GDPと就職率の推移を調査し関連性を検証、ウィズコロナ時代の新卒就職活動4つのポイント

2020年夏、未だに新型コロナウイルスの感染収束には至っていません。

いつまで続くのか正直、不安です…。

2020年4月に政府から全国に緊急事態宣言が出され、不要不急の外出ができなくなり、その頃から経済への悪影響を個人的に憂慮していたわけですが、やはり思っていたとおり、いえ思っていた以上の影響が出たことがわかりました。

“2020年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で1~3月期から7.8%、年率換算で27.8%減った。新型コロナウイルスの感染拡大で、リーマン・ショック後の09年1~3月期の年率17.8%減を超える戦後最大の落ち込みとなった”

 

私も「リーマン・ショック規模の経済波乱が起きなければいいのに」と心配していたのですけど…。

それを超える事態となりましたね…。

 

リーマン・ショックとは?

朝日新聞によると、

リーマン・ショック(2009年09月15日 朝刊)

米証券4位のリーマン・ブラザーズが08年9月15日に米連邦破産法の適用を申請。前夜まで続いた身売り交渉が頓挫、政府も救済しなかった。金融機関同士がお互いを信用できなくなって金融市場はマヒし、07年夏に表面化した「サブプライムローン問題」が世界的な金融危機に発展した。おカネの流れが細り、米国を中心に消費や投資が急減。世界同時不況を引き起こした。

とあります。またサブプライムローン問題についても確認しておきます。

 

サブプライムローン問題とは?

コトバンクによると、

“クレジットカードで延滞を繰り返すなど信用力が低い人や低所得者層を対象にした米国の住宅ローン。(中略)米国で住宅バブルがはじけると、証券化商品の価格が急落。売ろうにも買い手が見つからない状態で、関連する証券化商品を抱えた金融機関の損失が膨らみ続けている”

と解説されていました。

これから社会に出る就活生、リーマン・ショックによって日本ではどのような影響があったのかを知りたいはずですよ。

そうですね。

 

リーマン・ショック、日本での影響

リーマン・ショックが起きた2008年以後、日本でも

2008年9月 リーマン・ブラザーズ証券 負債3兆4314億円
2008年9月 リーマン・ブラザーズ・ホールディングス 負債5159億7300万円
2009年2月 SFCG(事業者金融) 負債5500億円
2010年1月 日本航空インターナショナル 負債1兆5279億1900万円
2010年1月 日本航空 負債6715億7800万円
2010年9月 武富士(消費者金融) 負債1兆4949億円
2010年9月 日本振興銀行 負債6805億6300万円

と上記リーマン・ブラザーズ日本法人含む大手各社が、5000億円越えの負債を残し倒産しています。

参考文献

帝国データバンク 平成の大型倒産・上位 30 社

 

そうそう。JALが倒産したニュースは当時、とても衝撃を受けました。

もちろん上記は大型倒産案件であり、国内ではそのほか、リーマン・ショック以後、これだけの倒産が起こっていました。

倒産件数負債総額
2007年14091件5兆7279億4800万円
2008年15646件12兆2919億5300万円
2009年15480件6兆9300億7400万円
2010年13321件7兆1607億7300万円
2018年8235件1兆4854億6900万円

東京商工リサーチ 全国企業倒産状況 倒産件数・負債額推移

 

上記のなかにはリーマン・ショックとはまったく関連のない倒産も、あるのでしょうけど…。

リーマン・ショックの影響がどれほどのものであったか、わかりやすくするために2007年及び2018年の数値も参照にし、サンドイッチのように挟んでみましたが2008年の負債総額12兆円超は突出しすぎています。

これだけの規模ですと倒産していなくても、取引先や提携先企業から直接的にまたは間接的に影響を受けた企業が、無数にありそうですね…。

リーマン・ショックが企業活動に暗い影を落としたことは間違いなく、紛れもない事実です。

雇用も例外なく。でしたよね…。

リーマン・ショック後、リストラ、派遣切りも横行し、転職市場、就職活動戦線も冷え込みました。

セイジさん、さっきのニュースと関連して気になったのですけど、GDPはその頃、どう推移してきたのです?

いい質問ですね! その前にGDPについてもおさらいしておきます。

 

GDPとは?

GDPはコトバンクによると、

“国内総生産。国内で新しく生産された商品やサービスの付加価値の総計。一国の国内の経済活動の規模や動向を総合的に示す指標として用いられ、GDPの伸び率がいわゆる経済成長率に値する”

と解説されています。

GDPの数値が、景気のよしあしの指標であるともいえます。

あ、リーマン・ショックだけではなく就職氷河期まで遡ってGDPの推移を見てみたくなりました…。

それはなぜです?

景気と就職率は関連しているとよく聞きます。ならGDPと就職率の推移を見れば、その関連性がはっきりと可視化されると思いました。

なるほど。検証してみる価値がありそうですね!

そこで次章、GDPと就職率の推移、関係を検証すべく、過去の数値を調べてみることにしました。

 

GDPの推移と就職率の推移(調査)

まずはGDPの数値を挙げていきます。

今から約30年前まで遡り、バブル崩壊以後、ピンポイントで見ていきます。

バブル崩壊(1991年)前後のGDP

1989年度 421兆1825億円

1990年度 457兆4363億円

1991年度 479兆6401億円

1992年度 489兆4110億円

1993年度 488兆7548億円

 

バブル崩壊後、それまでの急成長が止まり、1993年度には前年比マイナスを記録していたのですね…。

リーマン・ショック(2008年9月)前後のGDP

2007年度 513兆233億円

2008年度 489兆5201億円

2009年度 473兆8784億円

アメリカのリーマン・ブラザーズが経営破綻したのが2008年9月15日でしたので、2008年度後半、その影響を存分に日本も受けていたことを上記の数字が物語っています。

 

そして今度は、就職率を見ていきます。

バブル崩壊(1991年)前後の就職率

1989年 79.6%

1990年 81.0%

1991年 81.3%

1992年 79.9%

1993年 76.2%

 

バブル崩壊を機に翌年さらに翌年と、下がってきていますね…。

実はこの下がりようは、まだまだ序の口でした。

1994年以降、回復するどころかどんどん下がっていきます。参考いただきたく以後、追記していきます。

いわゆる就職氷河期です。これは2005年まで続いたのですよ。

就職氷河期の就職率

1994年 70.5%

1995年 67.1%

1996年 65.9%

1997年 66.6%

1998年 65.6%

1999年 60.1%

2000年 55.8%

2001年 57.3%

2002年 56.9%

2003年 55.1%

 

以後回復していきますけど、10年以上の時をかけて55.1%まで落ち込んだのは事実です。

この数字ですと10人中4人、100人中44人が就職できなかったという計算になりますよね?

ですね…。クラスメイトが50人いたら単純に、27人くらいしか内定がもらえなかったということですよ。

ご存じの方も多いと思いますが、この10年超に及んだ就職氷河期に学校を卒業した世代をロスト・ジェネレーションと呼ぶことも、覚えておかれるといいです。

リーマン・ショック(2008年9月)前後の就職内定率

※以下厚生労働省公表毎年10月1日時点就職内定率

2007年度 69.2%

2008年度 69.9%

2009年度 62.5%

 

先ほどもお伝えしたようにリーマン・ブラザーズの経営破綻が2008年9月で、2008年度の就職活動のピークは、その前に迎えていたであろうことから、さほど影響は出ていませんが翌年度、大きく落ち込んだのがわかります。

ちなみに売り手市場といわれた2019年は76.8%でしたので、その差は歴然です。

いよいよ検証ですね^^

 

GDPの推移と就職内定率の推移(検証)

では前章で挙げた数字その他を、比較できるように表に落とし込んでいきます。

GDP(円)就職率・就職内定率(%)
1989年421兆1825億↑79.6-
1990年457兆4363億↑81.0↑
1991年(バブル崩壊)479兆6401億↑81.3↑
1992年489兆4110億↑79.9↓
1993年(就職氷河期始点?)488兆7548億↓76.2↓
1994年495兆6122億↑70.5↓
1995年504兆5943億↑67.1↓
1996年515兆9439億↑65.9↓
1997年521兆2954億↑66.6↑
1998年510兆9192億↓65.6↓
1999年506兆5992億↓60.1↓
2000年510兆8347億↑55.8↓
2001年501兆7106億↓57.3↑
2002年498兆88億↓56.9↓
2003年501兆8891億↑55.1↓
2004年(就職氷河期終点?)502兆7608億↑55.8↑
2005年505兆3494億↑65.8↑
2006年509兆1063億↑68.1↑
2007年513兆233億↑69.2↑
2008年(リーマン・ショック)489兆5201億↓69.9↑
2009年473兆8784億↓62.5↓

統計中、GDPと就職率の前年比上昇、下降が一致する・関連性が認められるといえる年は21年中13年で、一致しない・関連性が認められるとはいえない年(太字)は21年中8年でした。

 

以上のことからGDPと就職率は“ある程度”関連があるといっていいでしょう。

完全にではありませんでしたね^^

参考文献

内閣府 国民経済計算

2004年までの就職率

就活の平成史~売り手・氷河期・売り手のその先は 石渡嶺司

2005年からの就職内定率

厚生労働省 大学等卒業予定者の就職内定状況調査(大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業予定者の就職内定状況等調査):結果の概要

 

GDPと就職率の関連性は完全一致ではありませんでしたが…。

戦後最大の落ち込みとなった以上、安心してはいられません

何かしらの備えが必要ですよね!

そこで『転職とキャリアアップ』としては、これからの就職活動のあり方について考察し、まとめることにしました。

 

ウィズコロナ時代の新卒就職活動のポイント4つ

これからウィズコロナの時代、

1.最後まであきらめない

2.情報の真贋を見抜く

これまで常識といえた1と2に加え、

3.スタートラインを前に

4.オンラインに強くなる

 

計4つが必要と考えましたので、順に見ていきます。

1.最後まであきらめない

これから就職活動を控えたみなさんにお伝えしたいことは、この揺るがない現実です。

大変な時期だけど全員が就職できないわけではない

たしかに。これまでも10人中5~6人は必ず就職できていたわけですからね^^

ですよ。

内定は1社、獲得できれば勝ち組!

極論そういうことなのです。ここまで厳しい数字と現実をお伝えしましたけど、就職は難しい、就職できない可能性が高い、だからもう就職はあきらめようと結論づけるのではなく、

厳しいなかでも内定を勝ち取るにはどうすればいいか

を考えていくべきです。

 

ネットがまだ充実していなかった就職氷河期と違い今は、情報が豊かな時代。ネットで随時たくさん手に入れられますから、対策も立てやすいはずです。

あきらめないで、対策を練りましょう!

2.情報の真贋を見抜く

就職活動は情報戦です

まずは、たくさんの情報を仕入れるところから始めていただきたいです。しかし入手すれば入手するほど、

・不安を煽る
・ネガティブな
・きな臭い

内容の情報も多数、手元に届くようになるでしょう。

親友が良かれと思ってシェアしてくれたものにも潜んでいる可能性があります。

やだセイジさん、これこそ不安を煽るような情報では?

そうですね…。そう解釈することもできますね!

このように発信されている情報を、そのまま鵜呑みにしてスルーせず、細かく一つひとつ真偽をチェックする姿勢が大切です。

チェックが奏功し、不安を煽る情報、ネガティブな情報、きな臭い情報は選別、ゴミ箱へ移すことができるはずです。

情報を細かく見る際の注意力、真贋を見抜く眼力もチェックを繰り返すことで、養われていくと考えます!

 

みなさん、どうか情報の真贋を、確かめるようにしてくださいね^^

これから就職活動に挑む方は、情報の真贋チェック、その取捨選択をしつつ

大変な時期だけど全員が就職できないわけではない

厳しいなかでも内定を勝ち取るにはどうすればいいか

を常に頭に置き、

最後まであきらめず内定をいただけるまで就職活動を辞めない

ようにします。

3.スタートラインを前に

就職活動は例外なく全員、大学3年からスタートする

これは正しい情報でしょうか?

ここではいと答えた方は、情報入手にもっと力を入れたほうがいいということになります。

わかった^^ これってユニクロのことをお伝えしたいのですよね?

さすがです。知っていましたか!

ユニクロは通年採用を導入しています。そして大学1、2年の就職活動もOKとしているのです。ユニクロによると、大学2年で選考に参加して既に内定を得た学生もいるそうです。

参考

ユニクロ 通年採用

 

これから通年採用が当たり前になってくるかも。

ジョブ型雇用ですね! 今後、増えてくると私も考えています。

ジョブ型雇用はいうならば、何らかの資格や専門的な知識、技術を持っている人材が通年、一年を通していつでも選考を受けられ、採用してもらえる制度です。

ひそかに大学の後輩が、ユニクロの内定をちゃっかりと得ていたりして^^

その可能性はありますよね。

これまでは大学1、2年で学生生活を満喫し、3年以降、就職活動に専念するスタイルが主でしたが、逆に大学1、2年で就職活動を終わらせ、残りの学生生活を満喫する学生も増えてくるかもしれません。

就職活動を大学3年からではなく、大学2年、今のうちから始めるほうが、準備期間が長く、その内容も充実しますので、早くスタートさせたほうが有利といえます。

もちろん今、楽しみたいことや、やるべきことがある方は、それに専念いただければ。

就活、学生生活、どちらも有意義なものにしてほしいです!

先が見えないウィズコロナの時代、就職活動のスタートラインを前倒しして大学2年、大学1年から始動させることがトレンドになるかもしれません。

4.オンラインに強くなる

今はもう大学の講義もオンラインが当たり前になりましたから、オンライン機器、接続、操作については、ほとんどの学生が慣れ、マスターしたと思われますので、正直その部分でライバルに差をつけることは難しいと思われます。

しかし講義は受信中心ですが、就職活動(オンライン面接)は双方向受発信です。そのためオンライン画面での自分の“魅せ方”が重要になってきます。

・ライト(照明)を利活用する
・レフ板を購入(反射を)活用する
・背景に気をつける
・カメラレンズ位置はやや上に設定して映す

などの工夫が有効でしょう。

 

最後にウィズコロナ時代の就職活動に役立ちそうな関連記事をピックアップしましたのでぜひ、あわせてお読みください!

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まとめ

GDPと就職内定率、ある程度、関連していたことがわかりました。

何度もお伝えしますがGDPが落ち込んでも全員が就職できないわけではありません!

1.最後まであきらめない
2.情報の真贋を見抜く
3.スタートラインを前に
4.オンラインに強くなる

実践することプラス自分なりのベストを尽くしていけばきっと、いい仕事、会社との出会いが待っているはずです。

セイジさんも私も、みなさんの就活がうまくいくことを心から願っています^^

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