・外資系企業出身者の働き方や考え方
・有能感、4つのタイプ
・リストラに遭いやすい2つのタイプ
私が在籍している会社はいわゆる昔ながらの日系企業なのですが、2015年頃、日系企業からだけではなく、意外にも外資系企業から転職してきた人が大勢いました。つまり私は
・外資系企業出身者
・日系企業出身者
両方と一緒に仕事をしてきたことになります。
そして
・役割を把握してしっかりと行う
・きめ細かい
・総じて優秀
上記4点は日系企業・外資系企業、出自に関係なく「共通項」なのではと感じています。しかし両者、働き方に対する意識がだいぶ違うのです。
それってマインドとかスタンスのことですか?
そうですね…。あとキャリアビジョンですかね。
そこで今回はあくまでも私の経験ベースですが、
・外資系企業出身者の働き方に対する意識
両者のちがいをご紹介していこうと思います。
働き方に対する意識、日系企業出身者の傾向
日系企業出身者、私もそう(当事者)なのですがここでは、新卒入社時から在籍しているいわゆるプロパー、職場の同僚に照準を当て、彼らがどのような意識をもって働いているのか、日頃から感じている傾向にクローズアップし、ご紹介していきます。
日系企業出身者の働き方、その意識
日系企業出身者は自分の仕事、役割とみなしているものはほぼすべて、かなりしっかりとこなします。しかし同僚ら(他人)がやっている仕事に興味を抱くことは微塵もないように思えます。そして新しいことにもなかなか挑戦しようとはしません。
そうそう。みんなそれぞれ自分の仕事に集中していますからね。わかります。むしろ余裕がなくて自分のことで手一杯という感じもしますけど…。
納期限までに終わらせよう、最後まで自分の手でやり遂げようとしますから。それだけみな責任感が強いということかもしれませんが。
仕事を手伝ってもらいたいときもありますけど、みんな殺伐としていて「話しかけるな」モードの方もいたりしますよね^^
同僚が仕事手伝ってくれない。何故。
— スズカ (@iwakagami_67) September 7, 2015
まあ同僚の仕事を手伝うにしても前提として、自分の仕事がきっちり終わっていないと、ムリなお話ですよね?
これは日系企業においてはかなり重要です。ある意味、その業務のスペシャリスト(職人)になってしまえば自分の会社、部署、職場におけるポジションが確立され、それが大きな自信、成長、有能感にもつながりますし、企業のなかで存在感を増せます。
有能感とは?
有能感は読んで字のごとく、能力があると感じることです。
ちなみにですが、名古屋大学大学院教育学研究科教授で心理学者の速水敏彦氏によると、有能感には4つのタイプがあるといいます。
・自尊型
・全能型
・萎縮型
・仮想型
上記は好ましい順に並べてあります。同じ有能感を持つなら、自尊型有能感を持ちましょうということですよ。
これら4つ、どう違うのです?
表にまとめました。
自尊型 | 自分の能力に満足していて自信がある、他者は尊重 |
全能型 | 自分は有能、他者は無能だと不満に思っている |
萎縮型 | 自分は無能と思い込み劣等感が強い |
仮想型 | 自分は有能と思い込んでいるが実際は違う、他者を見下す傾向 |
結局、萎縮型は有能感を抱いていないということで、仮想型は自分を過大評価しているということ。周りから見ると実際は何もできていないのに、できていると思い込んでいるということです。
自尊型有能感以外を持ってしまうと、仕事はうまくいかなくなるのでは? ときに同僚らとトラブルになりそう…。
そうですね。少なからず不和につながると思います。
有能感を持つことは大事ですが、それがしっかりと自尊型になって確立できているかセルフチェックが必要です。仕事を円滑に、自信をもって進めていくためにも一定の有能感は持つべきですが、
・自他ともに認める能力が備わっている
・他者に不満などを持っていない
・他者を見下していない
かどうかはぜひ、定期的にセルフチェックいただき、自尊型有能感を高めていただきたいです。
そういえば有能で黙々と仕事をする人は、どことなく孤高なイメージがあります。コミュニケーションは苦手なのに周囲からは一目置かれ、尊敬されています。
会社、部署で一目置かれる、これこそがポジションが確立した状態ということですよ。
実はこれは、日系企業の終身雇用・年功序列が産みだした日本独自のポジションなのかもしれません。
終身雇用・年功序列が生み出した働き方
企業内でスペシャリストとしてポジションを確立した方は、他の仕事にはまったく興味を示しません。他の仕事とはここでは、自分が今まさに取り組んでいる以外のすべての仕事、同僚の仕事だけではなく、職種、職業、業界も含みます。
なぜなら自分の仕事さえこなしていれば、問題なく普通に生活できるだけの給料がもらえるからで、しかも年齢とともに半自動的に役職を与えられ、給与も上がっていくからです。
余計なことをする必要もありませんので、他の仕事は受けません。
たしかに自分に与えられた仕事だけをきっちりこなせば、たとえコミュニケーションが苦手でも会社は低評価をつけることはありませんよね。
まあ終身雇用・年功序列が守られている会社だからこそですよ。
大手、大企業で従業員が多いと、仕事も細分化されやすいです。そのため各人、裁量を与えられたとしてもごく一部だったりします(会社も裁量を付与しやすい)。
例えると大手、大企業は「ハンドルだけ」車のパーツ部品を取り付けるような仕事でよく、それ以外の中小、ベンチャーなどは「ハンドルだけではなくシートもタイヤも」と幅広く、いろいろなことをこなさなければなりません。
ごく一部だからこそ、スペシャリスト化しやすいのですね。
さすがです!
対し中小、ベンチャーは人手が足りませんので、なんでも任される傾向が強く、コミュニケーションをとらないとうまく回らないことも多々あります。
自分の仕事だけではなく他人の仕事にも目配せし、ときには余計なことをし、積極的にコミュニケーションをとらないといけません。
また終身雇用も年功序列も崩壊している会社では、自分の仕事だけをこなしているだけでは、周囲から酷評されるばかりで、給料も上がるどころか下がるおそれもあります。
そういわれるとそうかも。5、6人の組織だと黙々と仕事をしている人は、孤高というより孤独? ちょっと浮いた存在になりやすいかもしれませんね…。
自分の仕事をきっちりこなしているだけでは通用せず評価されないのが、人手不足の中小企業、少数精鋭組織の特徴かもしれませんね…。
わかります。人手不足だからこそみんなで協力しないと仕事は進みません。「自分の仕事だけやる」という姿勢を貫かれるとやはりイラっとしますね…。
ここまで読み進めていただき、
日系企業で終身雇用・年功序列の会社では自分の仕事をきっちりこなすだけでポジションを確立できる
ということがおわかりいただけたと思います。そのため敢えて新しいことに挑戦する必要もないわけです。
そして一度ポジションを確立した方は以後10年、20年、30年とずっと同じことをやる傾向が強いのも日系企業の特徴です。
さらに50代に突入して定年まであとわずかな方は、ある程度ゴールが見えてしまっている状態です。年齢的にも体力的にも時間的にも新しいことを始めるのは億劫でしょう。
ポジションを確立しひとつのことだけをやってきた方の多くは潰しが効きません。そのため新しいことをやろうとしても「何をしたいか」が思い浮かばず、結局「できない」で終わってしまうわけです。
そういえば親戚のおじさんも早期退職後、しばらくは何をしていいかわからず、家の中でずっと考え込んでいたみたい。
そんな50代、定年後もなお日系企業は、ポジションを与え続けてくれます。
日系企業はポジションを提供し続けてくれる
日系企業は従業員が50歳以降になると
・家のローン
・子の教育費
と多額のお金がかかってくることを理解していますし、子が結婚適齢期となれば親として、
・それなりの世間体、役職があったほうがいい
というのも心得ています。
そのため日系企業は、業績が堅調で経営状態がわるくないかぎり、長年働いてきた従業員の役職、給与、雇用を奪うことは原則なく、誰から何を言われるでもなく一定のポジションをずっと提供し続けてくれます。
例えばIT業界はシビアなイメージで、実際ほとんどの企業がそうなのですが、そこそこ歴史のある日系企業は手厚く、人を大切にしています。
ちなみに変化に富むイメージが強いかもしれませんがIT職は基本、業務内容がコロコロと変わることは少なく、同じシステム・役割をずっと担うことが多いです。
といった具合に、新卒入社して20年も勤務してきたのに、倉庫システム運用しか担当してこなかった、そんな方も少なくありません。
補足すると要件定義や設計はベンダーに丸投げ、あとは納品されたシステムを運用するだけというラクなケースも目立つのです。
倉庫システム運用の転職求人なら最強、即決で内定がいただけそうですね。
はい。それ以外だとやはり潰しが効きません。
汎用スキルまでもが怪しい方はそれこそ、使い物にならないかもしれません。そこをどう克服していくかがポジション確立者の悩みでしょう。
しかし多くの方は、そのような弱点を露呈する必要はなく、自分の仕事だけをしっかりとこなし無事に定年を迎えさえすれば、退職金が支給され、まだまだバリバリ働きたい方には物足りないかもしれませんが、なかには嘱託社員として再雇用され書類整理やカンタンなヘルプ業務などそれなりのポジションがいただけるのです。
会社に守られていますね^^
そう実感している方は特に変化を嫌うのでしょう。しかしチラッとお伝えしましたが会社はもう守ってくれないかもしれません…。
終身雇用・年功序列の崩壊はこれから本格化?
・自分の仕事だけやる
・新しいことはやらない
これまで日系企業で働かれていた方は、これはこれで問題ありませんでした。しかしもう終身雇用・年功序列はオワコンに近い状態です。
私はすでに2つの会社で、
終身雇用、年功序列がもろくも崩れ去るものすごい瞬間
をリアルタイムで見せつけられました。
1社目 | 給与・ボーナス大幅カット+多くの人が社外に強制転籍 |
2社目 | 給与・ボーナス大幅カット+多くの人が社外に強制転籍+強制退職 |
意図せず数年間に訪れた2つのリストラ劇。本当にもう二度と見たくないです。
リストラに遭いやすい2タイプ
まさかこのような憂き目に遭うとわかっていたなら絶対、電機業界やメーカーを選ぶことはありませんでしたが、誰もが明日のことさえ読めません。ましてや数カ月後、1年後もです。
本当にメーカー、製造業はことごとく荒野になったところで火を放たれたような状態でした。給料はとてつもなくガツンと落ち、完全なる焼け野原へと変貌していった会社はたくさんあったと思います。
景気が悪化し会社はそれこそ多くの社員をリストラします。特にその対象となったのがルーチンワーカー、つまり先述のポジションを確立して長年、自分の仕事だけを忠実にこなしてきた人たちだったのです。
またアウトソーシング可能な業務をやっている人も集中的に退職勧奨を受け、頑なに応じなかった場合は、会社は無情にも転籍を命じ、本体から切り離しました。
今まさに
・ポジションを確立して仕事をしている人
・アウトソーシングできる業務をしている人
は弱く、この2タイプの方はリストラの危機に瀕すると、いの一番に斬られるということですよね?
その可能性が高いです。
そういった人たちは、どうすれば?
いい質問ですね! 次項で解説していきますよ。
不意にやってくるリストラ対処法
会社が一度でも大きく傾くと、決断が早い経営陣ならあっという間にリストラへと舵を切ります。転職を決意してもスグに転職できるわけではありません。そのため次のあてもないままクビになってしまいます。
私もそういう方、たくさん知っています…。
会社が絶好調の間はオススメできませんが、もしも今後、会社の不穏な動きを察知したなら、その時点で素早く動けるよう、次のことをオススメいたします。
・転職エージェントに登録しておく
・時間があるときに求人を見ておく
・履歴書や職務経歴書を入力しておく
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なかには就活生向け記事もありますが、社会人の方が読まれても、わりかし転職活動時の参考になりえると思いますよ^^
以上、日系企業出身者の傾向についてお伝えいたしました。次は外資系企業出身者の傾向についてお伝えしていきます。
働き方に対する意識、外資系企業出身者の傾向
外資系企業出身者の働き方、その意識
これまで職場だけではなく取引先にも知り合いにもたくさんいて日々、接してきている外資系企業出身者。私が知るかぎり優秀な方が多く、仕事もかなりデキ、信頼もできる、安心して協力、行動を共にさせていただいています。
そして外資系企業出身者は
・変化していく
といった意識が強いようです。やはり外資系企業で働く人は若い頃から、いろいろな仕事を割り振られるため経験値は日系企業社員の比ではありません。見聞きしてきたかぎり、とにかく総合的なあらゆる力を鍛えられるようです。外資系企業ではいろいろなプロジェクト、いろいろな役割を担い経験を積むからでしょう。
外資系企業出身者はそれだけ、経験値が高いということですよ。
外資系企業ですと担当領域・分野はある程度、絞られてしまうのですがそのなかで、
・ベンダーコントロール
・経営陣や取引先、顧客への提案
などをしっかりと任せられ取り組み、やり遂げます。もちろんその過程で、専門性だけではなく汎用性も身につき、自然といろいろな事柄に対応できるようになるのです。
このように仕事を通じて鍛えられると人は往々にして、新しいことにチャレンジできるタイプに育つといいますか、必ず成長します!
また挑戦は基本、ゼロからのスタート。最初のうちは当然、いろいろな人に知識のなさや行き届いていない所作を叩かれ、精神的に追い詰められるでしょう。
しかし10年近く挑戦を繰り返していると相当なスキルを手に入れ、すげ替えできない人材へとなっていきます。
あ、思い出した。ちょっと待ってください! そういえば日系企業でも総合職ならさまざまな部署、職種に異動し、新しいことに挑戦し、経験を積んでいくのでは?
たしかに。ジョブローテーションのことですね?
日系企業は新しいことに挑戦させるというより、既存業務を上司や先輩が教えていくスタンスです。やはりここでも学ぶというポジションを与えられるのですが、若いうちはよほどのことがないかぎり、
・責任重大な
・失敗の許されない
仕事を担当することは稀ではないでしょうか。
なるほどです。
実はこの記事、2015年にしたためて初版を公開したのですが、当時の上司の話が印象に残り、そこからインスパイアされたものでした。
どんな話だったのです?
外資系企業出身の上司の話
実は私が尊敬してやまない当時の上司もまた、外資系企業出身者でした。
「うちの会社、どう思いますか?」とだけ聞いてみたところ、上司の言葉がとても印象に残りました。ここでご紹介させてください!
上司はこのようなことを日々思い、考えていることがわかりました。
なんか素敵。自分が使いやすいように育てるではなく、部下が羽ばたけるように育てるということですよね?
やはり外資系企業出身者ならではの考え方だなと思いました。
日系企業しか経験していない上司だと「変化していく」「転職していく」という発想はなく、言葉にすることもないでしょう。ゆえに外資系企業で経験を積んでこられた方は
・変化していく
という考え方が根本にあり、
ようになるのだろうと思った次第です。
まとめ 自分の生き方に応じて選べばいいのかなと思った
今回は私の経験ベースのお話でしたが、もう少しお付き合いいただけますと幸いです。
自社の人間だけ見ていても、日系企業出身者(プロパー)と外資系企業出身者では、だいぶ働き方や考え方が違うのだなと改めて思いました。
私が経験したように、ゲリラ豪雨のごとく突然やってくるリストラ劇に備え、より高みを目指すためには、上司が言っていたように日々挑戦していくことが理想的です。
ただしみな、そうする必要はなく自分の生き方に応じて選べばいいのかなと思いました。
ポジションを確立してひとつの仕事に打ち込める環境があり、そこの居心地が最高なら、それを貫けばいいですし、運悪くリストラ、ブラック企業に遭遇したのなら自分を守るために変化を求めるのもアリです。もちろんチャレンジ精神旺盛でギラギラしている方は外資系企業でとことん、納得いくまで挑戦していくのもわるくはありません。
そんな私はといえば社内SEとして、海外、お堅いユーザ部門との調整等対応でそれなりに大変な毎日です。外資系企業出身の上司から新しいことにどんどん挑戦するように発破をかけられ、失敗して叱責を受けたこともあります…。
少し前の私なら「みんな、絶対にスキルを磨いたほうがいいですよ」と断言したと思いますが、やはり人それぞれなのかなと…。
つらいリストラを経験し、さまざまな同僚を見てきて、上司の気持ちも知り、今はなんとなくですが多様性を受け入れられるようになりました。そして
・しっかりとここでしかできない経験を刻む
・次の選択肢を自ら選べるようにする
・どんな仕事も受けられるスキルを身につける
よう「頑張ろう」と私は決意したのでした。
あれから5年…
私は5年前の決意に今もしっかりと支えられています。今しかできない経験をし、どんな仕事も受け、これからも乗り切っていこうと思います。
私も自分の生き方に応じて、働き方を選べばいいと思っています!
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