不動産業界の動向や魅力・大手企業の年収比較を就職・転職経験者のアドバイスを交え解説

業界研究
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土地や建物の所有権を売買、部屋(賃貸物件)を仲介する。私たちの「住」の部分に密接に関わっているのが不動産業者です。

大学に合格し実家を離れ、部屋を借りたときに仲介会社の社員の方を見て、不動産業界を研究しようと思われた方もいるかもしれませんね。

親切にされると「素敵♪」と思いますし、ずっとその社員さんのことを覚えているものですよね?

 

ただ仲介は不動産業務のほんの一部です。不動産業界を深堀すると取り扱う不動産の

・種類
・事業
・業務

など、その多さを知ることになるでしょう。

今回はそんな奥深い不動産業界の基本情報、市場規模、主要企業と年収、動向、展望、経験者談、就職・転職のアドバイスについてもお伝えしていきます。

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業界全体図から見た不動産業界

セイジさん、不動産業界は全体図から見るとどういう立ち位置なのです?

日経業界地図では「建設・不動産関連」に分類されています。

不動産業界のメインディッシュは、もちろん土地・建物です。ただ土地を整備し、ビル、マンション、戸建て住宅などを建てるのはゼネコンなど建設業界の仕事です。

また日本では土地・建物の所有権(所有者)、抵当権などあらゆる権利を明確にするきまりで、法務局を管轄とした不動産登記制度を採用しており、その手続を担うのが土地家屋調査士(測量・境界)や司法書士(登記)で、担当業務によっては接する機会も増えます。

さらに購入には多額の費用がかかりますので金融機関とも深く関わる(連携する)ことになります。購入者の多くは銀行などから融資を受け手に入れます。また投資家から資金を募り不動産を購入、賃料収入などから得た収益を配当する仕組みの不動産投資信託(REIT)もあります。

そして鉄道業界、商社なども不動産業界とは縁が深いといえます。

いずれも権利やお金がついてまわる業界といえますね。

 

不動産業界の基本情報

不動産業界に属する会社は主に、土地・建物の

開発/賃貸/売買/仲介/管理/投資

を行います。総務省公表、日本標準産業分類

では、

不動産取引業不動産賃貸業・管理業
・建物売買業

・土地売買業

・不動産代理業・仲介業

・貸事務所業

・土地賃貸業

・貸家業、貸間業

・駐車場業

・不動産管理業

などに細分されています。取り扱う物件、予算はもちろん、業務内容も取引、賃貸、管理で違ってくるはずです。

そして不動産業界は大きく次の四勢に分けられます。

総合不動産系
三井不動産、三菱地所、住友不動産、東急不動産ホールディングス、野村不動産ホールディングス、東京建物など

いわゆる不動産業界大手、その売上ランキングは次のとおりです。

1位三井不動産1兆8,611億円
2位三菱地所1兆2,632億円
3位住友不動産1兆132億円
4位東急不動産9,018億円
5位野村不動産6,685億円
6位東京建物2,733億円
不動産流通(売買仲介)系
三井不動産リアルティ、住友不動産販売、東急リバブルなど
アパート賃貸(開発・管理)中心系
大東建託、レオパレス21、東建コーポレーションなど
オフィスビル(開発・賃貸)中心系
森ビル、森トラスト、ヒューリック、NTT都市開発など

不動産業界の市場規模(変遷)

日経業界地図によると次のとおり、推移しています。

日経業界地図年度(実年度)財務省、法人企業統計調査の数値
2017(2014)36兆9812億円
2018(2015)39兆3835億円
2019(2016)42兆9824億円
2020(2017)43兆4335億円

不動産業界の主要企業と平均年収(有価証券報告書より抜粋)

  • 三井不動産株式会社 12,634,000円
  • 三菱地所株式会社 12,476,724円
  • 住友不動産株式会社 6,615,084円
  • 東急不動産ホールディングス株式会社 11,137,000円
  • 野村不動産ホールディングス株式会社 10,223,680円
  • 大東建託株式会社 8,707,204円
  • 株式会社レオパレス21 5,579,407円
  • 東建コーポレーション株式会社 6,272,000円
  • 森ビル株式会社 8,718,000円
  • エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社(NTT都市開発) 9,248,469円

 

不動産業界の動向

ここではざっくりとですが2008年から現在までの不動産業界の動きをご紹介します。

2008年、リーマン・ショックで各社、急激な業績悪化に苦しみました。そして2012年、安倍政権が発足しアベノミクスが始動すると、消費税増税前の駆け込み需要なども手伝い住宅・マンションの売れ行きが回復しました。

またここ数年、国家戦略特区※である東京都心では容積率が緩和され大規模といえるオフィスビルの建設が進んでいます。

※国家戦略特区
「世界で一番ビジネスがしやすい環境」と成長戦略実現を目指した改革実行エリア。東京圏、関西圏、福岡市・北九州市、沖縄県、仙台市、愛知県などが特区となっている。

内閣府 国家戦略特区

※容積率
敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合(コトバンク

また東京オリンピック開催決定当時、訪日外国人観光客も増加し、ウィークリーマンション事業、Airbnb(民泊)事業に乗り出す不動産会社も多く見られました。

そしてIoTが急速普及し不動産テックが浸透しました。たとえば希望者が専用サイトで予約、指定日時に現地に行くと携帯端末操作で物件解錠ができ部屋も見られるスマート内覧やVRによる内覧、「Microsoft HoloLens」を活用した不動産販売用ホログラフィック・マンションビューアーも登場しました。

IoT 内覧から入居まで「完全非対面」での賃貸借契約マンション

ロボスタ 日本初!マイクロソフト・ホロレンズをマンション販売に活用!!建設予定地に原寸大の建物がMRで出現!野村不動産らが発表

 

不動産業界の展望(予測)

今まさに完成済、建設中の新築大規模オフィスビル市場は比較的、堅調に進むと予想します。しかしその陰で新築ビルに移転したオフィスの数だけまた空きが出て、景気次第ではそこが埋まらなくなる可能性があります。

すると自然と空室率が上昇し、収益を確保できない不動産会社やオーナーが出てくるでしょう。

また管理においては関与物件の老朽化、賃貸においては少子高齢化による人口減と世帯数減は悩みの種です。

さらに新型コロナウイルス感染症による自粛モードが長引けば、倒産によるオフィス、閉店による店舗の解約増が予想でき、既存不動産の有効活用機会が今後、大幅に減るかもしれません。

これらを各社、どう対策し乗り切るかも不動産業界を見ていくうえでは注目したいところです。

 

不動産業界大手企業3社を比較

【三井不動産】

三井不動産はオフィスビル、商業施設、ホテル・リゾート、すまいとくらし、不動産ソリューション(資産活用)、ロジスティクス、ベンチャー共創といった切り口で事業を展開しています。

コーポレートサイトによると「VISION 2025」を策定。

・街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現
・テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション
・グローバルカンパニーへの進化

を目指しています。

基本情報
売上高:1兆8611億9500万円
経常利益:2541億600万円
社員数:1577名
平均年齢:40.7歳
平均勤続年数:11.3年
平均年収:12,634,000円
【三菱地所】

三菱グループの中核企業のひとつである三菱地所はビル、生活産業不動産、住宅、海外、投資マネジメント、ホテル・空港、設計監理、不動産サービスという8つの事業セグメントを展開しています。

三菱地所グループは、国内では丸の内仲通り、MARK IS みなとみらい、ロジクロス福岡久山、GINZA KABUKIZA、海外では1271 Avenue of the Americas、Warwick Court (Paternoster Square)、RHYTHM Rangnamといったプロジェクトを手がけています。

基本情報
営業収益:1兆2632億8300万円
経常利益:2065億8700万円
社員数:899名
平均年齢:41歳2カ月
平均勤続年数:16年3カ月
平均年収:12,476,724円
【住友不動産】

“より良い社会資産を創造し、それを後世に残していく”を基本使命に住友不動産は、オフィスビル、商業施設、資産活用、分譲住宅、賃貸マンション、注文住宅、リフォーム、ホテル、フィットネス・ゴルフ場など幅広く事業を展開しています。

SDGsにも取り組んでおり環境保全、製品品質向上、次世代育成、女性活躍推進にも力を入れています。

基本情報
売上高:1兆132億2900万円
経常利益:2042億5700万円
社員数:5841名
平均年齢:43.14歳
平均勤続年数:7.50年
平均年収:6,615,084円
参考文献
三井不動産株式会社第107期有価証券報告書
三菱地所株式会社第115期有価証券報告書
住友不動産株式会社第86期有価証券報告書
日経業界地図2017~2020年版 日本経済新聞出版社

不動産業界経験者から聞いた話

ここでは不動産業界に6年以上勤務し、総合不動産会社で用地取得業務・投資業務を担当している方からお話を聞けましたので、ご紹介していきます!

現役担当者が語る不動産業界の特徴

まず入りたい不動産会社を選ぶときに売上高で判断するのはオススメできません。なぜなら取り扱う不動産、販売、仲介、管理かなどで、その単価も規模も異なるためです。もちろん商圏(全国か地場か)によっても違います。

大手=総合不動産

不動産業界でいう大手とは総合不動産のことです。わかりやすくいえば「土地開発事業」を主軸に置く企業で業界内では「デベロッパー」といい、

・オフィスビル
・マンション

などの開発を行います。発展等の経緯から5つのルーツがあり、下記が代表例です。

・財閥系 三井不動産、三菱地所、住友不動産、東京建物(安田系)
・鉄道系 東急不動産、小田急不動産、相鉄不動産、阪急阪神不動産
・建設系 大成有楽不動産、清水総合開発、大林新星和不動産
・金融系 野村不動産、日本土地建物
・商社系 伊藤忠都市開発、双日新都市開発 丸紅リアルエステートマネジメント

現役担当者が語る不動産業界への懸念と期待

国内市場縮小に懸念しています。2019年、首都圏供給戸数は前年比15.7%減の3.13万戸(見込み)。実はマンションの新築が年々、減っています。

また労働人口減少に加え、働き方改革でテレワーク増、在宅勤務が広がっていくとオフィスはコンパクト化、省スペース化、オフィス自体を不要とする流れが出てくるのではと心配しています。

しかし駅前再開発、老朽化マンションの建て替えについては今後、増えるかもしれません。うまくプロジェクト化、事業化すれば、不動産業界はさらなる発展を遂げるのではと期待しています。

現役担当者が語る不動産業界への転職のしやすさ

やはり経験者やプロパー(新卒入社から不動産業界にいる人)などは転職しやすいです。しかし近年は他業界からも積極的に採用していると感じます。以下、私が知るかぎりの各社キャリア採用の特徴をまとめました。

三井不動産
採用HPでエントリー可。総合職。例年10月頃にエントリーを締め切り、翌年4月までに入社できるよう選考。前職業界は幅広く金融、メーカー、公務員とさまざま。

三菱地所
採用HPでエントリー可。総合職。6月頃にエントリーを締め切り。前職業界は三井不動産と同様。

住友不動産
採用HP・リクナビNEXTでエントリー可。専門職。大手中、最強のプロパー主義。総合職は新卒組が占める。前職は不動産会社やゼネコン、類似職種が多い。

東急不動産
採用HPよりエントリー可。総合職。通年採用。前職は不動産業界経験者が有利。ただし他業界からも受け入れている。

野村不動産
採用HP、大手転職サイトでエントリー可。総合職。欠員が出たら募集開始となる模様。

東京建物
採用HPよりエントリー可。総合職。欠員募集のため出現遭遇率は稀。

また大手在籍者が有利で、特に

・総合不動産
・都市銀行
・メーカー
・中央省庁

経験者が正直、強いと思います。実際、人事担当者も大手志向で超難関大学、入社難易度高企業または人気企業出身の転職志望者を好むはずです。

現役担当者が語る不動産会社での出世

このご時世なのに、不動産テックも導入しているのに不動産会社の組織は意外にも旧態依然で、当分、変わる兆しもありません。

新卒入社後、若いうちは担当者として仕事をします。以降主任、課長、部長(本社で昇進できるのは新卒同期で1〜2割程度、あとはグループ会社などの出向先で部長に就任)、事業部長(取締役と兼務することも多い)、取締役(グループ会社取締役を経て就任したり、グループ会社取締役と兼務したりします)、社長へと出世していきます。

現役担当者が語る不動産業界でキャリアを積む方法

不動産業界に新卒入社したい方は課長までは年功序列で昇進していくと覚えておかれるといいです。そこから

・本社に残り昇進する組
・本社に残るが昇進しない組
・グループ会社へ出向する組

に分かれていきます。旧態依然とした組織ですから上司との関係が昇進するうえでカギとなります。

またこれから不動産業界は商品やサービスの多様化が進むでしょう。そのため

・新しいことにチャレンジできる

人材が重宝されると思います。総合不動産会社内では(少数精鋭であれば)裁量権を与えられることも多いです。若いうちから果敢にチャレンジし、実績を積み上げていければ次世代を担うリーダーへと出世していけるでしょう。

中途入社希望の方には厳しい現実をお伝えすることになりますが現在、大手不動産会社が持つ組織論では中途入社で取締役以上に昇り詰めるのは難しいといえます。

ただ今後、再編や組織構造改革が断行されれば業界は大きく変わる可能性もあります。しかし今は出世に軸を置くよりも前職での知見を応用し新事業・業務改善提案に注力すると社内で一目置かれ、きっと将来チャンスが訪れるはずです。

不動産業界で大手に入りたいなら、他業界現職で圧倒的実績を積むか、“中堅”総合不動産会社に転職し開発業務に。そこで経験を積むとレアな人材として高値がつくはずです。

ありがとうございました! 開発業務経験者は少なく、どの企業もほしいようですね。

経験できる方はラッキーですね。普段、気づきませんでしたがそういえば鉄道系や建設系の会社、身近にあり知っていました^^

これより転職とキャリアアップ管理人として、就職、転職のアドバイスをお伝えしていきます。

不動産業界への就職・転職のアドバイス

今まさに学生の方、社会人の方も不動産業界に入ると決意したときは、すぐさま宅地建物取引士(旧 宅地建物取引主任者)の資格取得へと動き出しましょう!

なぜならこの資格は、不動産業界で活躍するうえで不可欠、マストだからです。この国家資格がなければ、

・重要事項の説明
・重要事項説明書(35条書面)への記名・押印
・契約内容記載書面(37条書面)への記名・押印

など不動産取引実務を行えず、せっかく自ら獲得した取引も、有資格者にバトンタッチしなければならなくなるからです。

最後の最後にいいところだけ、持っていかれてしまうのですね…。

自らクロージングできない、こんなに悲しいことはないかもです…。

主体性をもって動けますし、資格手当もいただけるはずですから宅地建物取引士は持っておくべきです。また時間に余裕があれば、

・不動産鑑定士
・マンション管理士
・管理業務主任者

などの資格取得も視野に入れていくといいでしょう。ちなみに宅地建物取引士の試験は年1回、10月実施で、申し込めるのは7月中です。付焼刃で合格できるほど甘くないでしょう。思い立った日から勉強を始めましょう。

そして不動産業界は主体性のある方が向いています。

言われたことをただ淡々とこなす方より、自らの判断で前向き、ポジティブ、創意工夫し動ける方には非常に合っている仕事と考えます。

また不動産は業績次第で年収が伸びやすい業界ですから魅力的です。転職サイトなどで求人を見ても年収例が高い傾向にあります。転職エージェントに登録し、不動産業界に詳しいキャリアアドバイザーに「インセンティブのとれる不動産会社はどこか」訊ねるのもアリです。

 

まとめ

不動産業界もまた懸念材料がありますが、主体的に動けるとやりがいがありそうですね^^

そんな不動産業界で、内定を勝ち取っていただきたいです!

就職と転職、共通していえることは人生の目的と就こうとしている仕事の方向性が合致していることが重要です。それがミスマッチを防ぐカギで、長続きできるかその明暗を分けます。

人生の目的についてその意味を、これまで考えたことがない方は関連記事で説明していますのでぜひ、併せてお読みいただけますと幸いです。

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