今回は、2017年の最新版としてドラッグストア業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

ドラッグストア業界は景気の悪いなかでも着実に毎年、右肩上がりで堅調な成長を続けてきた業界です。

しかしながら、成長市場の限界ともいうべきなのでしょうか? 売上の伸び率は2007年以降、下がってきているようです。

ドラッグストア業界の基本情報

ドラッグストアは、薬だけではなく化粧品や洗剤、日用品なども販売して集客を図っています。

ドラッグストアでは、調剤医薬品、OTC医薬品、ヘルスケア、衛生用品、介護、ベビー関連、健康食品、化粧品や小物、トイレタリー、家庭用品、日用品、ペット用品、そして食品なども取り扱われています。

ドラッグストアなのに食品の売上が多いというおもしろい現象が確認できるのも、この業界の特徴です。

 

しかし、ドラッグストア業界を志すにあたって、これだけは念頭に置いておいたほうがいいことは、市販薬の利益率はとても高いということです。

数ある品目で最も売れているのは食品ですが、医薬品を販売できる店舗というのは法律で決まっているため、エリアによっては独占または寡占状態であったりします。

 

食品で集客できて、利益率が高い市販薬をたまに買ってもらえればいい…

このスタンスでドラッグストアは成長をしてきたといえます。

ドラッグストアで取り扱っている医薬品は、医師処方の「医療用医薬品」ではなく、「要指導医薬品」「一般用医薬品」がメインとなります。別名、(オーバー ザ カウンターの略で)OTC医薬品、市販薬とも呼ばれています。

ドラッグストア業界を目指されるのであれば、ここは専門的にOTC医薬品と呼ぶようにくせをつけておくと面接や転職活動で有利です。

 

要指導医薬品は薬剤師が対面で書面での情報提供・指導することが必要とされています。

また、一般用医薬品は、副作用のリスクに応じて第一類・第二類・第三類医薬品に分類されています。

第一類医薬品の販売には薬剤師が書面で情報提供することが義務とされています。また、第二類・第三類医薬品については登録販売者による販売ができます。

参考文献:第一三共ヘルスケア OTC医薬品の分類

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/health/otc/type.html

ドラッグストア業界の市場規模は、日経業界地図 2017年版のグラフを見るかぎり、およそ6兆円で、各社有価証券報告書から割り出した業界上位5社(後述)の平均勤続年数は8.4年、平均年齢は41.4歳、平均年収は656万円となっています。

 

ドラッグストア業界 ~今後の展望~

2016年から2017年にかけて、ドラッグストア業界は激動の1年となってしまいました。

昨年4月「かかりつけ薬剤師」制度がスタートしました。これは担当の薬剤師が、他の医療機関や薬局で受け取った薬や市販薬・健康食品やサプリメントなどを把握し、重複した薬が出ていないか、相互作用や服用に際して確認やアドバイスを行うものです。

参考文献:日本調剤 解説!かかりつけ薬剤師

https://www.nicho.co.jp/kakaritsuke/seido/

ドラッグストア各社も『かかりつけ薬局化』を目指し取り組んでいるところです。これが最初のキーワードです。

 

そんななか…

日本経済新聞 ドラッグストア、マツキヨ首位陥落 22年ぶり

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ11HTM_R10C17A5000000/

というニュースが報じられました。

イオンのドラッグストア連合「ハピコム」を率いるウエルシアホールディングスが業界2位にまで浮上していたのですが、とうとう、20年以上、トップランサーとしてドラッグストア業界を引っ張ってきたマツモトキヨシホールディングスから首位の座を勝ち取りました。

記事には、

“業界内ではツルハホールディングスとサンドラッグも5千億円超の売上高を誇るなど大手の混戦は続く”

とあり、CFSコーポレーションとの経営統合などで拡大してきたウエルシアホールディングスのように『M&A』による規模拡大が今後ないとはいいきれず、競争は激化していくと予想できます。これが2つ目のキーワードです。

ドラッグストア業界は、『首位争い』でますます活気づく可能性があります。

 

ドラッグストア業界の主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

各社の年収一覧

  • ウエルシアホールディングス 831万円
  • マツモトキヨシホールディングス 732万円
  • ツルハホールディングス 784万円
  • サンドラッグ 514万円
  • コスモス薬品 421万円

ドラッグストア業界の主要企業(上記)の平均年収 656万円

【参考】その他の企業

スギホールディングス、ココカラファイン、カワチ薬品、富士薬品グループ、アインホールディングス、クスリのアオキ、クリエイトSDホールディングス、ドラッグストアモリ、キリン堂ホールディングス、スギヤマ薬品、杏林堂薬局、中部薬品、トモズ、ゲンキー、コクミン、薬王堂、サッポロドラッグストアー、日本調剤、クオール

 

ドラッグストア業界を代表する企業の基本情報

ウエルシアホールディングス

イオンの子会社でもあり、ドラッグチェーン最大手に浮上した同社は、調剤併設で深夜営業に強みを持っています。

グループ企業にはウエルシア薬局と、ドラッグストア ダックスを運営するシミズ薬品のほか、ウエルシア介護サービス、ウエルシアオアシスがあります。

同社の最近の動向ですが、2017年9月には、丸大サクラヰ薬局を子会社化する予定であると公表しています。

基本情報

  • 売上高:6231億6300万円
  • 経常利益:257億2300万円
  • 店舗数:1535店舗
  • 社員数:6776名
  • 平均年齢:56.0歳
  • 平均勤続年数:2.1年
  • 平均年収:8,319,000円

 

マツモトキヨシホールディングス

マツモトキヨシは、都市型ドラッグストアを全国展開。中小チェーンの買収で22年にも及び首位を貫いてきました。首位から陥落したものの、化粧品に強く訪日客の需要があるため、戦略いかんによっては首位奪還の可能性もあるのでは? と個人的には思います。

同社は実験的にディスカウント型の新しい店舗「プチマドカ」を展開しており、30店舗にまで拡大する方向だそうです。

基本情報

  • 売上高:5360億5200万円
  • 経常利益:298億500万円
  • 店舗数:1528店舗
  • 社員数:6262名
  • 平均勤続年数:12.5年
  • 平均年齢:45.0歳
  • 平均年収:7,326,298円

 

サンドラッグ

ツルハホールディングスは、イオンのドラッグストア連合「ハピコム」に参加しているため、3社目はサンドラッグとしました。

同社は、社名と同じ店舗名の「サンドラッグ」のほか「Drug Tops」「サンドラッグファーマシーズ」「ダイレックス」を展開しています。

同社の最新の動向としては、2017年4月だけでサンドラッグはクロスガーデン調布店と北寺島店の2店、ダイレックスは今治店・アクロスプラザ与次郎店・中島田店の3店をオープンさせ出店攻勢をかけています。

基本情報

  • 売上高:5037億7300万円
  • 経常利益:338億1700万円
  • 店舗数:1027店舗
  • 社員数:4563名
  • 平均年齢:32.5歳
  • 平均勤続年数:7.3年
  • 平均年収:5,148,153円

 

参考文献

  • ウエルシアホールディングス株式会社第9期有価証券報告書
  • 株式会社マツモトキヨシホールディングス第9期有価証券報告書
  • 株式会社サンドラッグ第53期有価証券報告書
  • 会社四季報2017年2集春号 東洋経済新報社
  • 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社
  • 図解入門業界研究 最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第2版] 根城泰 平木恭一著 秀和システム

 

転職・就職へのアドバイス

ドラッグストア業界各社へは薬剤師や登録販売者の資格で入職する方法と、店舗運営などの要員として入社する方法があります。

薬剤師や登録販売者といったスキルを持っていても、医薬品だけでなく同店舗内で販売される日用品や化粧品、季節品の知識も求められる可能性は大いにあります。

また、店舗での勤務は接客業ですから、コミュニケーション概論とビジネスマナーは転職前に再確認しておくようにしておきたいものです。これは転職エージェントに面談練習をお願いすることでもカバーできます。

本社・本部など後方勤務を志している方は自分のこれまでの経歴やスキルを棚卸しして、どのような職種に就いてどのような成果を上げて会社に貢献していけるのかをまとめておく必要があります。

これは、小売業界全般にいえることなのですが、実店舗は会社の縮図です。

どのような人が働いていて、サービスが展開されていて、商品が陳列されているのか?

足を運んで確認することで、わかることもたくさんあります。自宅や今の職場の周辺にドラッグストアがあれば、ぜひ立ち寄って自分に合いそうかどうか見極めてみられてください。