転職活動が会社にバレる・同業他社への転職は解雇?法律上の定義と対処法【2017年版】

転職のノウハウ

突然ですが、転職活動をしている方は、大きく2つに分けられます。

  • 会社に在籍していて仕事をしながら転職活動をしている方
  • 会社を退職して(失業手当をもらいながら)転職活動をしている方

とくに前者の方は、転職活動中とはいえ、在籍会社の社員であることにかわりはなく、そのため、労働基準法における労働者という立場であり、同法の適用を受けることに間違いはありません。

みなさんは、普段、働くうえで労働基準法をどれだけ意識しているのでしょう?
おそらくほとんどの方が、あまり意識せずに働いているのではないでしょうか?
転職活動をする・しないにかかわらず労働基準法は知っておいたほうがいいのですが、今回は、転職と法律をテーマにして、お伝えしていきます。

日本でいちばんシンプルにまとめた転職と労働基準法のポイント3つ

労働基準法は、賃金のことや労働時間、就業規則について定めているのですが、ここでは転職と相通ずる部分だけを3つピックアップします。

  • 第2条で「労働条件は、労使が対等の立場で決定すべき」と明示
  • 第13条で「基準に達しない労働条件は無効であり、無効部分は修正される」と決まっている
  • 第15条で「賃金、労働時間などの労働条件を明示せよ」と会社に義務付けている

現状、転職市場においては、なんとなくですが、結局は会社など採用するほうが強い立場にあります。

しかし、本来は、採用するほう、される側、どちらも対等であるということは頭の片隅に入れておきましょう。そうすることで、不利な条件は蹴り、自分の納得のいく内容へと変えていけるような交渉力が生まれます。

もちろん、キャリアコンサルタントに対しても主張すべきは主張し、譲歩すべきは譲歩する、そのためには労働基準法の定めは知っておくべきなのです。

また、転職先への入社が決まって、労働条件が提示され、最終確認という意味合いで目を通す機会があるのですが、これも労働基準法上の義務として定められています。

万が一ですが、労働条件の最終確認をしていたときに見逃した項目やそのときは気に留めていなかった内容でも、会社に入社してから、契約書の内容に不当だと感じる部分があった場合は、私なら、会社に直接、抗議などせず、労働基準法と照らし合わせてみます。

労働基準法に抵触している部分は無効となりますので、その項目をめぐり何かしらの対立があったときにはじめて「無効では?」と言及すれば良いです。

会社とはいえ、書類を作っているのは人事担当者であり人ですから、間違いは往々にしてあります。

労働基準法と転職についてポイントをおさえたところで、次は、私も転職活動中、気になっていたことをまとめてみました。

 

転職にまつわるよくあるトラブルと法律・判例

転職活動をしていることが会社にバレた場合、解雇になる?

私が調べたかぎり

  1. 転職活動をしていることだけでは解雇も懲戒処分を受けることはない
  2. 就業規則に「転職活動の禁止」の定めは無効

だということがわかり、転職活動をしていることが会社にバレたとしてもクビになることは、まずありえないです

 

しかし、会社在籍中の転職活動のやり方によってはクビになる可能性は大いにあるようです。

自ら公言していなくて、会社に不意に転職活動中であることがバレたとき、周囲の心証はあまりいいものだとはいえません。そのため注意が必要となってきます。

それは監視の眼が厳しくなるということです。

どういうことかといいますと、

  1. 勤務時間中に上司や同僚の目を盗んで、転職活動をしていないか?
  2. 会社の業務がおざなりになっていないか?
  3. 転職先に職場の機密や情報を持ち出そうとしていないか?

好奇心ではなく業務上の視点から、始業から終業まで行動を見張られるようになる可能性があるというのです。

もし、現在、職務中に会社から付与されている携帯電話やスマートフォン、タブレット、パソコンで、転職エージェントに連絡をし、転職サイトにアクセスしていた場合は、これからは自分名義のもので退勤してから転職活動をするようにしてください。

なぜなら、会社がそれらを貸与しているのは会社の職務のためであって、私的に利用することは想定していないからです。

弁護士の鴨田哲郎氏のコラムによると

“会社の貸与物を許諾なしに私的に利用することは刑法235条の窃盗罪にあたる。実際にそれを理由に社員を解雇し、裁判でも解雇を有効とした判例もある。”

そうです。

引用:PRESIDENT Online 在籍中の転職活動発覚で転職前にクビ!

在籍中の転職活動発覚で転職前にクビ!
転職活動をしていることが勤め先の会社に発覚した場合、会社側はそれだけをもって解雇や懲戒処分を行うことはできない。

自ら公言しており正々堂々と転職活動をしていたとしても、昼休みなどに転職サイトや転職エージェントとやりとりをしている場合、注意が必要です。

周囲は黙っていて、今は問題視されていなくても、いつ上司や同僚たちが「昼休みとはいえ職務中なのに?」と問題提起しだしてもおかしくはありません。もしかすると、上層部の会議の場や自分のいないところでは、

  • 会社の秩序を乱しているのでは?
  • 注意すべきかどうか?

と議題にあがってしまっているのかもしれません。

転職エージェントから情報が漏れた場合、どうすべき?

話は変わりますが、
先日、前回の記事執筆のために実施したアンケート結果に、こんな回答が紛れ込んでいました。

前職でかかわりのあった企業(への紹介)を避けてほしいと依頼しましたが、のちに掲載されていた(22才女性 ITエンジニア)

これは、おそらくですが、スカウトメールのことでは?

と思います。キャリアコンサルタントに非公開設定をお願いしていたはずなのに前職でかかわりのあった企業の人事担当者などが彼女のスキルや職務経歴を見てスカウトメールを送ってきたということでしょう。

これも推測の域なのですが、こういったスカウトメールシステムは、名前や住所、会社名などは匿名であり公開されていないはずですから、大事には至らなかったのでしょう。

実際に彼女からは「転職サイトへアクセスすることもひとつの手段ですが、個人的には転職エージェントを通したほうが変な企業にあたることはほぼないと思います」と転職を目指している方に向けてアドバイスを残してくれていましたので、実損はなかったものだと思われます。

しかし、もし、かかわりのあった会社や在籍中の会社に転職エージェント側から情報が漏れたとしたら…

コワいことだと思いませんか?

このような事例がないか調べてみたのですが、私がググってみたかぎり、ここ数年の記事やSNSの書き込みからは、転職エージェントが原因で転職活動中であることが漏えいしたという類の情報は見当たりませんでした。

現在は、プライバシーマークを取得している企業も多く、個人情報管理は厳格に行われているようですから、転職エージェントから個人情報などが漏れるのでは? と不安に感じる必要はないかと思います。

実際に私もプライバシーマークを取得している複数の転職サイト・エージェントを介して2回転職していますが、情報が漏れることはありませんでした。

しかしながら、注意をすべきなのは、転職エージェントを介さずに自力で転職活動をしている方です

スマートフォンの通知画面でバレるおそれが…

転職エージェントを通じて転職活動をしている場合、キャリアコンサルタントなどを通じて然るべき時間帯に連絡があるでしょう。

しかし、そうではない場合、転職エントリー先の会社から電話やメールに直接、連絡があるはずです。そのときに、デスクに置いてあったスマートフォンの通知画面にこんな感じで入ってきたら…

この場合は、誰の責任でもなく自分の責任です。

こんな事態を引き起こさないためにも、

  1. スマートフォンは常に持ち歩き、デスクの上などに放置しない
  2. 連絡先は自宅にあるパソコンのメールアドレスで統一
  3. スマートフォンの通知設定を見直す
  4. 手帳型のスマホケースに変え画面を他人に見せないようにする

このような対策を講じるようにしましょう。

話は戻りますけど、調べていくうちに、このような事例は確認できました。

転職エントリー先から情報が漏れた

kuwabara19800722さん 2014/7/25 23:38:35

転職活動を行っていることを応募先の会社から

現在の勤務先にばらされてしまいました。

Yahoo!知恵袋

転職活動を行っていることを応募先の会社から現在の勤務先にばらされてしまいました。 - 現在、勤務している会社に大きな不満は無... - Yahoo!知恵袋
転職活動を行っていることを応募先の会社から現在の勤務先にばらされてしまいました。 現在、勤務している会社に大きな不満は無...
転職活動してることをバラされました

質問者:smartcruiz質問日時:2008/06/07 22:53回答数:4件

転職活動を始めたのですが、ある会社の中途採用に応募したことが同僚にバレて噂され、非常に仕事がしづらくなってしまいました。どうもある同僚の知り合いが応募先の会社にいて、人づてで聞いたようです。

教えて!goo

転職活動してることをバラされました
転職活動を始めたのですが、ある会社の中途採用に応募したことが同僚にバレて噂され、非常に仕事がしづらくなってしまいました。...

そのような会社はないと信じたいのですが、個人情報管理に疎い転職エントリー先に当たってしまった場合、このようなことも起きやすいということを覚えておきましょう。

もし、転職エントリー先から情報が漏れて在籍中の会社で働きにくくなった場合、法的に解決ができるのかどうかが気になりましたので、調べてみました。

結論としては、

謝罪と損害賠償を求める権利はあるが、損害の立証が難しい

というラインで落ち着きました。

もちろん、転職活動中であることがバレたからといって即刻、解雇になるわけではありませんので、実際に損害は出ていません。

ただ、働きにくいという状況になったのは事実かもしれませんが、その状況を損害だとして立証しようとしても、それは至難の業だと思います。

また、弁護士を擁立して勝訴したとしても、おそらくは弁護士費用で赤字を出すのがオチのような気がしました。

情報を漏らした転職エントリー先や関係者に厳重に抗議をするにとどめ、在籍中の会社では努めて職務に専念し、退勤後は1日でも早く転職先を見つけることができるよう、活動に専念するのが得策だと考えました。

この問題については、YUBiLOGというサイトの中に転職面接を受けたら応募の事実を漏洩されたので弁護士に相談してみたという記事が非常に参考になったのでリンクを貼っておきます。

続いて、転職にまつわる職場トラブルも2つ紹介しておきます。

 

【2017年最新版】こんな転職にまつわる職場トラブル、法律では?

会社帰りに大事な採用面接、こんな日にかぎって上司から…

書類選考を経て、キャリアコンサルタントに日程の調整をお願いして、模擬面接を受けて、想定問答集を頭に入れて、面接への準備は完璧だったのです。

しかし、定時直前になって、上司から残業を命じられてしまったのです。

Q.上司の残業命令は断れるのでしょうか?

A.面接日程を延期してもらい残業に専念すべき

結婚記念日や親の金婚式も正当な理由に当たらないといいますので、転職活動中であることを会社に伝えていても、いなくても、基本的には転職活動のために残業を断るのはNGだと思ってください。

残業を断れる正当な理由は、育児、介護、親の危篤、翌日に入院を控えているなどです。

とにかく、ドタキャンに近い感じになるのかもしれませんが、残業しなければならなくなったとわかった時点で早急にキャリアコンサルタントに連絡をしましょう。

キャリアコンサルタントも先方の人事担当者もそういう事態は想定しているでしょうから、仕方ないと納得してくれるはずです。

そんな会社はないと思いますが「ウソでもなんでもいいので何かしら理由をつけて、とにかく抜け出せませんか?」と食い下がってくるような会社には絶対、転職すべきではありません。

同業他社に転職が決まって退職を申し出たら信じられない一言が

半年にも及ぶ水面下での転職活動を経て、ようやく内定をもらえ、出社日まで決まり、とうとう今の会社に退職の意思を伝える日がきました。

別室で上司に退職の意思を伝えたところ、上司はボソッと鋭い一言を発したのです。

「ウチは就業規則で同業他社への転職を禁じているはずだが?」

Q.同業他社への転職禁止、法的に有効?

A.基本的には無効ただし例外もあり

まず、日本国憲法で「職業選択の自由」が定められていというのが一点、そして、就業規則は退職した人まで法的に拘束することができないというのが一点です。

例外としては、特許がとれるような技術を持った研究者などは転職先を制限される場合があるとのことです。

その旨の就業規則への明記や退職時にその旨の誓約書を書くよう求められる場合も実際にあるそうですが、法的根拠はなく、就業規則の遵守を強制してきたり実際に書かせたりすると、それは違法であると主張できそうです。

ただし、同業他社に転職する場合に注意をしなければならないのが、機密事項の持ち出し、顧客を奪い去っていくような場合です。これは損害賠償請求事件として訴えられてもおかしくはありません。

参考文献:日経ビジネス[アソシエ]2017年6月号“あるある”法律トラブル防衛術

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まとめ 法律やトラブルのことを知っておいたほうが転職は有利に運ぶは本当

法律の世界では「権利の上に眠るものは保護に値せず」という格言もあります。これは消滅時効のことを指してはいるのですが、法律を知らない人は保護しませんとも拡大解釈できるのです。

上記のようなトラブルがあること、その対処法、判例も知っておいたほうが転職は有利に運ぶのです。

もし、今の会社で労働条件などに不満があり転職活動をしている方は、同じしくじりを起こさないように労働基準法に定められているポイントだけでもおさえておく必要があります。

この点、厚生労働省が「労働基準法の基礎知識」というタイトルの資料を公開しています。

参考URL:労働条件の明示賃金 – 確かめよう労働条件 – 厚生労働省

http://www.check-roudou.mhlw.go.jp/pdf/knowledge_of_labor_act.pdf

5分もあれば読み込める内容ですので、ぜひ、インプットされてみてください。

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