エントリーが終わり、SPIなど筆記試験をクリアしたあとに待ち受けるのが面接やグループディスカッションです。
グループディスカッションとは、会社採用選考のひとつで、6人前後の学生に分けられ人事担当者(会社側)からテーマや課題と制限時間を与えられて、時間内に議論し、答えを導き出すワークショップのようなものです。多数決は不可だったりします。
就活本の情報も大事ですが、ここ近年のグループディスカッションについて、実際どうなのか気になりました。
そこで20代の就活経験者の方にアンケートを実施してみましたので、その結果(リアル)をお伝えするとともに、そこから導き出したグループディスカッションを成功させるための3つのコツもご紹介いたします。
グループディスカッションのリアル、アンケート結果
アンケート情報
アンケート概要
- 実施媒体:クラウドワークス
- 実施日時:2018年4月9日~23日の2週間
- 有効回答:52人
アンケート回答者の卒業年度の内訳
- 2011年卒…7人
- 2012年卒…4人
- 2013年卒…10人
- 2014年卒…8人
- 2015年卒…6人
- 2016年卒…7人
- 2017年卒…7人
- 2018年卒…3人
実施企業の情報と規模・人数
グループディスカッションを実施している企業の規模内訳
- 東証一部上場企業だった…19人
- 東証一部上場企業ではなかったが大企業だった…8人
- 全国規模だが中小企業だった…7人
- 地場企業だった…7人
- ベンチャー企業だった…5人
- その他…6人
東証一部上場企業や大企業はもちろん、全国展開・地場関係なくさまざまな企業でグループディスカッションが行われていることがわかりました。
グループディスカッションを実施している企業の業種内訳
- IT(通信・インターネット・ゲーム含む)…11人
- 金融…4人
- 商社…3人
- 建設…3人
- 衣料品・アパレル…2人
- 食品…2人
- 航空会社・エアライン…2人
そのほか、コンサルティングファーム、ブライダル、ホテル、リゾート、運送業、化粧品、介護、学校法人、広告、百貨店、地方公務員といった回答も見受けられました。
このように業種に関係なく、企業や自治体がグループディスカッションを積極的に実施していることがわかりました。
ここから、何人で議論したのか、立ち会った人事担当者の数など、グループディスカッションのリアルについて、ご紹介いたします。
- 2人…1
- 3人…3
- 4人…5
- 5人…14
- 6人…19
- 7人…4
- 8人…4
- 9人…1
- 10人以上…1
グループディスカッションは就活本では、6人前後が基本とされています。アンケートでもそのとおりの結果となりました。
小中学校の班もだいたい5~7人で分かれていた記憶がありますし、実際に会社の部署も最小ユニットはこのくらいです。
この人数編成には何か理由があるのではないかと思いました。はたして根拠があるのでしょうか? 調べてみました。
グループディスカッションの人数の理由(考察)
それはSpan of Controlにあるようです。
Span of Controlは、マネジャーが1人で直接管理する部下の人数や業務領域を指しているのですが、直接管理可能なのは5~7人程度といわれています。
それ以上になると、部下との人間関係が薄くなり、良好なコミュニケーションがとれにくくなるとも考えられているようです。
とくにディスカッションにおいては、進行係、時間管理係、書記係などを選任したあと、議論になりますので、進行係がリードしやすいよう、6人と設定しているのかもしれません。そのほか、
- あまりにも多いメンバーだと各人、発言の機会が減る
- 発言をしても全員に伝わりにくくなる
という理由も考えられます。
グループディスカッションでは、
- 必ず発言する
- 同じグループの全員に自分の考えを伝える
- 簡潔に意見を述べる(限られた時間内ですので)
ことが必要でしょう。また書記係が筆記しやすいよう、なるべくカンタンな言葉や言い回しを使うようにすると、なおいいです。よく考えてから瞬時に発言しましょう。
グループディスカッション時の人事担当者の数
グループディスカッションの内容や様子をチェックしていた人事担当者の数については次のとおりです。
- 1人…8
- 2人…19
- 3人…12
- 4人…7
- 5人…3
- 6人…2
- 10人以上…1
グループディスカッションで実際に出たテーマ・課題
過去5年のグループディスカッションでは、次のテーマ・課題が出されたようです。
- 過疎化の進行を防ぐ手段について考えよ
- ネット時代における仲卸売業の意義について
- 今後のネットとテレビについて
2017年卒が実際に議論したテーマ・課題
- 環境問題に対して企業ができること
- 仕事をするときに大切なことを3つ挙げてその理由を述べる
- あと少しで課題が解決しそうだが納期に間に合いそうにない
- 事業をさらに発展させるには
- 街の観光を活性化させるプランづくり
- 5人のキャラクターの中で採用したいのは誰?
- 仕事は拙速か巧遅か
2016年卒が実際に議論したテーマ・課題
- 100年後になくなる職業
- マッチ棒を使った頭脳ゲーム
- 自社化粧品について、イメージ
- 働くことの意味とは
- 就職イベントでより効果的に企業のアピールをする方法
- A店のコンビニが他店に比べてコーヒーの売上を上げるためには
- 住民がより住みやすい街にするために必要なこと
2015年卒が実際に議論したテーマ・課題
- まったく知られてない新商品をどのように売り込むか
- 観光に来た外国人にどのような食べ物をオススメするか
- 仮想3社の洗剤の中から1つを選びプレゼンする
- つくりたいゲームについて
- TPPは必要か不要か
- 新しい結婚式のかたち
2014年卒が実際に議論したテーマ・課題
- 高齢化社会における福祉環境について
- 無人島に残された複数の男女を救出する順番
- 無人島に持っていくもの
- 世界から戦争をなくすことは本当に可能か不可能か
- (当該)企業の海外認知度を向上させるための策を考える
- 地域密着の金融機関として求められることは?
- 飲食での闇をなくすには?
- 通信販売をするうえで、顧客からの信頼を得るためにどうすべきか
こうして見てみると、大きなテーマのもの、抽象的なもの、具体的なもの、身近なもの、答えやすそうなものと課題やテーマはさまざまでした。
グループディスカッションで与えられた時間
- 5分程度…2人
- 10分程度…7人
- 15分程度…14人
- 30分以内…17人
- 30分~45分…2人
- 45分~1時間…10人
15分程度~30分以内が31人で全体のおよそ6割を占めました。就活本には30~45分が基本となっていましたが実際は、少し短めに設定している企業が多いようです。
ここまででグループディスカッションの実際がどのようなものかわかったと思います。
今度はグループディスカッションでどのような役割を引き受けられたかも訊いてみましたので、併せてご紹介します。
引き受けたグループディスカッションの役割
- 進行係…9人
- 時間管理係…6人
- 書記係…4人
- 発表係…1人
- 役割はなかった…32人
このように何らかの役割を引き受けたのは20人でした。
ところでグループディスカッションにおいては役割を引き受けたほうがいいのでしょうか? 就活に有利になるのでしょうか?
グループディスカッションが行われたあとの合否等の結果についても訊きましたので、役割別に詳しくご紹介します。
【役割別】グループディスカッション後の結果
進行係のグループディスカッション後の結果
- グループディスカッション以降、呼ばれなかった…2人
- グループディスカッションは通過した…1人
- 最終面接を受けたが内定はもらえなかった…4人
- 採用内定をいただいた…2人
内定したのは2人、最終面接まで残れたのは4人と3分の2にあたる6人が、その後、最終面接まで残っていました。
時間管理係のグループディスカッション後の結果
- グループディスカッションは通過した…4人
- 最終面接を受けたが内定はもらえなかった…1人
- 採用内定をいただいた…1人
書記係のグループディスカッション後の結果
- グループディスカッションは通過した…2人
- 最終面接を受けたが内定はもらえなかった…1人
- 採用内定をいただいた…1人
発表係になったのは1人でしたが、その方は最終面接を受けたものの内定はもらえなかったそうです。
このようにグループディスカッションで何らかの役割を引き受けた方は、20人中2人を除き9割の18人がグループディスカッションを通過していることがわかりました。
また18人中、およそ6割にあたる11人が最終面接まで残っています。
では逆に、役割がなかった32人の方の結果はどうだったのでしょうか。分析してみました。
役割なし学生のグループディスカッション後の結果
役割がなかった方については発言について自己評価もしていただきました。
- 役割はなかったが発言に徹した…28人
- 役割はなく発言もそんなにしなかった…4人
発言に徹した学生の結果
- グループディスカッション以降、呼ばれなかった…7人
- グループディスカッションは通過した…9人
- 最終面接を受けたが内定はもらえなかった…3人
- 採用内定をいただいた…9人
発言もしなかった学生の結果
- グループディスカッション以降、呼ばれなかった…2人
- グループディスカッションは通過した…1人
- 最終面接を受けたが内定はもらえなかった…1人
このように役割のなかった32人中9人が、グループディスカッションでふるいにかけられ落とされています。また10人がグループディスカッションの次の選考等で落とされています。およそ3分の2の方が最終面接まで残れていません。
以上のことから転職とキャリアアップでは次の結果を導き出しました。
- 役割は積極的に引き受けるべき
- 役割を引き受けることができなくてもガッカリする必要はない
- 役割がなかった分、発言に徹するよう心がけるべき
役割を引き受けた学生のほうがグループディスカッションを通過しやすく、その多くが最終面接まで残れています。役割は引き受けたほうがよさそうです。
ただし役割を引き受けることができなかったからといってガッカリすることも焦る必要もありません。
役割がない代わりに発言を積極的にした28人中12人の方は最終面接に残り、うち9人の方は内定を得ているからです。
役割を引き受けなかった方はその分、発言に徹しグループの円滑なディスカッションに貢献しましょう。
もちろん発言することは重要ですが、すべてではありません。グループディスカッションへの姿勢や心構えが成っていなければ評価されにくいでしょう。
そこでグループディスカッションを成功させるコツについても考察します。
グループディスカッションのコツ3つ
最後にアンケートで、グループディスカッションにおける大切なことは何かも選択肢を用意したうえで訊きました(複数回答可)、その結果が次のとおりです。
- 誰とでも分け隔てなく接する…26人
- 全員で協力する…25人
- 積極性をアピールする…21人
- 合理的かつ冷静に語ること…20人
- 時間配分…19人
- 反対意見にも耳を貸し落としどころを見つけること…18人
- 自然体で自分らしくいること…12人
- 役割分担…11人
- 主導権を握る…6人
- 反対意見の存在…5人
- 聞き手に徹すること…5人
- アイコンタクト…4人
- 少数派でも自分の信念を貫くこと…3人
- 個人として目立つこと…3人
以上の結果を踏まえ、グループディスカッションのコツをまとめました。
1.誰とでも分け隔てなく接し協力する
前述したとおり、グループは基本6人前後となっています。
その少ない人数の中で、もし自分が同じグループの参加者から、分け隔てられたような態度をされたら、イヤな気分になりますし、その人の意見には素直に耳を傾けられなくなると思います。
そのため自分からはそのような態度をしないようにし、自分の意見に耳を傾けてもらえる努力をしましょう。まずはこちらから誰とでも分け隔てなく接することが肝要です。
そのためには(アンケートで大切と答えたのは4人しかいませんでしたが)全員と自然にアイコンタクトをとるようにしたいものです。
これは社会に出てからも大切なスキルです。人事担当者はそういうところも見ているはずです。
またグループディスカッションは、議論を通じて協力をしながら答えを導き出す場ですので、自分の意見を発言し、参加者全員の意見をひととおり聞き終えたら、そのまま考えを貫いてもいいのか、ここは折れて多数派の意見に耳を傾けるべきなのか判断し、いずれにしても協力体制に入りましょう。
2.積極性をアピールする
グループディスカッション中は、進行係または発言者の言葉に耳を傾け、動作に目を向けましょう。
また書記係でなくてもペンとメモを用意しカンタンに記録していくことも積極性をアピールする方法です。
3.合理的かつ冷静に語る
合理的というのは、大辞林では「論理にかなっているさま。因習や迷信にとらわれないさま。」を意味します。
発言内容は誰が聞いても納得のいくものか、瞬時に考え判断して発するようにしましょう。そのためには冷静でいる必要があります。
討論番組でよく見かけるような発奮して相手を言い負かすなど白熱した展開ではなく、あくまでも穏やかで和やかな大人の話し合いが理想的な姿といえます。
まとめ
アンケートの内容と考察から以下の事が重要と分かりました。
- 必ず発言する
- グループの全員に自分の考えを伝える
- 簡潔に意見を述べる
- 誰とでも分け隔てなく接し協力する
- 積極性をアピールする
- 合理的かつ冷静に語る
これを意識して1つでも実施できれば内定に近づけますので、ぜひ実践してみて下さい。
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