我々も大変お世話になっている家電量販店。以前は前の電気屋で家電を買っていましたが、いまや商店街などで買うことはほとんどなく、量販店で買うことが主流になっています。
出店・撤退のサイクルがひじょうに速い業界であり、先にご紹介したコンビニ業界同様競争が熾烈です。
そんな家電量販店業界の特徴や大手企業の動向、就職希望者へのアドバイスを纏めてみました。
家電量販店業界の概要
家電メーカーから製品を大量に仕入れ、低価格で消費者に提供するのが家電量販店です。
現在では、家電以外の商品を扱う店舗も多く、総合スーパーなどと競合している店が多いようです。
家電量販店は設置される場所によって、郊外型と駅前型に分かれています。
前者をロードサイド型、後者をレールサイド型と呼ばれていますが、今は、そうした垣根は徐々になくなっているのが実情と言えましょう。
家電量販店ほど浮き沈みの激しい業界は少なく、そのため企業統合、合併など再編に次ぐ再編を繰り返してきました。
一つの例で言えば、勝手のベスト電器は、永い事、家電業界の盟主として君臨してきましたが、今は業界の盟主となっているヤマダ電機に買収され、子会社化され、名前だけは残っていると言うのが現実です。
家電業界での規模は、今や7兆円を超す一大産業に発展しました。
現在業界トップのヤマダ電機が大きく成長した理由は、商圏人口30万人・売り場面積5000㎡と言う、郊外型フォーマットをベースに、次々と出店し、売り上げを伸ばしてきました。
そうしたマスメリットにより、低価格で消費者に提供し、それがさらに顧客を呼び込み業績が上がると言う、システムを確立したことが業績向上につながった要因と言えましょう。
また同店が行なっているポイントカードによる戦略も、消費者の人気を呼び、業績向上につながっています。
業界の雄として注目されていた、ヨドバシカメラは、従業員一人あたりの売上高が高い事でも定評があり、大都市中心に大型店を出店し、従業員個々の能力を、フルに生かすと言うやり方で推進してきました。
そして業界の強者と言われてきた、ビッグカメラは、不適切な会計処理問題で、一時低迷しましたが、徐々に盛り返してきたようです。
また業界第2位のエディオンは、ヤマダ電機に対抗しょうと、02年に、広島のデオデオと愛知のエイデンが統合して生まれた企業(05年兵庫のミドリ電化も統合)です。
さらに福井のサンキュー、東京の石丸電気などの中堅企業を傘下に収め、規模の拡大を図ってきました。
同社は、買収に次ぐ買収で、企業の拡大を積極的に進め、業界トップの座を狙ってきました。
そして仕掛けたのが、07年、その時点で業界5位だったビッグカメラとの経営統合でした。結局この統合は、2ヵ月後に白紙撤回され、トップの座は、夢と消えました。
現在業界3位のケーズホールディングスも、07年宮城のデンコードーを傘下に収め、業界3位に浮上しています。
このように家電量販業界は、次々と買収、経営統合などで規模の拡大を図る歴史を繰り返してきました。今後もこの再編成の動きは続けられるでしょう。
家電業界の平均年収は、他業種と比較して意外に低く、350~500万円というところです。
家電量販店企業一覧
- ヤマダ電機
- エディオン
- ケーズホールディングス
- ヨドバシカメラ
- ビックカメラ
- コジマ
- 上新電機
- ノジマ
- ビーシーデポコーポレーション
- ユニットコム
- ベイシア
家電量販店大手企業
【ヤマダ電機】
売上高1町7015億円 営業利益339億円 店舗数4421店 平均年収393万円(33歳)
家電量販店最大手です。売り場面積3000㎡の郊外店で急成長してきました。子会社に、キムラヤセレクト、コスモス・ベリーズ、住宅メーカー、ヤマダエスバイエルホームに51.9%出資しています。
現在スマートハウス事業を育成中です。住宅事業・法人・ネット販売を新規3本柱と位置付け積極展開しています。
連結事業はカラーテレビ7、ビデオ4、オーディオ2、冷蔵庫7、エアコン6、情報家電30、他43となっています。
【エディオン】
売上高6851億円 営業利益―25億円 店舗数1171店 平均年収509万円(38歳)
業界第2位で、2012年に、直営店のブランドをエディオンに統一しました。
子会社に100%出資のサンキューがあります。
中部・西日本を地盤としています。現在住宅設備を強化中です。今、力を入れているのは、リフォームや太陽光発電等で、育成中です。
連結事業は、テレビ6、ビデオ6、エアコン8、家電34、パソコン14、携帯電話9、OA機器2、他20となっています。
【ケーズホールディングス】
売上高6375億円 営業利益165億円 店舗数399店 平均年収463万円『5歳』
業界3位で、100%子会社に関西ケーズデンキ、ギガス、デンコードーなどがあります。北関東地盤で、現金値引きと郊外出店に特徴があります。
出店は年40-50店新規に出店の方針です。千葉、埼玉、神奈川など郊外店に意欲を燃やしています。
連結事業は、音響商品3、映像商品12、情報機器31、家庭電化商品31、季節商品14他9となっています。
就職・転職へのアドバイス
家電量販業界は、これまで再編に次ぐ再編で、大きく成長してきた産業です。それだけに、日夜優秀な人材を求めて、走り回っていると言っていいでしょう。
短期間の成長を支えてきたのは、優秀な人材だと経営者が口をそろえて言っています。
業界トップのヤマダ電機の新入社員の教育を見てみましょう。
入社すると、徹底的に、「創造と兆銭」「感謝と信頼」「経営理念」を頭にたたみ込むそうです。
その研修が終わると、接客サービスを重点的に教え込みます。こうした新入社員の教育は、どこの企業も同じように教育しているようです。
やはりこの業界も、人と人とのコミニュケーションを重視しているようです。
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