家電量販店業界の今後の動向・年収・大手企業の調査・比較【2017年度】

業界研究

今回は、2017年の最新版として家電量販店業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

家電量販店業界の動向・年収 2016年度大手企業の調査・比較
駅前や郊外など、様々な場所にある家電量販店。 みなさんの近所にも、町の電気屋さんがあるかと思いますが、ほとんどの方は家電...

家電量販店業界の基本情報

家電購入先は、昔は家の近所にあった町の電気屋さんが主流でしたが、今は駅前や大型駐車場のある郊外の「家電量販店」に買いに行くことが多いのではないでしょうか。

エアコンから液晶テレビまでなんでも揃う家電量販店。それぞれ、以下のようなものがあります。

駅前型店舗中心の家電量販店

ビックカメラ、ヨドバシカメラなど

郊外型店舗中心の家電量販店

ヤマダ電機、エディオン、ケーズホールディングス、コジマなど

多くの人に愛され親しまれてきた家電量販店は、

  • ポイントカード
  • 他店対抗価格
  • アウトレット

とさまざまな文化も生み出してきました。

家電量販店がここまで大きく進化してきた理由は、やはり、

  • 商品が安く手に入る
  • 商品が豊富に揃っていて選べる

といった家電量販店側の企業努力だけではなく、

  • 毎年、1~2回、新モデルが発売される
  • 電化製品が改良され日々進化している

といった家電メーカー側の企業努力も合わさっての結果だといえます。

ここ数年の業界をめぐる状況や経緯については、2016年版に詳しく掲載していますので、ぜひ参照ください。

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家電量販店の周辺業界としては、

  • 家電メーカー
  • 住宅・リフォーム

などが挙げられます。そして、もうひとつ忘れてはならないのが…

インターネット通販

です。

インターネット上では実店舗を用意する必要もなく販売員などの人材配置も不要です。そのため安価での販売が可能で、Amazonといった超大型ショッピングサイト運営企業やジャパネットたかたといった大手通販企業のほか、中小のインターネット販売事業者も無数に存在し、これらは家電量販店にとっては脅威だといえます。

現在、家電量販店各社も実店舗での販売だけではなくオンライン販売にも力を入れていますが、即日配達、店舗受け取り、クーポン配布などを積極的に行い、顧客・売上確保のために非常に苦戦している状況だといえます。

そんな家電量販店業界の市場規模は、経済産業省の平成28年商業動態統計年報によると、4兆1830億円(家電大型専門店の年間販売額)で、前年比マイナス1.5%と2年連続で減少しています。

非上場企業で有価証券報告書を公表していないヨドバシカメラをのぞく家電量販店主要企業9社(後述)の社員の状況については、平均年齢38歳、平均勤続年数13.1年、平均年収467万円となっています。

 

家電量販店業界 ~今後の展望~

2016年版では、『店舗の大型化』『ネット通販との競争力強化』『業界再編』の3つを挙げていました。

家電量販店の今後の展望のポイントとして、新たにお伝えしておきたいのが『異業種への参入』です。

ネット上には、家電量販店の7割が「リフォーム業界」に参入をしているという記事もありますが、その先駆けでもあり、代表的企業として知られるのが業界最大手ヤマダ電機です。

2011年に中堅住宅メーカー、エス・バイ・エルを、2012年にハウステックを子会社化しています。さらに関連して今年、金融(住宅ローンとリフォームローン)事業に参入したのも記憶に新しいところです。

 

また、同社は、創業地の群馬県前橋市に家具・雑貨を扱う「インテリアリフォームYAMADA前橋店」をオープンさせています。

話は変わりますが、業界3位のエディオンは、「エディオンハウジング」を立ち上げ、不動産売買仲介事業に進出しています。

今後も家電量販店各社が経営・店舗運営のノウハウをそのままに、ブランド力を駆使し商材を変えて多角化に乗り出す可能性は大いにあるでしょう。

 

家電量販店業界の主要企業及び年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

各社の年収一覧

  • ヤマダ電機 424万円
  • ビックカメラ 464万円
  • エディオン 520万円
  • ケーズホールディングス 498万円
  • 上新電機 579万円
  • コジマ 414万円
  • ノジマ 413万円
  • ベスト電器 449万円
  • キタムラ 442万円
  • ヨドバシカメラ

家電量販店9社(上記)の平均年収は467万円でした。詳細は、下図を参照ください。

 

家電量販店業界を代表する企業の基本情報

【ヤマダ電機】

業界のリーディングカンパニーとして唯一、売上高1兆円企業となっているのがヤマダ電機です。2012年には主に九州地方に拠点を置くベスト電器を買収しています。

基本情報

  • 売上高:1兆5630億5600万円
  • 経常利益:660億4000万円
  • 店舗数:単体直営648店舗
  • 社員数:10568名
  • 平均年齢:36.6歳
  • 平均勤続年数:10.9年
  • 平均年収:4,249,554円

 

【ビックカメラ】

2012年にコジマを買収して業界2位に浮上したビックカメラ。都市型×駅前×大型の店舗業態で北は北海道から南は鹿児島まで展開してきました。

アパレル業界大手のユニクロとタッグを組み「ビックロ」という共同店舗を出店したり、キーコーヒーのカフェブランド「キーズカフェ」を一部店舗に導入したりするなど集客向上のため新しい試みに取り組んでいます。

基本情報

  • 売上高:7790億8100万円
  • 経常利益:230億6700万円
  • 店舗数:単体直営35店舗
  • 社員数:4228名
  • 平均年齢:33.1歳
  • 平均勤続年数:9.8年
  • 平均年収:4,647,800円

 

【エディオン】

2012年に「イシマル」「エイデン」「ミドリ」「デオデオ」を「エディオン」ブランドに統一した同社は、業界3位の売上高を誇っています。

リフォーム事業も展開しており、LIXILグループと資本業務提携しているほか、家電量販店では最初にTポイントサービスを開始しています。

基本情報

  • 売上高:6744億2600万円
  • 経常利益:160億500万円
  • 店舗数:単体直営347店舗
  • 社員数:7116名
  • 平均年齢:41.2歳
  • 平均勤続年数:16.6年
  • 平均年収:5,202,000円

 

参考文献

  • 株式会社ヤマダ電機第40期有価証券報告書
  • 株式会社ビックカメラ第36期有価証券報告書
  • 株式会社エディオン第16期有価証券報告書

転職・就職へのアドバイス

家電量販店で働くのであれば、メインは家電量販店の販売員(店舗スタッフ)ということになります。

家電量販店、百貨店、ドラッグストア、コンビニエンスストアも同様なのですが、接客業の宿命として受け容れなければならないのが土日祝日は原則勤務、平日に休みをとることになります。

駅前や人口が多いエリアの家電量販店となると、常に来客が多く、とくに土日祝日はメーカーからの応援、派遣会社から用意されたスタッフも投入されるほど対応に追われ忙しくなります。

接客では、商品説明、在庫確認、商品運搬、各種申し込み(工事や設置、プロバイダ加入、ポイントカードやクレジットカード)、レジ対応など複数のタスクを要求されます。同時に複数のことを素早くこなすことがあまり得意ではない方は、うまく乗り切っていけるようにあらかじめ訓練が必要です。

逆に、郊外、人口が少ないエリアの家電量販店となれば、土日祝日はそれなりに忙しいものの平日は閑散としてしまいます。マイペースで仕事を行いたい方には向いていますが、バリバリと働きたい、とにかく動き回りたいという方は、何か物足りなさを感じるかもしれません。

家電量販店に昔、勤めていたことがある知人に聞いた話ですが、販売員は商品カテゴリによって次のようなチーム・担当に分けられていて、

  • 白物 (冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)
  • 黒物 (テレビ、DVDプレーヤー、オーディオなど)
  • PC (パソコン、サプライなど)

料理が好きだから冷蔵庫、音楽が好きだからオーディオという理由だけでは、希望の担当に就くことはむずかしいようです。

例えば、白物家電メーカーに在籍していた、音響スタッフの仕事をしていた、IT関連企業でSEとして勤務していたなど専門的な知識を有していれば、希望通りの担当に就ける可能性はグッと高まります。

ちなみに私はIT関連企業で働いていた過去がありますが、以下の記事で解説しています。

心機一転、新しいことにチャレンジしようとし、接客の仕事に挑戦したいと思い、今、この記事を読んでいただいている方には水を差すようで申し訳ないのですが、接客の仕事として、まずは家電量販店をと考えている方は相当な覚悟が必要であるということを申し添えておきます。

 

家電量販店の販売員は、売り場に立ったその日から戦力として働かなくてはなりません。

新人ゆえに商品について上手く説明ができず、タスクを丁寧に行えず、スマートな接客ができず、意図せずトラブルやクレームに発展することは十分ありえます。

しかし、頻繁に起こってしまうと販売員には向かないと判断され、入社早々、商品管理(バックヤード)などに配置転換され、本来、やりたかった仕事ができず、ミスマッチを起こすおそれも十分あります。

そうならないよう、

  • 内定を獲得したら入社日まで時間を惜しまず商品について勉強し知識を身につける
  • 日頃から複数のタスクを丁寧に素早く行う訓練を心がける
  • 販売士の資格を取得し、接客・販売のスキルを対外的に証明できるようにする
  • 本やネットで心理学などを研究し顧客への提案の仕方を学ぶ
  • 忙しい家電量販店に足を運び実際に販売員の動きや商品説明をチェックし真似てみる

などの対策を講じる必要があります。

また、家電量販店は外食チェーンと肩を並べてブラックな業界であると噂されていることは心得ておく必要があります。

それでも、家電が好き、人が好きだから働いてみたいという方には天職だといえます。

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