食品業界の動向・年収・大手企業の調査・比較【2017年度】

業界研究

日経業界地図では、食品業界をわかりやすく次の5つに分類しています。

  1. 即席麺、製パン
  2. 製粉・製糖・製油
  3. 調味料、乳製品
  4. ハム・ソーセージ、水産・冷凍食品
  5. 菓子

②以外は、加工食品です。共働き、一人暮らしの増加など私たちのライフスタイルにまるで寄り添っているかのように次々と新しい商品が生み出されてきました。

加工食品は、読んで字のごとく食品になんらかの加工を施したものです。水産練り製品・肉加工品・乳加工品・菓子類・冷凍食品・レトルト食品など本当に多岐にわたります。

今回は、そんな食品業界の基本情報、今後の展望、主要企業、年収、転職・就職のアドバイスをお伝えいたします。

この記事でわかる旅行業界のこと

  • カンタンな食品業界地図
  • キーワード① 機能性表示食品
  • キーワード② 共同配送 ほか

食品業界の基本情報

ここ近年、加工食品は栄養素量の改善、色・香り・味などの嗜好性を高めるだけではなく、簡便性、調理の短縮化などが図られてきました。

  • 単身世帯の増加
  • 高齢化社会の進行
  • 天災・緊急時の保存食需要の増加
  • 嗜好性の多様化
  • 健康志向の高まり

などを背景に加工食品の役割は今後も高まっていくと考えられます。

まずは、カンタンに食品業界・製品ごとの概要をお伝えしていきます。

即席麺

日清食品ホールディングス(カップヌードル)、東洋水産(マルちゃん)、サンヨー食品(サッポロ一番)のトップ3が競合。

製パン

山崎製パン、敷島製パン、フジパンなど。パンの需要が拡大中。山崎製パンは、国内で28年ぶりに神戸市にパン工場を新設し、2018年に稼働開始予定としています。

調味料

キユーピー、味の素、ハウス食品グループ本社など。味噌、だし、しょうゆ、みりんなどの基礎調味料、香辛料や酸化防止剤などの食品添加物を生産。全国規模の大手メーカーと多数の地場中小メーカーという構図。

乳製品

明治ホールディングス、森永乳業、雪印メグミルクなど。牛乳、ヨーグルト、チーズ、バターなどの幅広い品目を生産。

ハム・ソーセージ

日本ハム、伊藤ハム米久ホールディングス、プリマハムなど。高品質の付加価値商品に注力傾向。糖質や塩分カットといった機能性に特徴のある商品も主力となりつつあります。

水産・冷凍食品

マルハニチロ、日本水産、ニチレイなど。水産大手は天然資源に頼らない完全養殖に注力しているほか、機能性表示食品(イワシ、サバなどからDHA、EPA)も展開。冷凍食品は需要増加で大手各社が増産の動きを見せています。

菓子

カルビー、江崎グリコ、森永製菓など。少子化の影響で国内市場は縮小が懸念されるなか、乳酸菌配合チョコレート高カカオの商品など健康系の需要を満たせるような菓子が注目されています。

製粉

日清製粉グループ本社、日本製粉、昭和産業など。輸入小麦の政府売り渡し価格が2017年4月から改定され、家庭用小麦粉などが値上げの動きです。

製糖

スプーン印の三井製糖、ばら印の大日本明治製糖、カップ印の日新製糖など。

製油

日清オイリオグループ、J-オイルミルズ、不二製油グループ本社、昭和産業など。2016年秋からの円安でサラダ油原料大豆の輸入コスト上昇を受け日清オイリオグループなどは家庭用サラダ油を値上げしています。

2015年度の国内加工食品市場規模は、矢野経済研究所のプレスリリースによると29兆7,297億円と推計されています。

食品業界主要企業10社(後述)の社員の状況は、平均年齢41.1歳、平均勤続年数15.8年、平均年収768万円となっています。

食品業界 ~今後の展望~

今後の食品業界における重要なキーワードは、『機能性表示食品』『共同配送』です。

機能性表示食品

“事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品”のことを指します。

トクホのように消費者庁長官の許可を受けたものとは異なり、あくまでも販売前に安全性・機能性の根拠に関する情報などを届出たものです。

2015年4月からはじまった制度で、目や関節、精神的ストレスなどによいものとして各社から届出があっています。

今後も、各社、研究を重ね、健康志向者を意識した機能性表示食品を出していくものと考えます。

 

共同配送

深刻化する配送ドライバー不足問題、物流コスト問題を解決する動きが加速しています。

“味の素、カゴメ、Mizkan、日清オイリオグループ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社の食品メーカー6社は昨年4月から北海道地区で共同配送をスタート。うち4社(味の素、カゴメ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社)は今年3月に北海道地区の物流を手掛ける合弁会社「F-LINE」を発足させた。”

引用

カーゴニュース 北海道地区で物流共同化の動きがさらに加速

この流れは、食品業界全体、全国に広がっていくと予想されます。

 

食品業界主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

  • 明治ホールディングス 973万円
  • 山崎製パン 569万円
  • 味の素 952万円
  • キユーピー 602万円
  • 日清製粉グループ本社 842万円
  • 日清食品ホールディングス 816万円
  • キッコーマン 800万円
  • 東洋水産 596万円
  • 江崎グリコ 820万円
  • 日清オイリオグループ 707万円

食品業界主要企業10社(上記)の平均年収は768万円でした。詳細は、下図を参照ください。

 

食品業界を代表する企業の基本情報

明治ホールディングス

明治製菓明治乳業が統合して誕生。1兆円企業となっています。

乳製品に強くブルガリアヨーグルト、LG21、R-1のほか、エッセルスーパーカップ(アイス)、meijiミルクチョコレート、SAVAS(栄養)など、幅広く展開しています。

同社は、約200億円をかけ、都内に新研究所「明治イノベーションセンター」を設置しました。これまで乳業と製菓、2カ所に分かれていた研究開発拠点を1カ所にし、ヒット商品開発を進めるとしています。

基本情報

  • 売上高:1兆2424億8000万円
  • 経常利益:888億3900万円
  • 社員数:10802名(食品)
  • 平均年齢:42.0歳
  • 平均勤続年数:18.8年
  • 平均年収:9,736,000円

 

山崎製パン

山崎製パンは、製パン国内大手。

食パンや総菜パンはもちろん、菓子パン、ケーキ、和菓子、餅、中華まんなど、さまざまな商品を多角展開しているほか、コンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」運営、ベーカリーカフェ「ヴィ・ド・フランス」も子会社です。

山崎製パンは、2006年に東ハト、2008年には不二家を子会社化しています。

基本情報

  • 売上高:1兆419億4300万円
  • 経常利益:369億500万円
  • 社員数:18628名
  • 平均年齢:38.1歳
  • 平均勤続年数:16.0年
  • 平均年収:5,694,745円

 

味の素

調味料大手として社名となっている味の素のほか、ほんだし、香味ペーストなどを展開しています。そのほか、Cook Doやクノール、Rumicといった加工食品、パルスイートといった甘味料、アミノ酸含有食品、栄養ケア食品、飲料(味の素AGF)も展開しています。

同社は、アメリカの医療食品会社キャンブルックを約72億円で完全子会社化しています。アミノ酸代謝異常患者向けや難治性てんかん患者向けの粉末飲料・クッキーなどを手がけてきたキャンブルックの知見を加工食品の開発などに生かすとしています。

基本情報

  • 売上高:1兆911億9500万円(国際会計基準)
  • 事業利益:968億5200万円(国際会計基準)
  • 社員数:3459名
  • 平均年齢:43.0歳
  • 平均勤続年数:19.4年
  • 平均年収:9,524,867円

参考文献

  • 明治ホールディングス株式会社第8期有価証券報告書
  • 山崎製パン株式会社第69期有価証券報告書
  • 味の素株式会社第139期有価証券報告書
  • 日経業界地図2018年版 日本経済新聞出版社
  • 会社四季報業界地図2018年版 東洋経済新報社

 

転職・就職のアドバイス

食品企業の多くは、

本社、支社、支店、営業所、研究所、工場

こういった企業施設の構成になっていて、

主に文系出身の方は、本社・営業所などで事務・営業・管理部門、理系出身の方は研究所・工場で商品の開発・生産・管理に携わるものと考えます。

明治ホールディングスの場合、

株式会社明治→技術系、事務営業系、酪農系

Meiji Seika ファルマ株式会社→薬品研究開発、薬品生産技術、MR(医薬情報担当者)、動物薬営業、コーポレートスタッフ

の募集を行っています。

また、山崎製パンの場合、研究職、生産技術職(食品衛生含む)、エンジニアリング職、営業職、店舗運営職、管理部門(法務、総務、人事、経理、情報処理、購買)、海外事業という職種があり、生産・研究部門=理系学部学科卒、エンジニアリング=機電・建築系学部学科卒、営業・管理部門=卒業する学部学科を問わないとしています。

新卒入社を目指す方は、

  • 大学でどのような研究をしてきたのか?
  • どのような知識を得てきたのか?
  • どのような仕事に就きたいのか?

自己分析し、面接官に明確に説明できるようにしておきたいものです。

また、転職サイトなどを介して転職を志す方は、

  • 今の仕事(もしくは前職)の内容をどのように食品業界で活かせるのか?

を面接官や人事担当者に根拠をもって論理的に伝えられるようにしておきたいものです。

もちろん、海外で活躍できる可能性も大きいですから、語学に精通している、グローバル志向の方にとっても食品業界は魅力的です。

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