仕事を教えてくれない問題、転職とOJT・Off-JT、アンケートから読み解いた実態、打開策と乗り越える方法

転職のノウハウ
この記事でわかること
・OJTの定義
・Off-JTの定義
・転職入社後の研修の実態
・仕事を覚えられないときの対処

どんなに転職が上手くいったとしても一難去ってまた一難。人間関係のほか、仕事を教えてくれない問題、OJTで仕事を覚えられない問題などが発生することがあります。

Twitterでは、次のようなつぶやきが見られました。

仕事ってそもそも教わるものでは?

はい。追ってアンケート結果をご紹介しますけど、仕事を教えてもらえないのは少数派であり、運悪く最低な会社に入ってしまったともいえます…。

そういえばOJT、OJTって現場ではよく耳にしますけど、どういう意味かわかっていない方も多いのでは?

そうですね。ではOJTとは? Off-JTとは? から説明していくことにします。

 

OJTとは?

コトバンクによると、

“on-the-job training 職場内での教育訓練。特に現場で日常の業務を遂行しながら実地で上司が部下に対して計画的に教育訓練を実施すること“

を指しています。

いきなり現場に投入される、いきなり実務に入るパターンですよね?

はい。日本ではこの教育手法が多く見られます。

インターンシップもそうですよね? 習うより慣れろというやつですね…。

ただし上司が部下に対して行うのが当たり前ではなく、新人教育係、一緒に業務を行う同僚が手取り足取り教えることが多いはずです。

 

Off-JTとは?

同じくコトバンクには

“off-the-job training 職場外での教育訓練。特に集合研修、講習会、通信教育等、日常の業務を離れて行う教育訓練のことを言う。現場の状況に左右されない、均一な知識習得の機会を提供する意味で非常に効果的な取り組み”

と書かれています。

ただしOff-JTで学んだことが、職場では活きていないと実感されている方や、そういった類の指摘も少なくないはずです。

ねえセイジさん、集合研修、講習会、通信教育って具体的には?

イメージどおりとは思いますが、説明しておきますね。

集合研修

同日入社の社員が多いときなど、入社初日~1、2週間、職場に配属せず大手であれば会社所有の研修所、会議室などに全員集めて、オリエンテーション、実務、実技について学習する機会を設けた場。いわゆる座学研修のことを指します。

新卒入社では当たり前のように展開されていますし、大量に中途採用を繰り返している会社が取り入れている社員研修のひとつです。

講師は一度に数人~数十人に仕事を教えることができ効率的な反面、教える内容が画一的になりやすく、各人の能力、適性を考慮しないため結果、研修後、教えたことを全員がクリアできるとは限りません。

講習会

集合研修と同様に、またはその期間中に、会社が招聘したその道の専門家、外部講師から教えていただくまたは、社外の指定場所に赴き専門的分野の座学や実技講習を受けます。

例えばビジネスマナー、パソコン、フォークリフトなど仕事をしていくうえで必要な項目を学ぶのです。

あくまでも一例ですが小売店など、取引先メーカーの本社や支社に足を運び、そのメーカーの商品や付属品などについて詳しく説明を受けたり、工場にて製造工程を見学させていただいたりします。

通信教育

いわゆるeラーニングで、パソコンやタブレット、スマートフォンで自主的に学習していくものです。その草分け的存在の株式会社インソースでは早い段階で職場に慣れ、活躍できるような中途採用者研修を用意しているようです。

具体的には仕事の基本、進め方、立ち居振る舞い、ビジネス文書の書き方などのおさらいで、わざわざ時間や人件費を割いてまで学習させなくても独習できる内容を、通信教育で学ばせているのではと思料します。

ここまでOJTなどについてみてきましたが、実際のところどうなのでしょう? 転職とキャリアアップでは独自に“中途採用研修について”アンケートを実施し、集計、分析しました。その結果をお伝えしていきます。

 

実態からみる転職者の中途採用者研修事情

0.アンケート概要

実施媒体:ランサーズ
実 施 日:2019年12月23日
有効回答:100(一度でも転職を経験された方100人)

 

1.8割以上の会社が中途採用研修を実施している

転職した先の会社で仕事を教わる機会はありましたか? と尋ねたところ、ありと答えたのは83人、なしは17人でした。そのため8割以上の会社は中途採用の人材に何らかの教育をきちんと施しているといえます。

やっぱり。会社側が思うような成果がほしいなら、仕事は教えるべきです。

2.半数近くの会社がOJTを実施していた

教わらなかった17人以外の83人の方はどのように仕事を教わったのか分析したところ、

OJT…40人
・個別研修…27人
・集合研修…15人
・Off-JT…1人

という結果で、およそ半数がOJTを受けていました。

セイジさん、ちょっと待ってください! 個別研修、集合研修もOff-JTですよね?

うっ、鋭い質問ですね!

実はOJTをわかっている方は多いと思うのですが私自身、Off-JTをあまり現場で耳にする、口にすることがなかったので。敢えてその選択肢を取り入れてみたのです。

Off-JTと明確に答えた方は1人。やはりOff-JTの知名度は低いといえるかもしれません。

3.研修の有無で成果に大差

転職入社後、研修を受けた83人について、そのあとどうなったか成果を尋ねたところ、以下の回答をいただきました。

即戦力となってバリバリ仕事した…13人
一定の成果は上げられた…29人
・可もなく不可もなく…25人
・思うように動けなかった…12人
・仕事を辞めたくなった…2人
・早々と辞めた…2人

このように教育を受けたおよそ半数は、一定の成果を上げられたといえます。逆に研修がなかった13人も、どうなったか見てみます。

  • 即戦力となってバリバリ仕事した…1人
  • 一定の成果は上げられた…4人
  • 可もなく不可もなく…7人
  • 思うように動けなかった…2人
  • 仕事を辞めたくなった…2人
  • 早々と辞めた…1人

教育を受けなくても一定の成果を上げられたのは、3割以下にとどまったのです。

即戦力となってバリバリ仕事した人が1人だけって。私、みんなが即戦力だから敢えて研修しなかったのだと思っていました…。

この集計結果は、人事担当者の方にも有益と思うのですが、いかに予算をケチり、人材教育を怠ると、一定の成果を得られず会社側が損をしていくかが明らかですよね…。

もうひとつ有益なデータをお伝えしますと、次の設問でなぜそのような結果となったか尋ねたところ、一定の成果は上げられたと答えた4人が4人とも「経験のある業界・職種への転職だったから」と、可もなく不可もなくと答えた7人のうち4人が「カンタンな仕事だったから」と回答していました。

つまり会社側は経験者を採用するか、カンタンな仕事を割り当てるかすれば、研修をしなくていいということですね?

はい。ただ私はもったいないなと思っています。
義務教育を受けてきたため日本人は正直、学び上手です。研修、教育次第で必ず人は大きく伸びるはずですから、やはり予算・手間を惜しまず、会社に貢献できる人材に育て上げるべきです。

また仕事を辞めたくなった、早々と辞めた人も一定数いたため、もし彼らに手間暇かけ教育を施していれば、嫌々仕事をされることも、真っ先に辞められることもなく。またさらなる採用活動費を捻出することもなかったでしょう。

4.仕事を教えてもらえない、この状況でも打開できる?

不幸にも仕事を教えてくれない会社に入ると、教わってもいないことで注意を受けたり、叱責を受けたりし、非常に理不尽な思いをすることになります。

これって大問題ですよね…。

ただ世の中には教わることなく仕事し、逆境を乗り越えてきた方も一定数います。

次の設問で、仕事が覚えられない状況を打開できるか否か尋ねてみたのですが、以下の回答でした(研修がなかった方の回答)。

  • 打開できた…7人
  • 打開できなかった…2人
  • 打開できると思う…6人
  • 打開できないと思う…2人

実際に打開できた、打開できると思う方が17人中13人、打開できると結論付けていいでしょう。

思うと回答された方は、仕事を覚えられなかった経験がない方ですね?

そうです。

また打開できたと回答された方にその打開策を尋ねたところ、深い回答を得ましたので、ピックアップし、まとめます。

  • 現場の状況や情報を徐々に吸収し、自分の力にした
  • 新しい仕事仲間とのコミュニケーションを大切にした
  • まったくわからなかったので独学し完全に我流で仕事した
  • まずは雑用係を引き受け、段々と仕事の流れをつかんだ
  • 仕事を見て盗み、覚えるよう努力した

これからの時代、人を育てない会社に未来はないと私は思っているのですが、そういう会社に入ったとき「自ら努力し道を切り拓いてきた人もいること」を覚えておきたいものです。

完全我流も本来あり得ませんが、教育がない会社なら、やむを得ないことでしょう。

また実際にそのような状況に陥ったことはないものの、打開できると思うと答えた方は、(もし当事者になれば)実際に次の方法で打開しようと考えているようです。

  • 前任者や周りに聞く
  • 真剣に覚え繰り返す(反復)
  • 人間関係をよくし質問しやすい環境をつくる
  • すべてメモにとり家に帰って見返す
  • 恥を忍んで自分から積極的に質問する

どれもアリで、応援したくなりますね!

はい。どれも参考になるはずです。

ここまで仕事を教えていただけなかったケースについてクローズアップしてきましたが、O
JTを受けた40人の中にも思うように動けず、辞めたくなり、早々と辞めた方もいます。

せっかく企業側も教えてくれているのに? なんとなくもったいないな…。

私もそんな気がしています。

偶然ですがOJTを受け、その後、即戦力となり、バリバリと仕事をしたと答えた方は5人だったのですが、その5人が5人とも仕事を覚えられない状況に陥り、それを打開してきたというのです。

そこで最後にその5人の方が実践した打開策とエピソード、アドバイスをまとめ、ご紹介いたします。

 

OJTで仕事を覚えられない状況から脱出する方法

Sさんの打開策とエピソード

・打開策
とにかく細かくメモをとりました。たくさん質問しました

・エピソード

営業から経理事務に転職しました。前任者が非常に丁寧に教えてくれました

Hさんの打開策とエピソード

・打開策

わかるまで聞き直して、ノートにメモしました

・エピソード

転職当初は苦労しますが仕事を休まず続け、他の人がやりたがらない仕事を率先してやりました

Tさんの打開策とアドバイス

・打開策

わからないことを具体化し、教えるほうの気持ちになって聞きました

・アドバイス

こんなことを聞いて恥ずかしいなどと考えず、わからないことはどんどん聞くことがのちのち会社のためになります

Mさんの打開策とエピソード

・打開策

経験ある人や業務に詳しい人から教えてもらい、実践しました

・エピソード

転職先は携帯電話ショップだったのですが、意外にも業務内容が多すぎて何から手をつけていいかわかりませんでした。接客はお客様のニーズに合わせ提案することが多いため、まずは自社製品をノートに書き出しました。

Lさんの打開策

・打開策

わからないことは質問し、その都度メモをとりました

 

そういえば5人とも聞く、書くを実践されていますね。

今、大学生の方にも就活でとにかく「メモをとれ!」と関連記事でお伝えしています。OJTではメモ帳とペンは必須ですよ。

そういえば、うちの職場を短期間で辞めていった人の多くがメモをとっていなかったかも。

メモ帳とペンだけは肌身離さず持っておきたいものです。

 

まとめ

たとえ仕事を教えていただけなかったとしてもその最悪な状況は、努力次第で乗り越えられます!

OJTで仕事を覚えられなかったときは、聞く・書くをきちんと実践していたか今一度、振り返るべきです。

なにかと大変なことが多い転職ですけど、人間関係、仕事など努力され、万事うまくいくよう、心から願っています^^

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