自動車業界の動向や魅力・大手企業の年収比較を就職・転職経験者のアドバイスを交え解説

業界研究

自動車、クルマは日々のお買い物や送り迎えなど、生活に密着。そのほか県外や海や山へのドライブなど、私たちの行動範囲を広げてくれるものです。

エコカーや電気自動車、自動運転など、地球にも人にもやさしいクルマも出てきましたよね^^

今回は自動車業界の基本情報、市場規模、大手企業と年収、動向、展望、経験者談、就職・転職のアドバイスについてもお伝えしていきます。

 

業界全体図から見た自動車業界

セイジさん、自動車業界は全体図から見るとどういう立ち位置なのです?

日経業界地図では「自動車・機械・造船」に分類されています。

自動車業界を支える先頭集団はやはり

・新車販売(完成車メーカー)
・自動車部分品製造業
・中古車販売

です。1台のクルマに3万ものパーツを要するといわれており、大手完成車メーカーを支えているのは紛れもなく大手・中小さまざまですが自動車部品メーカーです。そのほか周辺業界も多く

素材系鉄鋼・アルミ・樹脂・セラミックス・タイヤ製造など
販売系カー用品店・タイヤ専門店・ホームセンターなど
保険系自賠責保険・損害保険会社
メンテナンス系自動車修理工場

などがあります。

 

自動車業界の基本情報

自動車業界の歴史

自動車の歴史は今から250年以上前の1769年蒸気自動車の発明から始まったといわれています。当時はまだ馬車が人や荷物を運んでいました。その後、電気自動車、ガソリン車、ディーゼル車が開発され当時、優位性が示されたガソリン車が主流となっていきます。

今日までの250年超、業界含むクルマの歴史については、トヨタが提供しているメディア『GAZOO』の自動車史がかなり役立つと感じましたのでぜひ、ご参考ください。

自動車業界の市場と各社の関係

現在の自動車市場は、大きく新車中古車に分かれます。新車は完成車メーカーのディーラーが販売、中古車は古物商がオークション会場にて競りにかかったクルマを落札して、自社店舗で販売するのが基本です。今はインターネットを介した販売もみられます。

トヨタ、ホンダ、日産など実に多くの国内メーカーがあり、各社ライバル関係にあってしかるべきですが自動車業界には意外にも、数多くの出資関係、業務提携が存在します。

日経業界地図2020年版 17 自動車(国内)を見るかぎり、

・トヨタと日野自動車、ダイハツ工業、SUBARU
・スズキと日産
・日産の傘下に三菱自動車
・モネ・テクノロジーズと数社(詳細は後述)

などのつながりが確認できます。

自動車業界の市場規模(変遷)

一般社団法人日本自動車販売協会連合会の統計データ、新車・年別販売台数(登録車合計)は以下のとおりです。

2016年3244798台
2017年3390824台
2018年3347943台
2019年3284870台

増減はありますが、この4年間はほぼ横ばいといえます。

 

自動車業界の動向と展望

転職とキャリアアップとしては、自動車業界を目指す方が最低限、把握すべき事柄として

・クリーンエネルギー自動車
・CASE
・MaaS

について説明しておきたいと考えました。

クリーンエネルギー自動車

従来の自動車はCO²を排出し大気汚染とリンクするため問題とされてきました。そこで登場した次世代車が『クリーンエネルギー自動車』です。

具体的には以下があります。

・電気自動車(EV)
・プラグインハイブリッド自動車(PHV)
・燃料電池自動車(FCV)
・クリーンディーゼル自動車(CDV)

電気自動車はCO²排出がない、プラグインハイブリッド自動車は電気自動車とハイブリッド自動車のいいところを組み合わせ進化させた、燃料電池自動車は水素と酸素の化学反応を利用して電気を生み出す燃料電池を使用、クリーンディーゼル自動車(燃料は軽油)は粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)などの排出量を抑制でき、燃費もいいです。

そんな環境にやさしいクルマですが高級車並みの価格、エネルギー調達方法に難があるなどの理由で、まだまだ一般層への完全普及は進まないのが現状です。

CASE

CASEはConnected、Autonomous、Shared、Electricの略で、ドイツのメルセデス・ベンツが2016年に公表したものです。日本の自動車業界も進むべき方向性として、追随し取り入れたようです。

それぞれコネクティッド(通信機能搭載)自動運転シェアリング(所有から共有へ)、電動化(CO²排出からの脱却)を意味しているようです。

Sにはサービスという意味もあるみたい。

MaaS

MaaS(マース)はMobility as a Serviceを略したもので、意訳すると「クルマでの移動もまたサービスのひとつである」といった感じです。国土交通省の資料には、

“ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念”

と解説しています。要は販売だけではなく、サービスもといったところです。

自動車業界が提供しているのは、自動車だけではなくなったといえそうですね。

はい。例えばトヨタは車両データ(MSPF)をトヨタ販売店だけではなく提携しているライドシェア大手のGrabや保険会社に提供する取り組みを開始しています。

完成車を絶えず提供し続けてきた自動車業界の可能性が、

CASE
MaaS

で今後、大きく広がっていくといえます。

 

自動車業界の主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

トヨタ自動車8,515,525円本田技研工業8,198,000円
スズキ6,814,081円日産自動車8,154,953円
マツダ6,769,000円SUBARU6,524,476円
三菱自動車工業7,421,000円

自動車業界大手・注目企業の紹介

トヨタ自動車

世界的企業としての顔も持ち、日本の自動車業界を牽引し続けるトップランカーがトヨタです。ドイツBMWと燃料電池車、ハイブリッド、ディーゼルで提携しています。

基本情報
売上高:30兆2256億8100万円
税金等調整前当期純利益:2兆2854億6500万円
社員数:74515名
平均年齢:39.4歳
平均勤続年数:15.7年
本田技研工業

自動車業界2位のホンダも世界的企業です。アメリカのゼネラル・モーターズと燃料電池車、電気自動車、自動運転で提携しています。

基本情報
売上高:15兆8886億1700万円
営業利益:7263億7000万円
社員数:22675名
平均年齢:45.6歳
平均勤続年数:24.1年
モネ・テクノロジーズ

前出のMaaSを牽引している企業が今回、注目のMONET Technologiesです。ソフトバンクとトヨタが共同出資して2018年秋、設立が発表されました。現在は日野自動車、本田技研工業、いすゞ自動車、スズキ、SUBARU、ダイハツ、マツダも株主として出資しています。

 

自動車業界って相互協力体制が加速しているみたい^^

参考文献
トヨタ自動車株式会社2019年3月期有価証券報告書
本田技研工業株式会社第95期有価証券報告書

 

自動車業界経験者から聞いた話

今回、中古車販売店にて営業(8年)、管理職(1年)の経験者に、自動車業界についていろいろと教えていただけましたのでご紹介していきます。

元営業マンが語る自動車業界の動向

はじめまして。今は別業界に籍を置いていますが、中古車販売店でキャリアアップした過去があります。私の経験がみなさまの参考になれば幸いです。

公共交通機関の充実、ランニングコストの節約のため、都市部では『車離れ』がどんどん進行していると感じています。

しかしその風潮に抗うかのごとく

・カーシェア
・サブスク(定額制)

など試行錯誤を繰り返しながらさまざまな戦略を立て、メーカーもクルマと消費者の接点を生み出そうと努力しているようです。

とはいえ山間部、公共交通機関が充実していない過疎地では、まだまだ足代わりとしてのクルマが必要な状況に変わりありません。もちろん日本から急に自動車がなくなることはないでしょう。

また同様に人工知能(AI)の発達により、消える仕事がたくさん出てくるといわれているなか自動車販売営業も、なくなることはないです。

元営業マンが語る自動車を売るお仕事

給料は高そう。でもノルマがきつそう。休みなさそう。車はなくなる? など世の中に出回るいろいろな情報を見ているときっと「自動車業界の将来性は?」と不安になるかもしれません。

クルマは昔も今もこれからも人生で、家の次に高い買い物であることに変わりはないでしょう。高額かつ試乗が不可欠なため、営業マンという仕事は消えないはずです。

クルマの性能・乗り心地・コストパフォーマンス・(中古の場合)見た目や状態、営業マンの接客態度や仕事への姿勢、説明のわかりやすさ、お店のアフターフォロー体制、保証制度など…。

これらから安心できるか、信頼できるかを総合的に見てお客様は、クルマを購入されるはずです。

一生に車を買う回数はそう多くはありませんが、車検や点検、買い替えで長いお付き合いになることも。いい人間関係が維持できていれば家族や友人をご紹介いただけることもあります。

よりお客様と深くつながりたい、頼りにされたい、人が好きなら本当に楽しく、やりがいがある。営業マンはそんなお仕事です。

元営業マンが語る自動車販売ノルマ

販売職にはノルマがあり、少し厳しいです。中古車販売では月最低10台以上の契約は求められます。月平均15台以上、年間180台以上売れば、給料も評価も上がります。

新車なら年90台売ると、トップセールスマンになれる店舗もあるようです。

元営業マンが語る自動車業界のトレンド

かつては高級セダンやスポーツカーがもてはやされてきましたが、今は実用的な軽自動車やハイブリットカーが好まれます。そして「なるべく余計なお金を払わず長く、安全に、安心して乗りたい」このようなニーズが増えています。

元営業マンが語る自動車業界への転職のしやすさ

新車、中古車問わず販売の現場ではとにかく、若い力を欲しています。キャリア転職を除き35歳がボーダーラインです。なぜならクルマの営業は体力勝負でかつ経験と知識形成に時間がかかるからです。

またこれから数十年クルマに乗る若い世代のお客様と、しっかり長期間お付き合いできる担当者が必要と考えています。トヨタや日産も中途採用を行っており自動車業界への転職はそこまで難しくないという認識です(転職しやすい)。

決して離職率が高いわけではありませんが、人材が足りているとはいえない自動車業界。(私が身を置いていた)中古車販売を志した場合、学歴問わず職歴と面接対応に問題がなければ面接に合格できるはずです。

また気になる年収も、平均450~500万円の世界といわれています。しかし歩合制ですから販売台数によって600~700万円稼ぐ営業マンも少なくありません。自動車販売は夢のある仕事だと思います。

元営業マンが語る自動車業界での出世

自動車業界で出世していくためには、販売実績がすべてです。私が勤務していた地場中古車販売店では管理職以上の職制は、

主任→課長→副店長→店長→エリアマネジャー→取締役

となっていました。店舗によりますが営業職の人数は6~7人程度で、実績次第で出世しやすいです。数で競うためわかりやすく、売る技術を磨いていけばおもしろい業界だと思います。

元営業マンが語る自動車業界でのキャリアの積み方

営業マンがキャリアを積みたいなら接客をこなし、顧客数を増やすしかありません。洗車・事務・雑務を効率よく行い、接客に時間を充てることが大事です。いちばん学ぶべきは効率で、次に接客です。個人的には

経営者を志す人→中古車販売で出世していく
大手を志す人→中古車販売で実績を積み新車販売に転職していく

のがベストと思います。私は年式や仕様がクルマごとに異なる中古車販売のほうが営業力はより身につくと考えます。実力をつけ新車販売に転身すれば、最強と思っています。

管理職については、若手や店舗全体を見る広い視野が求められます。お客様が思わず足を止め来店するような車の配置やマーケティング、ネットやリアルな反響などにも目を向け、さまざまな意見を取り入れられる。それができれば店長、いえ、それ以上に出世することもできるでしょう。

 

ありがとうございました! 最後に就職・転職のアドバイスです。

 

自動車業界への就職のアドバイス

先ほどご紹介したとおり「営業力を磨きたい」「ノウハウを手に入れたい」とお思いなら、中古車市場に挑戦されるといいです。

しかし「新車をデザインしたい」「新しいクルマを開発したい」「新車を売りたい」という志がある方は新車市場(完成車メーカー)にチャレンジするといいでしょう。

単に「クルマに関する仕事がしたい」ということであれば、活躍できるフィールドはかなり広がります。

現在CASEやMaaSに取り組む企業も視野に入れて探せますね!

完成車メーカーを志す方に向け、トヨタ自動車の採用情報を基にお伝えいたしますと、進路は事務職、技術職、業務職に分かれています。

事務職は“商品企画、マーケティング・営業企画、販売事業支援、アフターサービス企画、資材・部品調達戦略、新車プロジェクトマネジメント、物流企画、生産企画、経理・財務、原価企画、企業法務、海外事業体支援、渉外広報、人事”という分野に。

技術職は“先端研究、先行開発、量産開発、生産技術開発、生産ライン設計・導入、製造・品質管理、デザイン、品質保証、カスタマーサービス、情報システム、知的財産、建築設備技術など”の領域に分かれています。

またトヨタ、ホンダ、日産の求める人材像について調べてみますと、三者三様でしたので比較してみます。

完成車メーカー各社が求める人物像

トヨタ自らキャリアを描き、学び、意志を持って行動する人
ホンダ現実に立ち向かい、自分が信じた道を貫き通す人
日産個が持つ多様な価値観を尊重し、認め合い、受け入れられる人

各社が求める人材像に近いとお感じなら、自信をもってそこを伸ばしましょう。また遠いときは、不足点を洗い出しなるべく人材像に近づいていけるよう諸々、実践しましょう。

 

自動車業界への転職のアドバイス

経験者は、これまでの実績の棚卸しをし、強みは何か、経験や知識を転職先でどう活かせるかを、まとめておくといいです。

未経験者も今日までの社会人経験を振り返り、なぜ自動車業界なのか、取り組むべき課題に対し、どう知見を用いて解決できるかなど面接官に説明できるよう用意しベストを尽くします。

転職市場に出回る好条件求人の多くは非公開です。単独で頑張るより転職エージェントに登録しキャリアアドバイザーの支援を受け、転職活動をしたほうが内定を得やすくなります。

ちなみに自動車業界に特化した転職エージェントとしては『オートモーティブ・ジョブズ』があります。

 

まとめ

自動車業界はCASEやMaaSなど、未来に向け新しい取り組みが行われていましたね^^

そんな自動車業界で、内定を勝ち取っていただきたいです!

就職と転職、共通していえることは人生の目的と就こうとしている仕事の方向性が合致していることが重要です。それがミスマッチを防ぐカギで、長続きできるかその明暗を分けます。

人生の目的についてその意味を、これまで考えたことがない方は関連記事で説明していますのでぜひ、併せてお読みいただけますと幸いです。

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