今回は、2017年の最新版として化粧品業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

化粧品業界の基本情報

基本的に毎日、メイクアップをして外出する女性にとっては、化粧品は生活必需品です。

また、「美容男子」「肌男」という男性の美意識を象徴するような言葉が流行るほど男性化粧品も市民権を得てきています。

そのため、化粧品は生活上、必要なモノとして売れ続けています。好景気のときは高額化粧品が、不景気の時は低価格の化粧品が頻繁に売れているそうで、景気に左右されることなく売上を伸ばすことができる業界であることも大きな特徴です。

 

化粧品にはどのようなものがあり、何が売れているのか?

化粧品といえば、口紅やファンデーションなどメイクアップ関連商品をイメージしやすいのですが、構成比を見てみますと、スキンケアが46.8%、メイクアップが20.1%、ヘアケアが27.1%、フレグランスが0.3%となっています。

実を言うと洗顔・クレンジング、化粧水、乳液・クリーム、美容液といったスキンケア商品が化粧品業界の主力商品となっています。

 

化粧品はどこでどのように販売されているのか?

化粧品の販売形態は、大きく2つに分かれます。それは、美容部員による販売とセルフ販売です。

前者は百貨店専門店の化粧品コーナーで化粧品専門販売員が対面して販売するものです。ポーラやメナードといった訪問による販売もそうです。対して、後者は自分で選んで買い物をするものです。

今は女性誌やインターネットなどでメイク術や商品知識を豊富に手に入れることができるため、自分で調べて選んで買う方が多くなってきたといえます。

 

セルフ販売の立役者といえるのが、ドラッグストアです。そのほかホームセンターディスカウントストア、プラザを代表とするバラエティストア、そしてコンビニエンスストアと化粧品の販売チャネルは以前に比べると確実に増えています。

どの業界でもいえることなのですが、各社、できることであれば定価販売で収益をあげたいところでしょう。

そのため基本的に安売りはしない「バラエティストア」での展開を積極的に行い、ドラッグストアには置かないようにしている化粧品メーカーも存在します。

 

ここまで店頭販売についてみてきましたが、インターネットが普及した現在、その存在を忘れてはならないのが通販です。代表的な企業としては通販大手のDHC、ファンケル、シーズ・ホールディングスなどがあります。

ちなみに前出のDHCの社名は大日本翻訳センターの略なのですが、昨年もお伝えしていたように異業種からの参入が活発なのが化粧品業界です。

昨年は、東証一部上場の建材メーカーである岡部がエイジングケア化粧品を発売し新規参入を果たしています。

化粧品業界の市場規模は、2016年出荷金額で見ると1兆5236億円となっています。

また、化粧品業界大手5社(後述)の社員の状況を見てみますと、平均勤続年数は15.3年、平均年齢は41.8歳、平均年収は789万円となっています。

 

化粧品業界 ~今後の展望~

昨年お伝えしていた『海外展開』に加え、化粧品業界の今後の動向のカギとなるのは『インバウンド対策』です。

昨年の夏、爆買いの対象商品が家電から化粧品・香水に変わったというニュースが報じられていました。

とくにスキンケア製品は、日本の優秀な皮膚科学研究成果が反映されており安全・安心なメイドインジャパンという付加価値で人気が高いようです。

“中国人観光客の爆買い商品と言えば、炊飯器などの電気製品やブランドバッグ・時計などの高級品が定番だったが、化粧品や医薬品などへ移行している。”

引用:Bloomberg 「爆買い」は家電より化粧品・香水に-訪日中国人の消費動向に変化

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2016-08-22/OCAALH6KLVR801

 

デパート(百貨店)業界の2017年版でもお伝えしていたのですが、落ち着いた感があった爆買いも今年の春節で百貨店の免税売上高は過去最高になり、また、2017年4月、高島屋新宿店は化粧品の品揃えを強化した空港型免税店を開業しています。

デパート・コンビニエンスストア・ドラッグストアともに免税店事業に力を入れ出しており、今度は国内における外国人訪日客に向けた販売戦略も求められていくでしょう。

 

化粧品業界の主要企業及び年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

各社の年収一覧

  • 資生堂 717万円
  • 花王(ビューティケア事業) 798万円
  • ポーラ・オルビスホールディングス 805万円
  • コーセー 814万円
  • マンダム 811万円

化粧品業界の主要企業5社(上記)の平均年収 789万円

 

【参考】その他の化粧品業界企業

ノエビアホールディングス、DHC、ファンケル、シーズ・ホールディングス(旧ドクターシーラボ)、日本ロレアル、ELGC、日本メナード化粧品、エイボン・プロダクツ、ミルボン、ナリス化粧品など

 

化粧品業界を代表する企業の基本情報

資生堂

世界シェア第5位、国内首位の化粧品メーカー、資生堂。代表ブランドは、エリクシール、マキアージュ、ベネフィーク、HAKU、プリオールなどで、アウトオブブランドにはアユーラ、イプサ、ナーズなどがあります。

ここ1年の動向としては、Shiseido Americas Corporationがローラ メルシエを買収・取得し、2017年4月からローラ メルシエの日本代理店事業をスタートさせています。

基本情報

  • 売上高:8503億600万円
  • 経常利益:367億8000万円
  • 社員数:2811名
  • 平均年齢:41.4歳
  • 平均勤続年数:17.3年
  • 平均年収:7,177,618円

 

花王(ビューティーケア事業)

花王グループは、化粧品やスキンケア、ヘアケアなどの「ビューティケア事業」のほか、ヒューマンヘルスケア事業、ファブリック&ホームケア事業、ケミカル事業を展開しています。

ビューティケア事業におけるブランドは、ソフィーナ、カネボウ、ビオレなどです。ソフィーナは日本・中国・香港・台湾で展開。カネボウは2006年より花王グループ入りし、日本・中国・台湾・韓国・タイ・マレーシア・ロシア・ドイツ・スイス・イタリアと幅広く展開しています。

基本情報

  • 売上高:1兆4572億1800万円(日本基準)
  • 経常利益:1787億2800万円
  • 社員数:17771名(ビューティケア事業)
  • 平均年齢:41.4歳
  • 平均勤続年数:18.1年
  • 平均年収:7,984,000円

 

 

ポーラ・オルビスホールディングス

鈴木忍が静岡で創業し、のちにポーラ化成工業・ポーラ化粧品本舗と法人化、2006年にオルビスとともに持株会社体制へと移行し、同社が設立されました。訪問販売に強みがあります。

ポーラは本格的なエステとカウンセリング、化粧品販売を融合した路面店「ポーラ ザ ビューティー」を展開。オルビスはスキンケア商品とネット上でのコミュニケーションの強化、サービス品質の向上といった取り組みを行っています。

基本情報

  • 売上高:2184億8200万円
  • 経常利益:271億9100万円
  • 社員数:3314名
  • 平均年齢:41.4歳
  • 平均勤続年数:4.0年
  • 平均年収:8,059,337円

 

参考文献

  • 株式会社資生堂第117期有価証券報告書
  • 花王株式会社第111期有価証券報告書
  • 株式会社ポーラ・オルビスホールディングス第11期有価証券報告書
  • 会社四季報2017年2集春号 東洋経済新報社
  • 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社
  • 図解入門業界研究 最新化粧品業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第4版] 梅本博史著 秀和システム

 

転職・就職へのアドバイス

化粧品業界で働く場合、次のとおり、大きく分けて3つの役割があると考えます。

  • つくる人(商品開発・研究・生産)
  • 広める人(マーケティング・宣伝販促・広報)
  • 売る人(教育担当社員・営業担当社員・美容部員)

商品開発は、化粧品のコンセプトを提案し、最終的に他部門と調整を行い商品完成へと導く役割の人です。そのため最新技術や市場動向、競合他社にも目を光らせる必要があります。

  • 情報収集が得意
  • ニーズを把握・分析できる
  • 連絡調整業務が苦にならない

人が向いています。

研究・生産は、商品の品質を下支えし、人々をキレイに輝かせていく仕事なのですが、勤務は研究所や工場で地道な仕事です。理系職となりますが、専門的な知識と経験があれば希望する業務に就くことができるでしょう。

マーケティングは販売計画・戦略を司り、宣伝販促・広報は、自社の商品がどんなに魅力的なものであるかを伝えていく仕事です。他業界からも転身しやすい職業でもあります。IT関係、デザインや消費者行動など経済学を学んできた方も、これまで習得してきた知識を活かせます。

私たちが想像もしない形でスキルマッチすることがありますので、転職エージェントに聞いてみると良いでしょう。

教育担当社員・営業担当社員・美容部員には即戦力が求められます。経験者は優遇されやすいといえます。とくに美容部員は結婚や出産などで退職・休職する割合が高く欠員補充で中途入社を果たしやすいです。

 

ただし、美容部員は極端な話、現場に立った瞬間からお客様に合った商品を提案できなければなりません。そのため、どの職種にもいえることですが、ブランドや商品に心から惚れこみ、良いモノを広めていくんだというマインドも求められるといえます。

遅くとも面接の前日までに、企業情報、商品やブランドの知識を頭に入れておくと有利でしょう。

また、昨年同様のアドバイスとなりますが、経験者の方は、以前の職場でどんな業務に携わり、どんな実績があるのかを、具体的に伝えることができるように準備しておくようにしましょう。