働き方改革が法制度化するまでの流れを一挙まとめ、実行計画の進捗、日本版O-NETにも言及【2020年更新】

転職のノウハウ
スポンサーリンク
この記事でわかること
・働き方改革スタートまでの経緯
・働き方改革実行計画
・働き方改革の進捗状況
・日本版O-NET

2020年、働き方改革2年目となりました。

2019年4月、年次有給休暇の確実な取得、大企業の時間外労働の上限規制(月45時間、年360時間)も導入されました。

そして2020年4月からは中小企業における時間外労働の上限規制、そして大企業の同一労働同一賃金が導入されています。

ねえセイジさん、脱時間給制度や裁量労働制なども一緒に議論されていたはずですけど、あれってどうなったのです?

ホワイトカラー・エグゼンプションですよね。そこら辺のところ、どんな経緯、どんな結果だったか、もう忘れている方も多いのかもしれませんね。

また2017年6月にこの記事(初版)を公開したのですが、

ちなみにですが、「働き方改革」についてランサーズで100人にアンケートをとってみたところ、

 

働き方改革は今現在どのような状況かご存知ですか?

 

・議論がなされているものの何も決まっていない状態…37人

・議論がなされており実行計画が発表された状態…16人

・議論もなにもされておらずメディアで話題となっているだけ…11人

・職場の問題であり国は会社に委ねている状態…5人

・わからない…31人

 

という結果でした。現時点では「議論がなされており実行計画が発表された状態」ですので進捗状況を正しく知っている方は全体の16%、多くの方が実行計画の存在をまだ知らないのかもしれません。

日々、仕事が忙しくなかなか、正しい情報を得られる機会がない方もいそうですね。

そこで今回、『転職とキャリアアップ』では日本経済新聞電子版の過去記事を参考にしつつ、『働き方改革』がどのように成立していったかについてまず追記、お伝えしていきます。

 

スポンサーリンク

働き方改革の内容が決まるまでの流れを時系列で整理、解説

2011年、働き方改革元年

日本経済新聞で『働き方改革』という言葉が最初に登場したのは、トヨタに関する報道でした。

“組合員が計画的に取得するプロセスを「働き方改革の一手段」と位置付け”

2011年、各所で「働き方を変えよう」という動きが生まれはじめたといってよさそうです。

2013年、派遣労働者の働き方にメス

この年、個人的に「労働搾取では?」「悪しき労働制度」と感じていた労働者派遣制度から改革しようという流れが出てきました。

“厚生労働省は12日、労働者派遣制度の見直し案を専門部会に示した。派遣社員は同じ職場で3年までしか働けないという原則を変え、派遣会社と無期契約を結べばずっと働き続けられるようにする。多様な働き方の選択肢を広げる改革の第一歩と言える”

ちなみに2013年6月14日付で『日本再興戦略』が打ち出され、多様な働き方の実現、女性の活躍推進も盛り込まれていました。

2014年、女性の働き方に焦点

この年、ワークライフバランス推進協議会の初会合が行われました。

“加藤勝信内閣人事局長(官房副長官)は(中略)「女性職員への配慮だけでなく、男性職員も含めて働き方を見直す働き方改革が急務だ」と述べた。(中略)女性が働きやすい環境を整備し、女性登用を促すための具体策を秋にまとめる”

2015年、政府と経団連

働き方改革、政府の3本柱

日本経済新聞は同年4月、政府の働き方改革の3本柱として

・フレックスタイム制
・脱時間給制(ホワイトカラー・エグゼンプション)、
・裁量労働制

を紹介していました。

はいはい。私が知りたかったやつですね^^

解説記事として下記はわかりやすいと思いました。

経団連に要請
“加藤勝信一億総活躍相は(中略)一億総活躍社会で掲げる出生率1.8や介護離職ゼロは「企業での働き方と大きく関連してくる」と指摘し、長時間労働の是正など働き方改革を進め、仕事と子育て・介護の両立しやすい職場環境を求めた”

加藤勝信氏が内閣人事局長(官房副長官)→一億総活躍相となっていますね。

2015年10月、第3次安倍内閣より一億総活躍相が創設されました。2016年8月には働き方改革相に。2019年9月に再度、任命されています。

安倍さんと加藤さんが働き方改革の立役者ともいえそうですね。

2016年、霞が関での改革、働き方改革実現会議

まずは中央省庁から働き方改革
“「フレックスタイム制」が1日、中央省庁で本格導入される。ほぼ全ての国家公務員が対象となり、育児・介護と仕事の両立を後押しする。長時間労働が常態化している霞が関の労働環境を改め、民間企業の働き方改革を促す狙いがある”
働き方改革実現会議
“「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)の初会合を開いた。首相は「外国人材の受け入れの問題」「非正規雇用の処遇改善」「時間外労働の上限規制のあり方」など9項目を検討すると表明した。今年度中に具体策を盛り込んだ実行計画を策定し「スピード感をもって国会に関連法案を提出する」と語った”

この会議で働き方改革の細部が詰められていったようです(詳細後述)。

2017年、さまざまな取り組みと実行計画

プレミアムフライデー
“毎月末の金曜日に早期帰宅を奨励し、消費を喚起する「プレミアムフライデー」が24日、初めて実施された。働き方改革の一環としても期待される官民一体の取り組み”

そういえば。そんなキャンペーンがありましたよね? そしてあまり浸透しなかったですよね…。

民間特に中小企業の働き方改革の難しさを物語っていたといえます。

フリーランスの働き方改革
“政府は特定企業に属さずに働くフリーランスを支援するため、失業や出産の際に所得補償を受け取れる団体保険の創設を提言する。損害保険大手と商品を設計し、来年度から民間で発売”

フリーランスは介護や子育てなどを両立させて自宅で仕事。多様な働き方のひとつといえますね。

現在「フリーランス協会」がフリーランス向け保険を取り扱っているようです。

そして2016年9月の「働き方改革実現会議」初会合で示していた実行計画を策定しました。

すごい、計画どおりですね!

“政府は28日、働き方改革実現会議を首相官邸で開き、長時間労働の是正や同一労働同一賃金の導入を盛り込んだ実行計画をまとめた”

たしかとても具体的な計画でしたよね。でもここから法案成立までかなり時間がかかった印象でした。なぜ?

引き続き見ていきましょう。

連合による反対
“連合は8日、労働時間でなく成果に対して賃金を支払う「脱時間給」の制度化を盛り込んだ労働基準法改正案について、政府に修正を申し入れる方針を固めた”

上記、労働基準法改正案。実は2015年に提出されていました。

野党による反対
“政府は2015年に脱時間給や裁量労働制の拡大などを盛り込んだ労基法改正案を国会に提出したが、野党や連合が「残業代ゼロ法案」などと反発。2年以上国会で棚ざらしとなった”

反対の声があったのですね?

そういうことになります…。そして2018年。

2018年、働き方改革関連法案提出、審議、成立へ

4月6日、提出
“働き方改革関連法案を閣議決定し、国会に提出した。(中略)改革の柱だった裁量労働制の対象拡大は全面撤回に追い込まれた”

裁量労働制はここでなくなったのですね…。

6月29日、成立
“政府が今国会の最重要法案とした働き方改革関連法は29日午前の参院本会議で可決、成立した”

少しだけ解説します。

法案を通過させるため裁量労働をめぐり厚生労働省が調査したデータを政府は提出していたのですが、それに不備がありました。結果

“安倍晋三首相は裁量労働制をめぐる不適切データ問題を受けて、働き方改革関連法案から同制度に関する部分を切り離し、今国会への提出を断念する方針を決めた”

となりました。

また脱時間給も「高度プロフェッショナル制度」としてしっかりと2019年4月から導入されています。その概要は

・年収1075万円以上の専門職
・時間ではなく成果で評価する
・104日以上の休日(取得義務)
・本人の意思で離脱できる

です。

“厚生労働省は(中略)脱時間給制度の対象業務を金融商品の開発、金融のディーリング、アナリスト、コンサルタント、研究開発の5つとする素案を示した”

そして「高度プロフェッショナル制度」はまだ始まったばかり。あまり浸透していないのが実情です。

“脱時間給(高度プロフェッショナル)制度の対象者が、制度開始から3カ月で300人あまりにとどまったことが厚生労働省の調べで分かった”

『働き方改革』が法制度化するまでの流れは、以上となります。

ここからは『働き方改革実行計画(概要)』に基づき、働き方改革について今一度、おさらいしていきます。

 

そもそも働き方改革で何を改良しようとしていたのか?

政府は『働き方改革』を推進し、次の3つを改良しようとしました。

・処遇改善
・制約克服
・キャリア構築

処遇改善

これは主に「正社員」と「非正規雇用社員」の賃金「格差」問題をなくそうとする流れです。

制約克服

制約とはコトバンクによると“ある条件や枠をもうけて、自由な活動や物事の成立をおさえつけること”です。ここでは仕事をするうえで考えられる縛り。つまり

時間/場所/空間/病気/子育て/介護

が該当します。これらの制約をテレワーク導入により、なくそうとする流れです。

テレワークであれば時間や場所にこだわらず柔軟な働き方ができます。

ワーク・ライフ・バランスも確保できますね^^

キャリア構築

これは今回、力を入れてお伝えすべき核心部分ですから、のちほど詳しくご説明いたします。

これらの改良のために長い年月をかけて政府は、法案を通したのですか?

実はまだお伝えしていない、働き方改革の真の目的といえるものがありました。

 

働き方改革は「日本経済再生」「少子高齢化諸問題解決」のため

働き方改革実行計画には、

“日本経済の再生を実現するためには、投資やイノベーションの促進を通じた付加価値生産性の向上と、労働参加率の向上を図ることが必要”

と明記されています。働き方改革で労働参加率を向上させ、日本経済を再生させるという大きな目的があったのです。また

“一億総活躍の明るい未来を切り拓くことができれば、少子高齢化に伴う様々な課題も克服可能”

とあり、働き方改革を通じ、一億総活躍の国創りを実現できれば、少子高齢化にまつわる課題も乗り越えられるとしていたのです。

2016年6月、閣議決定を受け公表された『ニッポン⼀億総活躍プラン』には、⼀億総活躍社会とは老若男女(失敗経験、障害、難病のある⽅も)誰もがあらゆる場で、活躍できる全員参加型の社会である旨、説明がなされています。そしてこのプランの柱のひとつに『働き⽅改⾰』がありました。

ちなみにニッポン⼀億総活躍プランにおける働き方改革の焦点は、働き方改革実行計画上のテーマが9項目なのに対し、

・待遇改善
・長時間労働
・高齢者就業促進

に言及された程度でした。

2016年秋の『働き方改革実現会議』の前までに、かなり細かいところまで詰めていったのでしょうね…。

次章でその9項目、お伝えします。

 

働き方改革実行計画の9テーマ

働き方改革実行計画では次の9項目が検討テーマとなっていました。

改良項目テーマ
処遇改善1.非正規雇用の処遇改善

2.賃金引上げと労働生産性向上

制約克服3.長時間労働の是正

4.柔軟な働き方がしやすい環境整備

5.病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進

6.外国人材の受入れ

制約克服・キャリア構築7.女性・若者が活躍しやすい環境整備
キャリア構築

 

8.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実

9.高齢者の就業促進

テーマ4について補足いたしますが、これはテレワーク導入支援、副業・兼業の推進を指しています。

2020年、COVID-19の影響で半ば強制的にテレワークとなった方もいましたし、テレビやネットでかなり報じられましたから説明するまでもなさそうですが、テレワークとは、

tele(=離れた場所、テレフォンのテレ)+work(=働く)

で、在宅勤務などを意味します。Wi-Fi環境があり、パソコンさえあれば、いつでもどこでも仕事ができます。

あとテーマ7と8は私たちの「転職」「キャリア」と深く結びついてくる可能性が高い項目ですから、新たに章立てして、詳しくお伝えしていくことにします。

 

働き方改革実行計画『キャリアの構築』について深堀りして解説

ここではキャリア構築改良の2テーマ、7.8についてお伝えしていきます。

7.女性・若者が活躍しやすい環境整備

体感的に女性が今の日本社会で働くのはものすごく、しんどいと考えています。

当時のデータですが、実行計画には次の数値が示され、問題提起されていました。

結婚等で退職した正社員女性の再就職<雇用形態別>

正規12%

非正規88%

結局、結婚したらもう正社員で働けず、パートやアルバイトで甘んじている方が多いということですよね。私、この状況、内心、腹が立っていました。

あとは就職氷河期~若者で100万人近くが社会で活躍できていない、そのようなデータが載っています。

そこで実行計画では、

・教育訓練給付を受けられる期間を子育て離職後10年まで拡大
・大学など女性リカレント教育講座の開拓
・配偶者控除制限を103万円から150万円に引き上げる

ことが盛り込まれました。

8.雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援など

単線型の日本キャリアパスを変える、再チャレンジ可能な社会へと変える。それがテーマ8です。

ここ数年、転職市場が活況となっていたのはおそらく、この実行計画テーマ8に基づき官民一体となって、転職・再就職希望者の採用機会を広げようと取り組んできたからこそといえそうです。

もしそうなら働き方改革は一定の効果が得られているということですよね?

あくまでも推測ですが女性向け、若者向け転職エージェントが立ち上がり、特に未経験の若者の正社員就職支援が増えてきたのもテーマ7を受けてでしょう。

ちなみに働き方改革実行計画には、テーマ8について、

・転職者の受け入れ促進のための指針を策定、経済界に要請する
・転職・再就職向けインターンシップのガイドブックを作成する
・日本版O-NETの創設
・技能検定を雇用吸収力の高い職種に拡大
・若者の技能検定受検料を減免

といった策を盛り込みました。

セイジさん、雇用吸収力の高い産業って何? って思っている方も多そうですよ。

そうですね。そのまま解釈すると人手が足りない分野、成長産業、求人数が多い業界では?

そういえば2019年4月から『働き方改革』は始まっています。であれば、計画の内容はもう着手されていてもおかしくありませんよね?

たしかに。そこで「答え合わせ」ではないですが、そこのところ動きがあるのか、何も進んでいないのか確認してみることにします。

 

働き方改革実行計画の進捗確認まとめ

・教育訓練給付を受けられる期間を子育て離職後10年まで拡大
→最大20年まで延長(2018年1月~)

・大学など女性リカレント教育講座の開拓
→リカレント教育課程を設置している女子大あり

・配偶者控除制限を103万円から150万円に引き上げる
→2018年改正済

・転職者の受け入れ促進のための指針を策定、経済界に要請する
→2018年3月30日、「年齢にかかわりない転職・再就職者の受入れ促進のための指針」策定済

・転職・再就職向けインターンシップのガイドブックを作成する
→当方、未確認(見つけることができませんでした)

・日本版O-NETの創設
→2020年3月19日公開

・技能検定を雇用吸収力の高い職種に拡大
→2018年度 ブライダルコーディネート、ホテル・マネジメント、内装仕上げ施工を新設
→2019年度 防水施工、プラスチック成形を新設

・若者の技能検定受検料を減免
→2017年度より35歳未満の技能検定受検料一部減額を実施(対象職種・等級にかぎる)

驚きました! 国は2019年の開始以前から一部、実行していたのですね^^

はい。こうしてみると国の施策は本当にありがたいなと思えますよね!

このようにさまざまな施策が実行されていますが、転職とキャリアアップとしては、日本版O-NETについてきちんと解説しておくべきだと思いました。

 

日本版O-NETについて概要や使い方を解説

O-NETとは?

O-NETといえば日本では結婚マッチングサービスが有名ですが、ここではアメリカで運用されているO*NET(Occupational Information Network)のことで、いわゆる就職支援専門家が活用しているインターネット上のデータベースのことです。

本家アメリカ労働省が提供しており900職種を網羅した、巨大情報源です。

日本版O-NETの探し方

『日本版O-NET』でググれば出てきます。もしくはこちらからアクセスできます。

日本版O-NETは職業を調べられるほかキャリア分析、人材採用支援、人材活用シミュレーションというコンテンツが用意されています。

転職活動は情報戦ですから、このサイトはぜひ、活用されることをオススメします。次項以降、その特徴と職業の調べ方をお伝えしていきます。

日本版O-NETの特徴、求人はない

最初におことわりしておくべきことは、日本版O-NETは求人情報サイトではなく職業情報サイトであるという点です。

日本版O-NETサイト内のトピックスには次のように解説されていました。

“日本版O-NETでは、保有する約500の職業の一つ一つに、職業紹介動画(約90秒)や職業解説文(テキストデータ)に加え、職業興味、仕事価値観、求められるスキル、必要なタスクなど、職業横断的に共通化された尺度の数値データが掲載されています”

500ものお仕事データベースが詰まっているとは。

視覚ビジュアル(動画)でわかるのはいいと思いますね。

つまり就職先、転職先を見つける前段階である人生の目的、自己分析、業界研究において活用できます。

人生の目的・業界研究についての関連記事

自己分析についての関連記事

日本版O-NETにおける職業の調べ方

スキル・知識、免許・資格、テーマ、職種カテゴリー、職業分類、産業別で調査・研究可能で、表にしたのがこちらです。

スキル読解力、傾聴力、文章力…
知識ビジネスと経営、事務処理、経済学・会計学…
免許・資格技術関係、医療・保健衛生・社会福祉、事務処理関係…
テーマ設計・開発する、創作・創造する、エネルギーを作る…
職種カテゴリー事務、管理職 営業 販売…
職業分類管理的職業、専門的・技術的職業、事務的職業…
産業別農業,林業 漁業 鉱業,採石業,砂利採取業…

上記はごく一部ですからぜひ、実際に日本版O-NETにアクセスし、活用されてみてください!

これでミスマッチや短期離職を防げたら、いいですね!

 

まとめ、働き方改革は粛々と実行されていた

2017年に働き方改革実行計画が公表されて、間もなくこの記事をリリースしたのですが、もう3年近く経つことに驚きました。

またしっかりと働き方改革の計画が実行されていることも確認でき、今回、2020年版への更新を決めてよかったです。

これからも『転職とキャリアアップ』では、みなさまの幸せな転職と、自分にやさしい働き方改革が実現できるよう、応援してまいります。

女性のみなさん、キャリア構築を実現するために、負けないでお互い頑張りましょう^^

コメント