコンタクトなど、スマイルブランドの目薬を展開しているのは、実をいいますと洗剤や石けん、デンタルケア用品のイメージが強いあのライオンです。
同社は、世界の代表的な社会的責任投資(SRI)指標のひとつである「Dow Jones Sustainability Index (DJSI)」のアジア・太平洋地域「Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index (DJSI Asia Pacific)」の構成銘柄に選定されています。
- 売上高:3956億600万円
- 経常利益:262億9000万円
- 社員数:2510名
- 平均年齢:43.4歳
- 平均勤続年数:19.8年
- 平均年収:7,183,866円
参考文献
- 参天製薬株式会社第105期有価証券報告書
- ロート製薬株式会社第81期有価証券報告書
- ライオン株式会社第156期有価証券報告書
転職・就職へのアドバイス
今回、点眼薬・目薬に特化しましたが、製薬業界であることに変わりありません。
点眼薬をメインにしている製薬会社への転職・就職を考えている方の主な進路としては、
- MR職(医薬情報担当者、メディカル・リプレゼンタティブ)
- 営業職(海外事業スタッフ)
- 技術職(研究、臨床開発、品質管理)
があります。
MR職は、眼科などの医療機関、施設などを巡回し、眼科医などに点眼薬の有用性や安全性などの情報を提供する仕事になりますが、医師や顧客のニーズを的確に把握し、必要な情報を社内の技術部門に伝えることも重要な役割です。
医療関係者とのコミュニケーションは必須であり、点眼薬の特徴や薬効、使用法などをシンプルかつ論理的に伝える能力も求められています。
海外事業スタッフを希望される方は、英語力があると高く評価されます。また、ここ近年、アジア地域への進出が増えてきていることから、中国語、ベトナム語、タイ語、フィリピン語、カンボジア語といった第二外国語にも精通していると、自身の強みとなります。
もちろん、製薬会社での勤務経験がある方は、即戦力として、転職サイトを通じてスカウトメールが各社から届くこともありそうです。
また、海外企業との取引経験は、海外展開中もしくは海外市場進出を視野に入れている企業が、その経験を高く評価するため、有利に働きます。
海外勤務に就きたい方は、今働いている会社に海外事業部や海外との取引を行う部署があれば、積極的に異動願を出して、実績を積めるよう働きかけてみられてください。
技術職は、研究・臨床開発などを行います。理系の学部(化学・物質工学系、薬学系)を専攻し、修士、学士として、基礎的な知識や技術を習得する・していることが求められています。技術職は未経験者よりも経験者のほうが優遇される傾向が強いといえます。
全職種共通ですが、面接では新天地として点眼薬市場を志望した理由や、これまでの経験をどのように活かして会社に貢献していきたいのか、伝えられるように準備しておくことが大事です。
ここからは、参天製薬のキャリア採用ページを参考にお伝えいたしますが、同社では、
- 営業・マーケティング
- 研究・開発
- 品質・信頼性保証
- 企画・管理
というくくりで採用情報が掲載されています。同ページを見た印象ですが、適材適所で細かく分業されている感じがしました。
ゼネラリストよりも「スペシャリスト」が国内眼科市場では活躍できるのかもしれません。
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