今回は、2017年の最新版として建設業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

建設業界は、昨年お伝えしていたように、20年以上の建設不況を乗り超え、ようやく明るい兆しが見えはじめ、今後の景況予測は良好だといえる業界です。

  • 東京オリンピック(2020年)
  • リニア中央新幹線
  • 東日本大震災の復興

これらに関連した建設と整備で、建設業界は各社、大規模な事業にも着手している状況です。

建設業界の基本情報

建設業界では、各社、全国の道路や港湾、ダムなどの建設や改修といった大規模な公共事業から、民間のマンションやビルの建設事業などを受注しています。

建設業界の特徴

  • 売上高が1兆円を超すスーパーゼネコン(5社)
  • 全国展開している大手ゼネコン(50社ほど)
  • 地方ゼネコン(約2万2,000社)
  • 施工実績のある業者(20万社近く)

というピラミッド構造が形成されています。

スーパーゼネコンは、鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組、竹中工務店の5社となっています。

建設業界では、建設工事において、元請け、下請け、さらに下請けというかたちで請負契約を行っていきます。そのため、大手企業が施工する工事現場でも、中小企業の建設作業員が工事に従事しています。

 

とくに、下請けは不当な工期や請負代金を元請けなどから強いられないよう、国は「駆け込みホットライン」を設置するなどし、建設業法が遵守されているかを監視しています。

これは、コスト削減により、工事が安全に行われなくなるだけではなく、安い資材や突貫工事によって地震や災害に弱い建物が建てられるのを防ぐためでもあるのです。

そんな建設業界と深い関係のある4つの周辺業界についても言及しておきます。

 

周辺業界には、大和ハウス工業、積水ハウス、分譲大手の飯田グループホールディングスなどがけん引する戸建て住宅業界、三協立山、文化シャッター、TOTOなどが支えている住設機器業界、大建工業率いる建材業界があります。

そして、既存住宅の老朽化に伴い、ゆるやかに市場拡大しているのがリフォーム業界で、ヤマダ電機、エディオン、ニトリホールディングスなど小売業界からの参入企業が目立ちます。

建設業界の市場規模は、一般社団法人日本建設業連合会の日建連会員96社対象調査資料によると2016年度の発注総額は15兆2094億5800万円で、スーパーゼネコン5社の社員の状況を見てみますと、平均年齢は43.3歳、平均勤続年数は18.2年、平均年収は917万円となっています。

 

建設業界における課題

業界全体の課題としては、若者の建設就労離れが進行していることです。

安全・衛生に配慮をしていたとしても、建設作業は元をたどるといわゆる「3K」といわれる過酷な重労働のひとつだということに変わりはありません。

半面、建設作業員の高齢化も目立つようになり、猛暑、炎天下での作業を余儀なくされることから、全産業から見ても労災発生件数が圧倒的に多い業界です。

さらに、東京オリンピック開催と東日本大震災の復興も重なり、建設業界は人手が足りない状態になっています。

国は、ここ数年で、建設業法の改正、外国人技能実習制度の改正などを行っており、これから本格的に始まる働き方改革でも雇用吸収力の高い産業として(いわゆる有効求人倍率が高い)とくに建設作業員の転職・再就職支援も行うことになるでしょう。

あとで説明をいたしますが、適正工期化が民間工事レベルまで浸透し、建設作業員への給与・待遇が見合ったもの、それ以上に改善されていけば、順次、建設作業員の人手不足問題は解消されていくと思われます。

 

建設業界 ~今後の展望~

昨年お伝えした『海外展開』に加え、建設業界の今後を語るうえでキーワードとなるのは、働き方改革を踏まえた『適正工期』です。

“国土交通省は建設業の働き方改革の一環として、週休2日の推進に向けた工期設定に努めるよう全地方整備局に通知した。施工時期の平準化策を講じるとともに、土木工事で適切な工期を設定するためのツールを活用するよう指示した。石井啓一国交相は週休2日について「まず直轄工事から率先して取り組む」と表明しており、17年度は2000件超の直轄工事が週休2日になると想定している。”

経営状況分析機関ワイズ公共データシステム【建設工業新聞 3月30日 1面記事掲載】

http://www.kentsu.co.jp/webnews/view.asp?cd=170315600024&pub=1

まずは、国土交通省の直轄工事から適正工期を導入していくようです。そのうち、すべての公共事業、民間工事へと広がっていくものと推測できます。

 

建設業界の主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

スーパーゼネコン

  • 鹿島建設 892万円
  • 清水建設 906万円
  • 大成建設 917万円
  • 大林組 915万円
  • 竹中工務店 956万円

建設業界主要企業(スーパーゼネコン)5社の平均年収 917万円

【参考】大手ゼネコン

長谷工コーポレーション、安藤ハザマ、三井住友建設、フジタ、熊谷組、東急建設、戸田建設、西松建設、前田建設工業

 

建設業界を代表する企業の基本情報

鹿島建設

高層建築物、歴史的構造物の保存・継承のイメージが強い鹿島建設ですが、現在、リニア中央新幹線の南アルプストンネル建設工事にも着工しています。

基本情報

  • 売上高:1兆7427億円
  • 経常利益:1133億7600万円
  • 社員数:7527名
  • 平均年齢:43.7歳
  • 平均勤続年数:18.3年
  • 平均年収:8,928,794円

 

清水建設

清水建設は、首都圏の民間建築がメインで、東京オリンピック会場でもある有明体操競技場を受注しています。

基本情報

  • 売上高:1兆6649億3300万円
  • 経常利益:955億100万円
  • 社員数:10466名
  • 平均年齢:43.3歳
  • 平均勤続年数:16.9年
  • 平均年収:9,067,000円

 

大成建設

大成建設は、昨年もお伝えしていたように国家的プロジェクトやランドマークの建設に携わってきました。

東京オリンピックのメイン会場、新国立競技場も同社が手がけます。

基本情報

  • 売上高:1兆5458億8900万円
  • 経常利益:1177億300万円
  • 社員数:8072名
  • 平均年齢:42.8歳
  • 平均勤続年数:18.8年
  • 平均年収:9,175,176円

 

大林組

大林組は、品川-田町間の新駅設置工事を着工、虎ノ門ヒルズ・ビジネスタワーも手がけています。

受注は5.5%増で連続最高益を出しています。

基本情報

  • 売上高:1兆7778億3400万円
  • 経常利益:1112億800万円
  • 社員数:8402名
  • 平均年齢:42.3歳
  • 平均勤続年数:17.2年
  • 平均年収:9,150,379円

 

竹中工務店

スーパーゼネコンで唯一、非上場企業の竹中工務店は「最良の作品を世に遺し、社会に貢献する」という経営理念の下、キャピタグリーンあべのハルカスなどを手がけています。

基本情報

  • 売上高:1兆2165億7000万円
  • 経常利益:935億7200万円
  • 社員数:7307名
  • 平均年齢:44.3歳
  • 平均勤続年数:19. 6年
  • 平均年収:9,569,442円

 

参考文献

  • 鹿島建設株式会社第119期有価証券報告書
  • 清水建設株式会社第114期有価証券報告書
  • 大成建設株式会社第156期有価証券報告書
  • 株式会社大林組第112期有価証券報告書
  • 株式会社竹中工務店第79期有価証券報告書
  • 会社四季報2017年2集春号 東洋経済新報社
  • 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社

 

転職・就職へのアドバイス

建設業界で転職・就職を果たすには、関連する資格や免許の取得に向け努力をすることが求められます。

建築士、建築施工管理技士、土木施工管理技士は持っておくと、採用の際、高く評価されることでしょう。

もちろん、資格のほかに、経験や実績があれば、転職において大きな自身の強みとなります。

 

建設会社における職種にはどのようなものがあるのか、実際に鹿島建設が2017年6月現在、公開している新卒採用募集要項を参考にしてお伝えしてみます。

総合職200名程度の採用のうち、事務系が30名、技術系が170名となっていることから、文系出身者には非常に狭き門、理系、とくに建築学部、工学部、環境学部などの出身者にとっては比較的有利な業界となっています。

事務系は、現場事務、営業、経営企画、法務、総務、人事、経理、開発事業などがあります。技術系は、土木系、建築施工系、建築設計系、建築設備系、エンジニアリング系、機電系、数理系、開発系に分かれています。

事務系を志す方は、いずれの職種においても、どうして建設業界で働きたいのか? どうしてその会社なのか? を明確にしておく必要があります。

技術系を志す方は、資格、経験、実績を棚卸しして、どの分野に進みたいのか? どの分野が有利なのか? をしっかりと見極めましょう。

建設業界への転職を考えている方は、建設業界に特化した転職エージェントに登録することで、より有利な条件で採用、入社できると考えます。