セイジさん、通信=スマホでいいのですよね?
厳密にいえばそうではないのですよ。まあ多くの方が、そう思っているかもしれませんけどね…。
通信はコトバンクによると“郵便・電信・電話などによって情報を伝達すること”とあり、
郵便/電話/ファクシミリ/携帯電話/インターネット
などが該当するといえます。今回は上記を取り扱う通信業界の基本情報、市場規模、大手企業の年収等比較、動向、展望、経験者談、就職・転職のアドバイスについてもお伝えしていきます。
業界全体図から見た通信業界
セイジさん、通信業界は全体図から見るとどういう立ち位置なのです?
日経業界地図では「電機・精密・通信」に分類されています。
・携帯電話端末
・通信キャリア
・格安スマホ・格安SIM
・クラウドサービス
などのほか「エンタメ・メディア・コンテンツ」に分類されている
なども(広義の)通信業界に当たると考えています。
通信業界の基本情報
冒頭部で通信は郵便・電話などと説明しましたが、郵便・電話ともにそのはじまりは明治時代といわれています。そのため通信を担う企業は長い年月をかけ、ほぼ全国に通信網を張り巡らせ整備、維持してきたといえます。
でも民間企業だけでここまで成し遂げてきたとは、ちょっと考えにくいのですけど…。
さすが。実はそうなのですよ!
通信業界を牽引している企業について調べていくうちに一点、興味深く感じたことがあり、それが各社の沿革です。必ずといっていいほどその背景に国や国営企業の存在が確認できたのです。
郵便も。もともとは国営ですものね^^
郵便
逓信省→郵政省→郵政事業庁→日本郵政公社となったのち、小泉政権主導で郵政民営化が断行され2007年、日本郵政グループが発足し現在に至ります。
電話
電話もまた同じく元国営で、逓信省→電気通信省→日本電信電話公社(電電公社)となり、中曽根政権時代に民営化しNTTに。現在NTTグループという巨大組織が、日本列島の電話通信網を供給、その品質を高く維持しています。
モバイル
NTTドコモはいうまでもなくNTTの流れを汲んでいます。そして意外にもKDDI(au)、ソフトバンクもまた国、国営企業の流れを汲んでいました。
KDDIの前身のひとつであるKDDはもともと国際電話の会社で、日本電信電話公社(電電公社)から分社したといわれています。ソフトバンクもまた例外ではなく通信キャリアとしては、
日本テレコム→デジタルホン/デジタルツーカー→Jフォン→ボーダフォン
といった流れを持つのですが、日本テレコムはJRの前身である日本国有鉄道(国鉄)傘下の会社でした。
孫さんが買収した通信キャリアは原始、国鉄関連会社だったのね!
2006年、ソフトバンクがボーダフォンを買収しdocomo、au、SoftBankの3社体制が確立。この体制が15年ほど続いた2020年4月、楽天(楽天モバイル)が4社目のキャリアとして本格的に動き始めました。
楽天は当初、通信会社設立にあたりイー・アクセスと共同出資したのですが、そのイー・アクセスもまたKDDIの前身のひとつDDIの流れを汲んでいました。
日本経済新聞 楽天とイーアクセス、モバイルデータ通信会社設立を発表
昨日の友は今日の敵みたいな。通信キャリアの歴史、深いですね^^
いずれも巨大な資本と設備、豊富なマンパワーを持ち各社、通話サービスだけではなくインターネットプロバイダ、コンテンツ配信、電子マネーその他、大手というスケールメリットを活かし、さまざまな自社サービス事業を展開しています。
利便性向上が利用者の契約維持、新規獲得につながっているのですよ。
企業名 | キャリア | 関連サービス |
NTT | docomo | dtv、d払いなど |
KDDI | au | auひかり、auじぶん銀行、auPAY、J:COMなど |
ソフトバンク | SoftBank | Yahoo! BB、ヤフー、ジャパンネット銀行、PayPayなど |
楽天 | 楽天モバイル | 楽天ひかり、楽天市場、楽天銀行、楽天ペイなど |
スマートフォン端末は、
・iPhone(アップル)
の2勢ですが、
・京セラ
・ソニー
・富士通
なども端末製造に関わっています。
通信業界の市場規模
通信業界の市場規模を知るには総務省が公表しているデータが、有効です。2020年6月の報道資料では
IP電話利用番号数:4413万
携帯電話契約数:1億8480万
MVNOサービス契約数:2465万
固定系超高速ブロードバンドサービス契約数:3707万
FTTH(光ファイバー)契約数:3309万
などとなっています。
電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第4四半期(3月末))
また一般社団法人電気通信事業者協会のテレコムデータブックも参考になると思います。
通信業界主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)
・日本郵政 7,985,000円
・NTT 9,222,240円
・NTTドコモ 8,704,000円
・KDDI 9,300,662円
・ソフトバンクグループ 13,893,952円
・楽天 7,556,749円
通信業界の動向
MVNOの登場
MVNOはMobile Virtual Network Operatorの略で仮想移動体通信事業者を指しますが、格安スマホ、SIMフリーというワードのほうがなじみ深いです。
安さが魅力で一度は、乗り換えを検討したことがあるのでは?
ですね^^ それにしてもなぜ? 安いのかしら?
別の事業者(=通信キャリア、移動体通信事業者)が運用、維持している通信インフラを有償で借り受け、サービスを展開しているからです。
通信回線を独自に持っていないからその分、安価なのね!
・UQコミュニケーションズ(KDDI系)
・ワイモバイル(ソフトバンク系)
・楽天
・インターネットイニシアティブ
などがMVNO事業者に当たります。
楽天、キャリア参入
本格的始動は今年となりましたが楽天は2017年12月に、携帯電話事業者への参入を先立って発表していました。
日本経済新聞 楽天、携帯電話事業に参入発表 2019年サービス開始へ
記事を読むかぎり、通信インフラを借り受けるコストも決して安くはなかったようです…。
日本郵政グループで不祥事
郵便事業ではないのですが2019年、かんぽ生命保険で社員による不適切な販売があったことが発覚しています。それを受けて営業も自粛。その後の調査中間報告で68020件のうち違反件数は6327件、返金など希望者が26036名であったと公表しています。
この一連の不祥事で担当者など多数の方が処分されています。
日本経済新聞 かんぽ生命、止まらぬ不正 保険業法抵触の恐れも
日本経済新聞 かんぽ違反契約、二重徴収が8割 虚偽説明まん延
日本経済新聞 日本郵政、かんぽ不正で2448人処分 資格取り消しなど
仕事で不正なんて。本来あってはならないことですよね…。
ですね…。
通信業界の展望(予測)
5Gで可能性が広がる予感
通信業界を志す方なら知っておくべき5G。
・高速
・大容量
・低遅延
・多接続
とかなり優れた特徴を持っています。そして
・自動運転
・遠隔操作
などさまざまな用途への活用が見込まれています。
これまでできなかったことがもっとできるようになるのかも^^
5Gについて各社、その可能性についてコンテンツを設け、解説していたりしますので通信各社を目指す方はぜひ、目を通しておくといいです。
KDDI 次世代通信「5G」が切り開く新しいビジネスや未来の可能性とは
通信業界大手企業6社の基本情報を比較
日本郵政
経常収益:11兆9501億8500万円
経常利益:8644億5700万円
社員数:245472名(連結会社)
平均年齢:43.9歳
平均勤続年数:17年
NTT
営業収益:11兆8994億1500万円(国際財務報告基準)
税引前利益:1兆5701億4100万円(国際財務報告基準)
社員数:319039名(連結会社)
平均年齢:41.1歳
平均勤続年数:16.7年
NTTドコモ
MVNO提供も含む移動系通信シェア:43.0%
営業収益:4兆6512億9000万円
税引前当期利益:8679億5100万円
社員数:27558名(連結会社)
平均年齢:40.1歳
平均勤続年数:16.9年
KDDI
MVNO提供も含む移動系通信シェア:31.4%
売上高:5兆2372億2100万円(国際会計基準)
税引前当期利益:1兆206億9900万円(国際会計基準)
社員数:44952名(連結会社)
平均年齢:42.8歳
平均勤続年数:17.8年
ソフトバンクグループ
MVNO提供も含む移動系通信シェア:25.5%
売上高:6兆1850億9300万円
営業利益:△1兆3646億3300万円
社員数:80909名(連結会社)
平均年齢:40歳
平均勤続年数:10.1年
楽天
売上収益:1兆2639億3200万円
税引前当期利益:△445億5800万円
社員数:20053名(連結会社)
平均年齢:34.4歳
平均勤続年数:4.6年
日本郵政株式会社第15期有価証券報告書
日本電信電話株式会社第35期有価証券報告書
株式会社NTTドコモ第29期有価証券報告書
KDDI株式会社第36期有価証券報告書
ソフトバンクグループ株式会社第40期有価証券報告書
楽天株式会社第23期有価証券報告書
元携帯電話ショップ店舗責任者から聞いたお話
今回、2010年代後半に数年間、携帯電話ショップでスタッフ、店舗責任者をされていた方からお話を聞くことができましたので、これよりご紹介していきます。
携帯電話ショップスタッフ業務と転職のしやすさ
転職のしやすさですが私の場合、派遣会社を通じて携帯電話ショップに勤務するかたちで入りました。正直、人の入れ替わりが激しく、常に人手不足です。
そのため他業界からの転職でも、そこまで携帯電話ショップは入りにくい業界ではないと私は感じています。事実、私も入社以前は、
・料金プラン
・通信料
などほとんど把握していないような初心者でした。しかし派遣会社で店舗配属前に研修を行ってくれますので安心です。また個人情報の重さなどを事前に学べたことは、本当によかったです。
店舗配属後は来客対応、契約獲得、登録業務と一連の流れをすべて任せられました。また新サービスなどがスタートすると、顧客の温度感も上昇。買い替え以外にも新料金プランや追加オプションなどの提案をかけ、さらなる収益が見込める契約獲得に動きました。
携帯電話ショップにおける職制
入社したてであれば末端からキャリアがスタートします。
なかには特別販売員、通称「特販」といって契約獲得までの来客対応だけを担う販売のスペシャリストもいます。特販は登録業務を免除、他のスタッフが引き継ぎます。
店舗には「店長」や「店長補佐」など最低2名の管理職が常駐しています。管理職は店舗を代表し、本社などとの窓口となって、責任を背負っていました。
なお店長は来客対応をすることはまずなく、クレームやトラブルが発生したときに備え、常に体を空けておく体制をとっていました。
なお在籍スタッフが多い店舗、旗艦店では、事務処理を専門に行うスタッフもいたりします。
特販、店長、事務。共通していえるのは入社時、全員末端からスタートしているケースが多いということです。そのため上層部は日々の仕事ぶりから得意分野を見出して、徐々に仕事を専門特化させて割り振っていく、そんな傾向が私がいた携帯電話ショップにはありました。
適材適所ね^^
私が携帯電話ショップで担当してきたこと
私も末端からスタートし1年間は来客対応、契約獲得、登録業務をこなしました。そこで成績上位となり以後、店舗責任者として稼働するようになりました。
着任後は管理する側となり売り上げ把握、予算組み、シフト作成など来客対応からは少し離れ業務をしておりました。
携帯電話ショップで出世していくには
とにかくトップを目指します。そして私は1日も早く出世するためのスキルとして
・顧客をよく観察する
・情報をわかりやすく伝える
の2つが必要と思っています。
携帯電話ショップスタッフは、新機種はもちろん
・固定回線
・タブレット
・ルーター
などの契約も獲得し、実績を上げ続けることが重要です。そのためには1人の来客に固執せず、今契約を必要とする人か、検討するだけの人かをよく観察し、顧客を見極めなければなりません。
観察するのは顔、目線、服装、雰囲気だけではなく、本人確認時に閲覧した情報、会社側で確認できる顧客の毎月の利用状況もよく見て、頭に入れます。それを基に顧客をタイプ別にあてはめ、対応の仕方を変えます。そうすることで契約獲得につながりやすくなります。
携帯電話ショップあるあるなのが “説明したのにうまく伝わっていない” 問題です。これは顧客に不利益を与えかねませんし、クレーム、トラブルに発展してしまう要因となりえます。私も考え抜いた結果
・ボールペン
・名刺
を使い、ときに絵を描き、強調すべき項目は大きく書くなどし、その人だけの特別な説明書を作り最後に名刺を貼り付けて渡すようにしました。すると初回は検討と返事していた方の再来店率がビックリするくらい大幅に上昇していったのです。
各自、創意工夫し地道な努力を続けていけばきっと契約獲得が増え、出世へとつながっていくはずです。
ありがとうございました!
私、セイジも実は学生時代、就職先として通信業界を視野に入れていたのですが、これより就職、転職のアドバイスをお伝えしていきます。
通信業界への就職のアドバイス
当時の私が感じていた魅力ですが、各社その資本の大きさ、公共インフラ的サービス、将来的に国内だけでなく海外(特に欧米)でも仕事ができそうだったところです。
通信業界を志しなおかつグローバルな活躍を目指すなら外国語習得のほか、面接官から評価されるには? を常に考え、ライバルに差をつけられる行動を心がけたいものです。
ただ通信業界は人気企業ぞろいで、いずれも志望者が多く狭き門ですから、優秀な人でも落とされることはありえます。
しかしながらグローバルな活躍は、通信に限らずどの業界でも可能です。海外を相手に仕事がしたい、海外で働きたいのなら通信業界を軸に周辺業界にも目を向け、人生の目的との兼ね合いを見ながら視野を広げていくのも一手です。
商社やメーカーの駐在員などもアリですよね^^
NTTドコモの募集要項を参考にお伝えしますと、事務系総合職・技術系総合職に分かれており、事務系総合職はさらにコンシューマコースとビジネスコース、技術系総合職は通信領域とサービス領域に分かれています。事務系は
・コンシューマ企画
・サービス企画&マネジメント
・法人ソリューション営業
・法人企画
技術系は
・ネットワークデザイン
・先端研究開発(サービス)
・法人ソリューション企画開発
・コンシューマサービス企画開発
があり研究、企画、開発、運用どの業務に就くかで部署も変わってくるようです。
特に技術職を目指す理系の方は、自分自身がこれまで専攻、研究してきた内容を棚卸して、社会に出て通信業界とどう関わり、身につけた知識や技術をどう活かせるかをまとめておくとエントリー、選考、面接を有利に運ぶことができると考えます。
通信業界への転職のアドバイス
長い歴史をバックボーンに持つ企業が多いのが通信業界の特徴のひとつですが、取り扱っているのは最先端テクノロジーであったり、前衛的なサービスだったりします。良くも悪くも通信業界は、常に変化を欲している、変化を余儀なくされているといえます。
そのため技術者など優秀な人材をどんどん採用し、競合他社に利便性などで差をつけたいと各社、望んでいます。そのため通信業界の中途採用募集は転職エージェントの公開求人で検索しても、結構な数が出てきます。
転職サイトエージェント比較おすすめランキング 年収1.5倍になった口コミ評判体験談
中途入社を果たすには、これまでのスキルや経験をどう通信業界に落とし込むか、企業にどう貢献していくかをまとめ、説明できなければなりません。
新卒、中途いずれも通信業界で求められるのは好奇心旺盛で、新たな価値を創造できる、また課題解決にも取り組める挑戦と進化を幾度となく繰り返せる人材です。
そのため前向きな性格で新しいことが好きな方は、通信業界に向いているでしょう。
まとめ
通信業界。特に5Gが世界をどう変えていくか、楽しみです^^
そんな通信業界で、内定を勝ち取っていただきたいです!
就職と転職、共通していえることは人生の目的と就こうとしている仕事の方向性が合致していることが重要です。それがミスマッチを防ぐカギで、長続きできるかその明暗を分けます。
人生の目的についてその意味を、これまで考えたことがない方は関連記事で説明していますのでぜひ、併せてお読みいただけますと幸いです。
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