建築業界人手不足のニュースと雇用待遇の実情

業界研究

東京オリンピックが決まり、公共施設などのインフラ投資に期待が高まっているようです。

「建設バブル到来」という見出しも出ていましたが、私自身は昔、建設関係の学問を学んでいたためこの手の話題を聞くと大変嬉しく思います。

しかし、色々と記事を見ていくと、どうやら楽観視はできず厳しい現状がそこにはあるようでした。

建設業界と若者離れ

建設業界と私

私は今でこそITをやっていますが、実は建設系の学科を出ています。

大学の同期の中には大林組、大成建設などのゼネコンや建設技術研究所などのコンサルタントに勤めている人もいます。

では、なぜ私が建設業界にいかなかったのかと言いますと、私が学生の当時は建設業界の景気が悪く、あまり魅力を感じなかったためです。

今でこそオリンピックだリニアモーターカーだ、と言っていますが、当時は国内のプロジェクト数が少なく売上は低下。基本的には海外を狙っていこうという方針でした。

「海外でバリバリ建設プロジェクトを動かす」

やりがいはあるのですが、根性のない私には到底務まらないし、労力の割にはペイしないと考えて建設業界の就職を見送りました。さらに、私自身がプログラムが好きだったこともあり、IT系に就職してしまいました。

…ただ、やってみて分かりましたが、建設業界とITはほぼ仕事の構造や辛さは同じです。

大手が受注しそこから請け負い先を探して仕事を割り振っていき、成果物を完成させる。対象が建物なのかソフトウェアなのかの違いです。

建設業界もIT業界も工事完了基準・工事進行基準などの概念が共通していますし、仕事の流れの大筋はあまり変わりません。

仕事の辛さも、肉体的にしんどいか、精神的にしんどいか、の差くらいで激務なことに変わりはありませんでした。

それに気付いたのは就職した後だったため大変後悔しましたが、IT自体は好きなので激務度の低い社内SEに転換して何とか生き延びております。

 

若者の建設業界離れ

建設業界における人の需要は高まっているのですが、現状を見るとかなりの若者離れが進んでいるそうです。

深刻になりつつあるのは人手不足だ。というのも、建設業界はこの20年間、縮小の一途だった。建設投資はピークから半減。08年のリーマンショック後は、 民間工事では日給1万円も稼げない時期が2年ほど続き、ワンコイン(時給500円)大工と呼ばれる職人まで現れた。建設業の就業者は15年間で約180万 人減。若者離れで就業者の3分の1が55歳以上と、高齢化も深刻といった状況だ。人手不足はゼネコンの技術者から下請けが抱える技能労働者まで、ありとあらゆる職種に広がっているのだ。

建設業界、なぜバブル到来でも苦境?深刻な人手不足、コスト増、倒産企業も…
「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/12月7日号)は『建設バブル到来! 浮かぶゼネコン沈むゼネコン』という特集を組んでいる...

20年縮小しており、給与も微妙だった。

という流れを考えると若者が就職先として選びにくくなることは納得できます。実際、私もこのように感じて避けましたので。

 

それなら給与水準を上げれば回帰が始まるのでは?

と思ったのですが、上記記事を見るとそうもいかないようでした。

まず以前に比べると労務費自体が上がっており、ここに更に上積みした場合、プロジェクトを落札しても採算がとれないそうです。

さらに、住宅建設に目を向けると、建物の資材単価も上がっており、それを販売価格に転嫁すると売れなくなる、という現状があるようです。

こんな現状ですと、人を募集しても思ったほど集まりにくいことが容易に想像できます。

 

海外留学生雇用の話

先日のNHKの番組でもやっていましたが、国内の若者が集まりにくいため、海外留学生をターゲットとしている会社もあるそうです。

この話は、昔から建設業だけでなく部品系の製造業でも一般的な話ですので、特に目新しくはありません。

また同じ事を繰り返してしまうと、結局業界自体の魅力が回復せずに、建設業界がどんどん沈んでいってしまうのでは、と危惧します。

行く先にインフラの崩壊がないか心配でなりません。

 

やりがいと待遇が同時に得られる業界ってあるんでしょうか

不人気業界2つを見てきた私ですが、周りを見ていてもやりがいと待遇が同時に得ている人はほとんど見ません。

みんなそれなりに好きな仕事を選んで働いていますが、やりがいと待遇をバランスよく得て満足している人はほぼいません。

「好きだけど辛すぎる。宝くじが当たったら辞める」

みたいな感じですね。強いて言うなら、公務員(市役所勤務)の友人は仕事も楽しく、待遇もバッチリで人生楽しいそうです。

 

もう既に働いている人は仕方ないのですが、これから仕事を選ぼうという人達が意欲的に働け同時に生活の満足も得られる職場をもっとつくっていかないといかないように思いました。

今回の「建設業界の復活」に際して、そういった部分を良く考えて、一時的な雇用のありどころに留まらず、長く続く魅力ある産業として復活できるよう導いて欲しいです。

コメント

  1. どこかの就活生さん より:

    初めて来ましたが面白いブログだと思いました。
    建築系で、現在就活をしていますが、
    筆記試験落ちてしまいました。
    行きたい所は2社ぐらいしかなく、勿論2社しか受けてないので
    あと一つです

    建築系って待遇あまりよくないんですね。

    • Sayse(管理人) より:

      >どこかの就活生さん様
      コメント頂きありがとうございます!

      建築系はどのランクの企業に入るかで待遇に差が出ますので、
      上を目指していただければ満足のいくものが得られるかと思います。

      色々と大変かと思いますが、ぜひとも希望する会社に合格なさって下さい。