トライセプスキックバック徹底解剖!|ダンベルを使って追い込む上腕三頭筋

筋トレ
「しっかり上腕二頭筋を鍛えているのに腕が一向に太くならない。」

という悩みや

「上腕三頭筋がうまく意識できない。」

という不満を抱えている方は実は多いのではないですか?

上腕二頭筋の「腕の太さにおける割合」はなんと1/3程度と言われています。
つまり上腕二頭筋ばかり鍛えていてもなかなか腕は太くなっていきづらい。ということですね。

では、どうすれば良いのか。

その答えが「上腕三頭筋」を鍛えること。です!

今回の記事は上腕三頭筋を鍛えるための単関節種目「キックバック」ですよ!

聞き覚えがないという方から、なんとなくわかるというレベルの方まで多くの方にしっかり理解した上で成果を出していただくためにこの記事では

  • キックバックという種目の概要
  • 上腕三頭筋の構造

などに触れ知識をつけて頂いた後に具体的に

  • キックバックの正しいフォーム
  • 長頭、内側頭、外側頭の鍛え分けバリエーション
  • 上腕三頭筋におけるPOF法

について解説していきますよ!
現段階で「長頭」、「内側頭」、「外側頭」、「POF法」などがわからなくても全く問題ありません。

一つずつ順を追って説明しながら進んでいくので安心してくださいね。
読み終わる頃にはしっかり上腕三頭筋を意識して“効く”トレーニングが身についているはずですよ!

 

キックバックってどんな種目?

どんな種目なの?

キックバックは別名「トライセプスキックバック」とも呼ばれる種目です。
トライセプスは「上腕三頭筋」を指していますよ。
名前から上腕三頭筋の種目ですよ。と言っているようですね。

キックバックは直訳すると後ろに蹴り上げる。という意味です。
これはキックバックの動作から来ています。

いかがですか?平行にした二の腕から肘の先が蹴り出されるように上げられていますね。

これがキックバックという種目の概要です。

ターゲットとなる部位〜上腕三頭筋〜

上で触れた通り上腕三頭筋という筋肉がターゲットです。

@Instaglam flexatronrhoden

「ちからこぶし」など目立つ存在の上腕二頭筋に比べて地味な上腕三頭筋は実は腕の太さの2/3をも占めるという大きな筋肉です。

この人は腕が太いな。という人がジムや周りにもし居れば注目してみて下さい。実は腕の背中側、つまり上腕三頭筋が発達していませんか?

上腕三頭筋なくして太く丸太のような腕は実現し得ないのです!

体積としても大きな筋肉であり、

体積順位筋肉
1位大腿四頭筋
2位大殿筋
3位ハムストリングス
4位三角筋
5位大胸筋
6上腕三頭筋
7位ヒラメ筋
8位広背筋
9位僧帽筋
10位上腕二頭筋

上の表は全身の筋肉の体積の大きさを上から順に並べたものです。
赤字になっている上腕三頭筋はなんと6位

大きなイメージのある背中の筋肉、「広背筋」「僧帽筋」よりもほとんどの方にとって大きな体積を誇っていることがわかりますね。

トレーニングにおけるキックバックの位置づけ

キックバックは有効なトレーニングですが、実はそこまでジムでこの種目をやっている人を見かけることはありません。

これは、ジムにはケーブルマシンがあることで「ケーブルプレスダウン」という種目ができることから、そちらを優先しておこなう人が多いためですね。

どちらが優れている。ということはありませんが、両手でおこないやすく、重量設定がしやすいケーブルプレスダウンの方が人気な種目のようです。

後ほど「POF法」にのっとって詳しく解説しますが、トレーニングの役割としても似た部分が多いため、重複させずにどちらか好きな方を選択する場合がほとんどなのですね。

逆に言うとジムにケーブルマシンがない方や、自宅にてダンベルでトレーニングをしている方が上腕三頭筋を鍛えたい場合はほとんど必須種目ですよ!

 

上腕三頭筋を鍛えて得られるもの

ここから上腕三頭筋の構造といきたい所なのですが、その前に上腕三頭筋を鍛えるメリットをここで確認しておきましょう。

トレーニングは継続するモチベーションがとても大事です。
漠然とやるよりもメリットを強く印象づけることで「今日はジムに行くの気乗りしないな、」というような日でも一歩を踏み出すことができるのです!

メリット① 太くボコボコの腕が作れる

これはもう言わずもがなですね。
上腕三頭筋は腕の太さの約2/3を占める大きな筋肉でした。

鍛えて筋肥大させることで腕の太さはもちろん、ボコボコと立体感のある上腕を作ることができますよ!

@Instaglam chriskavvalos_

メリット② 投擲系のスポーツのパフォーマンスアップ

上腕三頭筋の作用は肘関節の伸展です。
つまり肘を伸ばす動作ですね。

スポーツにおいてこの動作が特に利用されるのが投擲、つまり投げる動作です。

野球やラグビー、やり投げ、砲丸投げなど様々なスポーツのパフォーマンスアップが見込めますよ!

メリット③ プッシュ系のトレーニング種目の記録が伸びる

肘関節の伸展を利用する動作が投擲以外に実はもう一つあります。
それは「押す」動作ですね。

ここで試しに壁を押すような動作をしてみて下さい。
自然に腕の裏側(上腕三頭筋)が固くなりませんか?

この壁を押すという動作、実は仰向けでおこなうのが「ベンチプレス」「ダンベルプレス」うつ伏せでおこなうのが「腕立て伏せ」です。

つまり、向いている方向が異なることから押す方向も変わるものの、本質的な動作は同じです。

ベンチプレスなど記録に挑戦しているけどどうしても記録が伸びない、伸び悩んでしまっている、という方は上腕三頭筋を強化するというアプローチで、一気に壁を超えられるかもしれませんよ!

メリット④ なんとなくの迫力が増す

前から歩いてきた人や仕事で出会った人などの中に「なんとなく迫力があるな。」「なんとなくデカイな。」と感じたことはありませんか?

トレーニングをしていない時ならなんとなくデカイ。という印象にとどまりますが、トレーニングを進めていくうちにそういう人に出会う度に

「この人は広背筋と僧帽筋がデカイ」
「この人は大胸筋が分厚い」

というふうに自然に分析してしまうものです。
少なくとも私はそうです。

そうしていくうちにデカイな、と感じる人の多くは「上腕三頭筋がデカイ」ことに気づきます。
これは、例え長袖を着ていてもわかるものなのです。

つまり、裏を返せば上腕三頭筋を鍛えるだけで素人目に「なんとなくデカイ」印象を手に入れることができますよ!

 

ターゲットとなる筋肉の構造

さて、いよいよメインターゲット上腕三頭筋の構造について詳しく見ていきましょう。

そんなこと知って意味あるの?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際にものすごくデカイ人と話す機会があったら聞いてみて下さい。彼らはほぼ間違いなく筋肉の構造に詳しい人間です。

なぜなら、構造がわかっているのといないのとでは絶対に効果に差が出てくるからですね。
なんとなくトレーニングをし続けても、もしかしたら継続し続ければ大きくなるかもしれませんが効率は悪いと言わざるを得ません。

このページに辿り着いた皆さんにはぜひ回り道をせずに、最短距離で狙った部位を大きくしていただくために、“構造”は避けては通れない知識なのです!

上腕三頭筋

起始:肩甲骨、上腕後ろ側
停止:前腕(尺骨)の後面肘側
作用:肘関節の伸展

起始停止、作用って?

起始停止はそれぞれ骨などへの付着部分を表しています。
起始と停止にそれぞれ付いている筋肉が縮むことで骨の位置関係が変わり骨格が動く。という仕組みですね。

つまりどことどこに付着しているかを知っていれば、どのような動きをするかもなんとなく想像がつくはずですよ。

起始は基本的に身体の中心により近い付着部、停止は中心から離れている付着部を指しており、ほとんどの場合起始に向かって停止が引きつけられるような動作をします

この動作のことを解剖学的には「作用」と表現しますよ。

上腕三頭筋の起始停止

それでは上腕三頭筋の起始停止をチェックしましょう。

起始は肩甲骨及び上腕の背中側にあります。
一方の停止は前腕の骨の肘付近にあるようですね。

つまり前腕が肩甲骨及び上腕に引きつけられるような動作が作用になるはずです。

作用は「肘関節の伸展」つまり肘を伸ばす動作ですね。前腕側の肘付近が上腕側に引きつけられることで肘関節が伸びる。とイメージするとわかりやすいはずです。

上腕“三”頭筋 3つの頭

上腕三頭筋はより細かく分けるとその名の通り3つの起始を持つ筋肉です。
また、厳密には作用にもそれぞれ棲み分けがあります。

これらを理解して種目ごとに鍛え分けるなど工夫することでより太い腕を実現できますよ。

それではそれぞれの起始を見ていきましょう。
頭毎の上腕三頭筋起始

  • 長頭:肩甲骨(関節下結節)
  • 内側頭:上腕骨(後面、橈骨神経溝下部内側)、内側上腕筋間中隔、等
  • 外側頭:上腕骨(近位後外側面)、外側上腕筋間中隔

それに対して停止部分は前腕にある尺骨(身体に近い方の骨)の肘頭に、内外頭は肘関節包後方にと、概ね肘付近に収束しています。

先程上腕三頭筋の作用は「肘関節の伸展」と書きましたが、厳密にはこのそれぞれの起始に対して微妙に作用が異なります。
起始ごとの作用

  • 長頭:肘関節最終伸展、肩関節の伸展及び内転、肩の下方脱臼防止
  • 外側頭:肘関節最終伸展
  • 内側頭:肘関節初期伸展、伸展時に肘関節包を後上方に移動させる

以上が起始ごとの作用の違いです。

つまり、厳密に言うと鍛え分けをおこなう為には、それぞれ違う動作でトレーニングをしてやることが必要なのですね。

 

起始ごとの鍛え分けの方法

長頭

長頭三頭筋の中でも最も長い筋肉であり、唯一肩甲骨に起始を持つという特徴がありましたね。

その為、長頭は肘関節の伸展だけではなく、肩関節のポジションによっても負荷が変わってきてしまいます。

これは先程確認した起始ごとの作用にも現れていますね。
・ 長頭:肘関節最終伸展、肩関節の伸展及び内転、肩の下方脱臼防止

そこで、長頭を鍛えたい場合は“肩関節にもストレッチをかける”ことを意識しましょう。

具体的な種目としては

  • フレンチプレス
  • 肘を閉じたプルオーバー
  • ケーブルプレスダウン(変形)

など腕を上げ、肩関節を進展した状態で上腕三頭筋に負荷がかかる種目が上腕三頭筋長頭に負荷をかけやすい種目ですよ!

また、肩関節の内転、という作用もあることから、肘を絞り込むような動作も長頭への刺激を増すための方法として有効です。

外側頭

外側頭は体の中心から見て腕の外側を象る筋肉であり、太くゴツゴツした腕を作る上では欠かせない部位です。

外側頭の作用は肘関節の最終伸展、伸び切る手前で特に稼働しているようですね。

ただし、この作用は長頭の作用でもあります。
そこで長頭の動員を低くすることで外側頭への負荷がより大きくなる。と考えられますよ。

刺激量(長頭+外側頭)=負荷

刺激量(長頭+外側頭)=負荷

というイメージですね。

刺激量が同じなら他の動員を減らしてやることでより狙った部位にフォーカスができる。というのもトレーニングに共通する重要な考え方なのでここで覚えておいて下さいね。

長頭の動員を増やす為には肩関節の伸展及び内転をしてやることでした。
ここでは動員を減らすため、逆に肩関節を固定し、長頭が緩んだポジションをとることを意識しましょう。

具体的な種目として

  • キックバック
  • ナロープッシュアップ
  • ケーブルプレスダウン

など肩関節の稼働を抑えやすく肘関節の最終伸展時に負荷がかかりやすい種目がおすすめです。

長頭を稼働させないために肘を絞り込むような動作はNGですね!
内側頭と比べて肘が開き気味の方が外側頭に刺激が入りやすいという特徴も頭に入れておいてくださいね!

内側頭

内側頭は起始も肘付近にある三頭筋の中では最も短い筋肉です。

内側頭の作用は
作用:肘関節初期伸展、伸展時に肘関節包を後上方に移動させる

と、先程までの2つと異なり初期伸展時に負荷がかかりやすいという特徴がありますね。

長頭の動員を減らすという部分は同じです。
肩関節の伸展及び肘を絞り込む動作を抑え、肘は閉じ気味でおこなう上腕三頭筋種目が特に有効です。

具体的な種目として

  • ナローベンチプレス
  • リバースプッシュアップ

などが特におすすめですよ!

いかがですか?
実はここまでおすすめの種目を紹介してきましたが、起始ごとの特徴や動きを理解していればどの種目でも工夫次第で狙った部位に効かせることが可能です。

ご紹介している種目はあくまで「意識しやすい。」種目なので、自分で色々試しながら、「俺の場合長頭狙いはこの種目が効かせやすいな、」というように自分に合った種目を探してみてくださいね!

 

キックバックの基本フォーム

それではいよいよ具体的にキックバックのフォームについて解説していきますよ!

上腕三頭筋の構造は既にバッチリ頭に入っていますよね?
行きますよ!

キックバック|スタートポジション

  • ベンチに片手片足を乗せる
  • ダンベルを持ち上腕を地面と平行のポジションにする
まずは身体を安定させるためにベンチを用意し、キックバックをおこなわない側の片手片足をベンチに乗せてしまいましょう。
身体がぶれないように安定するポジションを探してくださいね。

使用するダンベルは、最初は思っている以上に軽いもので構いません。
キックバックは重量よりも収縮感を重視する種目のため、正しいフォームでしっかり効かせることがまず重要なのです。

ダンベルを用意したら上半身及び上腕が地面と平行になるポジションを取り、ダンベルを掴んでいる前腕と上腕が大体90度になるようにしてスタートポジション完成です!

番外編:上腕三頭筋外側頭狙い

キックバックは本来脇を閉じた状態で肘を固定しておこないます。
しかし、これでは上腕三頭筋外側頭への刺激が少なくなってしまいますよね。

そこでキックバックで上腕三頭筋外側頭を狙いたいという場合は脇を開き、肘を張った状態で動作を進めることが推奨されます。

この動作でももちろん外側頭に負荷をかけることができるのですが、いかんせん安定しづらいというデメリットが発生してしまいます。

そこで、

上の写真のようにベンチや本来上腕二頭筋種目に使う台を利用するのがおすすめです。

こうすることで肘を強制的に固定でき、外側頭への刺激にフォーカスすることができますよ!

キックバック|ダンベルを引き上げる

  • ダンベルを引き上げる
上腕三頭筋を絞るようにして肘を伸展しダンベルを引き下げましょう!

上腕三頭筋の作用は肘関節の伸展でしたね!
キックバックにおいてダンベルを引き上げる動作はそのまま上腕三頭筋の作用と一致します。

ここで一つポイントがあります。
肘のポジションに注意し、スタートポジションで設定した肘の位置を動かさないことを意識しましょう。

上の写真のように肘が動いてしまった場合にはしっかり肘関節の伸展ができていない場合が多いです。

ということは、上腕三頭筋をうまく使えない。ということですね、これではトレーニングをする意味がなくなってしまいます。

キックバックをおこなう際には肘を固定するのが基本と強く意識してくださいね。

 

例外としてより重い重量を扱って大きな刺激を与えたい場合

つまり、キックバックを収縮目的ではなく上腕三頭筋のメイン種目としておこなう場合、いわゆるチーティングという技術を使っておこなうことはあります。

チーティングとは、あえて反動を使うことで本来扱えない重量や回数をおこなう手法です。

ちなみに「チーティング」の対義語は「ストリクト」で、本来正しいフォームでおこなうストリクトなトレーニングが推奨されるものです。

しかし、一部例外的にチーティングを使うことで壁を打破できるというような可能性もあります。
特に限界が来てしまってもう1回も挙上できない。というような場合、あえて反動を使って持ち上げ、下ろす動作(ネガティブ)の刺激だけでもゴリ押しで入れてやろう。というような意図がありますよ。

話は逸れましたが、あくまで反動を使わず、肘を固定したままスタートポジションで地面と垂直だった前腕部分が地面と平行になるあたりまで上げる。というのが基本になります。

キックバック|スタートポジションまで戻る

  • スタートポジションに戻る
負荷をかけ上腕三頭筋を緊張させたままでゆっくりとスタートポジションまで戻りましょう。

脱力して「ストン」とスタートポジションに戻してしまう方もよく見かけますが、これでは“ネガティブな刺激”が得られません。

つまり片道分損してしまう。というわけですね。
休憩はセットが終了してから。
キックバック中は一瞬も負荷を抜く瞬間を作らないよう意識して下さい。

こうすることで、後ほど出てくるPOF法における収縮種目として最大限の恩恵を受けることができますよ。

詳しくは次章で解説しますね!

 

キックバックのPOF法における位置づけ

前章で出てきたPOF法とは何でしょう?
また、キックバックはPOF法においてはどのような位置づけなのでしょう?

POF法とは?

POFとは「Position Of Flexion」の略であり、負荷がかかるポイントによってトレーニング種別を区別することでより効率的なメニューが組めるというメソッドです。

具体的には、

  • ミッドレンジ種目
  • ストレッチ種目(伸展種目)
  • コントラクト種目(収縮種目)

と3種類に分類し、組み合わせることでトレーニングを進めます。

負荷がかかるタイミングとしては、

  • ミッドレンジ→動作中間
  • ストレッチ種目→最大伸展時
  • コントラクト種目→最大収縮時

以上が目安になります。
ただし、確かに種目ごとに向き不向きはあるものの厳密にこの種目は○○種目と分別するよりもトレーニング中にどこの刺激を重視するか、この種目の役割はなにかというように自分で決定し選択をして組む方が結果は出やすいでしょう。

POF法における種目の順番

POF法においては、種目ごとの順番も概ね決まっています。
つまり、枠としては決まっているので後は何の種目をその枠にはめ込むか、というようなイメージです。

さて、その順番とはどのようなものなのでしょうか。

POF法の順番
ミッドレンジ種目→ストレッチ種目→コントラクト種目

以上が正しい順番になります。
それぞれの種目の目的と特性を鑑みてこのような順番になるわけですね。
これも一つずつ見ていきましょう。

ミッドレンジ種目

まずミッドレンジ種目、ミッドレンジ種目はほとんどの場合最も大きな負荷をかけられる種目になります。

例えば胸のPOF法の代表は「ベンチプレス」、脚であれば「スクワット」というように複関節種目の大きな重量を扱う種目がここに当てはまりやすいという特徴があるのです。

つまり、目的は「大きな重量を扱って大きな刺激をターゲットに入れること」です。
この目的を最大限達成しやすいのは事前疲労のないメニューの最初というのがミッドレンジ種目を最初におこなう理由です。

ストレッチ種目

続いてのストレッチ種目は、最大伸展したタイミングで負荷がかかるような種目です。

ストレッチ時に負荷をかけることで筋繊維を機械的に破壊するのが目的ですよ!

ちなみに胸のストレッチ種目で代表的なのが「ダンベルフライ」ですね。

コントラクト種目

コントラクト種目は別名収縮種目。
その名の通り最大限収縮した際に最も負荷がかかるような種目を指しています。

この種目は動作中に負荷が抜けづらく「パンプアップ」を狙うのに適しています。

当然狙いも「パンプアップ」ですね!
パンプアップをさせることで科学的な刺激を入れてターゲットがパンパンに張った状態で最後の種目を終えましょう。

これは、ターゲットの見た目が大きくなるのでモチベーションアップに繋がることだけが目的ではありません。

パンプアップによって分泌される成長ホルモンなどの筋肥大を促進させる効果が大きいのが狙いです。

効果に関しては実は賛否両論あり、未だにトレーニング界においても結論は出ていませんが、昔から日本でも「充血法」の名で広く流通しているトレーニング法であり、最近流行っていた「加圧トレーニング」もこのパンプアップを目的としています。

ほとんどのトレーニング法は毎年生まれては淘汰されていく中で、長く採用され続けているトレーニング法というのはそれだけで試す価値があるものですね。
今まで結果を出してきたことの証拠ですから。

胸のPOF法でここまで例えて来ていますから、ここでも胸のコントラクト種目を一つ紹介しましょう。

胸のコントラクト種目で代表的なのはケーブルクロスオーバーです。

ちなみにPOF法においてこのコントラクト種目を最初に持ってきたらどうなるでしょうか?

パンプアップしてしまって本来のミッドレンジ種目の目的である最大限の負荷を得ることが難しくなってしまいますよね。

POF法の順番の根拠と狙いは以上の通りです。

POF法の重量と回数

概ねですが、POF法の狙いと特徴を理解していればおのずと種目ごとの重量と回数も決まってくることが想像できるのではないでしょうか?

そのとおりです。

まずミッドレンジ種目の狙いは「最大の刺激」でしたね。
このことから

ミッドレンジ種目
・重量:重め、最大重量の80〜90%が目安
・回数:少なめ、3〜5回程度
・インターバル:長め、3〜5分

インターバルが長いのは疲労によって本来挙上できるはずの最大重量、最大回数を減少させないためですよ!

ストレッチ種目
・重量:通常、最大重量の70〜80%が目安
・回数:通常、7〜12回程度
・インターバル:2〜3分
コントラクト種目
・重量:軽め、最大重量の60〜70%
・回数:多め、13〜
・インターバル:30秒〜1分半

コントラクト種目は以上に加えてセット数が多めでも構いません。
コントラクト種目の目的であるパンプアップは休憩を少なくし、回数を多めでおこなえばより得やすくなっていきます。

もちろん以上は種目や部位によっても変化するので一つの目安と傾向としてなんとなく頭に入れておけば大丈夫ですよ!

 

上腕三頭筋種目の組み合わせ(POF法応用編)

前章で学んだPOF法を今回のテーマである上腕三頭筋で考えてみましょう!

例:
ミッドレンジ種目:ナローベンチプレス
ストレッチ種目:スカルクラッシャー、フレンチプレス
コントラクト種目:キックバック、ケーブルプレスダウン

最も大きな重量を扱えるナローベンチプレスで大きな刺激を得て、スカルクラッシャーやフレンチプレスのようなストレッチ種目で特に「ネガティブな刺激」を重視し、最後にキックバック、ケーブルプレスダウンのような種目でパンパンになるまで追い込む。

というのがおすすめです。

種目にはそれぞれ得意、不得意もありますよね。
また、フレンチプレスは長頭への刺激が特にかけやすい、というように先程上で解説した部位ごとの要素も考えながら、最も自分に合った、成長しやすい組み合わせを考えていって下さい!

POF法に則って考えれば大間違いのトレーニングにはならないので安心して創意工夫できますよ!

 

まとめ

「キックバック」の記事はお楽しみ頂けたでしょうか?
上腕三頭筋をいかにして太くしていくか、イメージはできましたか?

上腕三頭筋は正しく鍛えればすぐに結果が出やすく、トレーニングしていて非常に楽しい部位です。

最後にキックバックの最重要ポイントをここでもう一度おさらいしておきましょう。

  • 基本的には肘の位置を固定する
  • スタートポジションまで戻す時も負荷をかけ続ける
  • POF法における収縮種目として非常に優秀

また、この記事ではPOF法とPOF法に基づいた上腕三頭筋種目の組み合わせ方についても学びましたね。

この考え方は基本的に部位が変わっても共通するトレーニングの技術の一つです。

このようにこの記事には他のトレーニングにも応用できる技術が散りばめられています。
「なるほどこんなふうに考えてトレーニングすればいいんだな。」という発見が一つでも見つかったなら幸いです!

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