私たちの知識・娯楽ツールとなっているのはインターネットだけではありません。本や雑誌を活用されている方も多いのではないでしょうか。

今回は、出版業界の基本情報、今後の展望、年収、転職・就職のアドバイスをお伝えいたします。

この記事でわかること

  • 出版業界を支える3つの業態
  • 出版業界の基本情報
  • 出版社の職種
  • 大手4出版社が求める人材像

出版業界の基本情報

日本の出版業界は主に、

  • 本や雑誌を企画・発行し、世に送り出している出版社(カドカワ、集英社、講談社など)
  • 出版社から本や雑誌を書店に配送する取次(日本出版販売、トーハン、大阪屋栗田など)
  • 本や雑誌を私たちに販売する書店(紀伊國屋書店、丸善、蔦屋書店など)

が支えています。周辺・隣接業界としては、製紙業界、印刷業界、流通業界があります。しかし、取次については、これまでの商慣習を覆す事態が発生しています。

 

取次は大丈夫?Amazonが大手取次との取引を打ち切り

出版社が発行する本や雑誌は、取次を介し書店の店頭に並ぶようになっており、それが長く続けられてきた日本出版業界の商慣習でした。

ところが、ご存じのとおり、今では通販会社がインターネットなどで本を販売するようになり、書店に足を運ばずとも自宅にいながら購入できるようになりました。本が届くのを待つだけです。

しかし、大手Amazonといえど、当初は取次なしに本を販売することは困難でした。しかし、2015年からKADOKAWAと直接取引を始めています。2017年には日本出版販売と在庫のない書籍についての取引を打ち切っています。

同社は2018年2月1日に本を印刷会社から直接取り寄せるようにしたと発表しており、出版社に注文した雑誌などは印刷工場から自社倉庫に仕入れるとのことです。

書店やコンビニなどが、この状況をどうとらえるかで、取次の今後のあり方が変わってくるといえそうです。

 

電子書籍市場の発展で紙の本や雑誌は?

パソコンやスマホの画面で気軽に読める電子書籍が、市場として成立、発展しています。

電子書籍専門の取次(メディアドゥ)、電子書籍を販売する電子書店(紀伊國屋書店のKinoppy、丸善のhonto、Kindleストア、iBooks、Google playなど)も順調です。

紙には紙の良さ、電子には電子の良さがあります。また、電子書籍化のコストはまだまだ高価ですので、今後も電子は紙にとって代わることはまずなく、共存していくものと思われます。

出版業界の市場規模は、紙・電子で1兆6618億円となっています。

 

出版業界 ~今後の展望~

出版業界の今後のカギを握るキーワードは、『クラウドファンディング』です。

クラウドファンディング

本を出版するには、資金が必要です。もし本が売れなければ、資金は回収できず、出版社に多大な損害を与えてしまうおそれがあります。

そのため出版社の社員は、著名作家、流行になっているテーマなど確実に売れる企画を立て、資金投入しても回収できる見込みがある本や雑誌を仕掛ける必要があります。

しかし、クラウドファンディングで事前に「その本を読みたい・買いたい」という方から資金を募ることができるようになりました。

にしのあきひろさんの『えんとつ町のプペル』はクラウドファンディングで生まれた作品として有名です。

昨年、出版社の幻冬舎とクラウドファンディングサービス会社のCAMPFIREは、共同出資で新会社を設立すると発表しました。そこで「クラウドパブリッシングプログラム」というオープンな出版を目指すプラットフォームを提供するとしています。

クラウドファンディングによる自費出版が増えるのは、出版社にとっては、業界が活気づくというメリットと、競合が増えるというデメリットがあります。各社、この流れにどう対応するのか今後の動向に注目です。

 

出版業界主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

  • カドカワ 804万円
  • 集英社
  • 講談社
  • 小学館
  • 日本出版販売 609万円
  • トーハン 561万円
  • 大阪屋栗田
  • 紀伊国屋書店
  • 丸善CHIホールディングス 478万円
  • CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ

 

 

業界を代表する企業の基本情報

カドカワ

カドカワは出版総合大手のひとつです。書籍ブランドには、角川書店、アスキー・メディアワークス、メディアファクトリーなどがあります。前述したとおり、Amazonとの直接取引を行っています。

グループ会社に、DWANGO、KADOKAWA。その連結子会社には、角川ゲームス、角川大映スタジオ、関連会社にはCS放送チャンネルを展開する日本映画放送があります。

基本情報

  • 売上高:2057億1700万円
  • 経常利益:74億700万円
  • 社員数:1588名(出版事業)
  • 平均年齢:41.3歳
  • 平均勤続年数:2.2年
  • 平均年収:8,047,000円

 

日本出版販売

全国約5,000の書店と、3万を超えるコンビニに本を届けている取次大手です。

書店での読み聞かせ会「おはなしマラソン」も行っています。グループ書店としてリブロ、積文館書店、オリオン書房などがあります。

基本情報

  • 売上高:6244億2200万円
  • 経常利益:24億900万円
  • 社員数:2780名(出版物等販売事業)
  • 平均年齢:40.8歳
  • 平均勤続年数:18.1年
  • 平均年収:6,098,183円

 

CCC カルチュア・コンビニエンス・クラブ

出版業界の中でも、おもしろい取り組みをどんどん取り入れているのがTSUTAYA、蔦屋書店などを展開するCCC カルチュア・コンビニエンス・クラブです。

Tポイントカードだけではなく、武雄市図書館TSUTAYA BOOK APARTMENTなどの運営も手がけています。

基本情報

  • 有価証券報告書なし

 

参考文献

  • カドカワ株式会社第3期有価証券報告書
  • 日本出版販売株式会社第69期有価証券報告書
  • 日経業界地図2018年版 日本経済新聞出版社
  • 会社四季報業界地図2018年版 東洋経済新報社

 

転職・就職のアドバイス

出版社の職種別解説

出版業界の要、出版社の職種は、集英社の採用情報を元にお伝えしますと、

  • 編集
  • デジタル・通販
  • 版権
  • 営業
  • 管理

 

に分かれています。

ただし、部門別採用ではなく一括採用で、入社後の研修などを経てから適材適所の配属となるようです。

編集(コミック誌)

作品について作家さんと打合せ、原稿の受け取り、入稿、校了作業のほか、新人作家発掘及び育成、担当作家スケジュール管理に取材手配、読者イベント、作品のアニメ化・映像化、キャラクターグッズ監修など作品に関する業務を多岐にわたり行います。

編集(ファッション誌)

企画や交渉、取材、撮影、入稿、校了作業のほか、モデルやカメラマンの手配、スタイリストとのコーディネートチェック、誌面レイアウトをデザイナーとともに作成するなどの幅広い業務を行います。

デジタル・通販

電子書籍、通販サイト、各種デジタルコンテンツビジネスに関する業務全般を担います。

版権

書籍、コミックが映画・テレビドラマ化するときなど、作者から委託された権利をもとに、契約や出資の交渉などを行います。

これが版権の業務です。

海外で出版する際のライセンス関連業務も行います。

営業

マーケティングなどを行い、販売計画を立てたり、発行部数を決めたりするのは営業の役割です。

書店に出向き情報提供するほか、テレビやラジオへの媒体広告の出稿、読者イベント・キャンペーンなどの販売促進も手がけます。

管理

経理、総務、法務、人事といった企業の管理部門となります。

 

出版社が求める人材像

経営理念、社長・採用メッセージから

カドカワ 変化を恐れずに挑戦し続ける心を持つ人
集英社 モノ作りを楽しめる、作品を世に広めたいという熱い気持ちがある人
講談社 おもしろくて、ためになることを送り出したい人
小学館 人の心に良い方向を生み出す小さな種子をまくことができる人

ではないかと考えます。

エントリーシートや履歴書、面接において、求める人材像に自分が合致していることや情熱とやる気があることを積極的にアピールしましょう。

転職組。とくに他の業界から出版業界への転身を果たしたい方は、これまで在籍していた業界や職種の知識や経験をどう活かせるのか考え、転職活動を展開していく必要があります。

転職エージェントに登録し、キャリアコンサルタントの知恵を借りながら、二人三脚で進めていくのが早道と考えます。