化学業界・総合化学メーカーの今後の動向・年収・大手企業の調査・比較【2017年度】

今回は、化学業界・総合化学メーカーの基本情報や転職・就職のアドバイスをお伝えいたします。

化学業界は、石油化学、無機化学、電子材料など、取り扱う素材が幅広いのが特徴です。前回の「試薬系」に続き、今回は「総合化学メーカー」に絞り込みました。

試薬系化学業界の今後の動向・年収・大手企業の調査・比較【2017年度】

2017.10.17

総合化学メーカーの基本情報

化学業界は、国内工業、家庭に欠かせない化学製品を世に送り出しています。化学製品には、樹脂、ゴム、合成繊維などさまざまなものがあります。

そして、前回取り上げた「試薬」も化学製品のひとつです。試薬は、各種製品の開発や改良になくてはならないものです。詳しくはこちらの記事をご参考ください。

化学製品は、石油や天然ガスが主な原料となっており、製品の用途は非常に幅広いです。

「総合化学メーカーは1日にしてならず」ではないのですが、総合化学メーカーの歴史は意外と古いものです。はじまりは、やはり、ひとつの製品や事業で、そこから製品を増やし、事業を拡大し、現在の総合化学メーカーにまで発展したのです。

業界大手の三井化学は1912年、三井鉱山の石炭化学事業がはじまり、住友化学は1915年、過燐酸石灰を初出荷したのがはじまりです。三菱ケミカルホールディングスは1934年に日本タール工業が発足したのが最初で、その後、三菱化成となり、三菱油化と合併して三菱化学となり、今年、現在の社名に変更となっています。

ここでピンとくる方もいらっしゃると思いますが、化学企業の誕生と化学業界の発展には、当時の財閥が大いに関わっています。総合商社を立ち上げたのが財閥なら、化学製品を世に送り出してきたのも財閥だといえます。

当時の財閥が保有していた潤沢な資金が投じられなければ、今の日本の化学業界はなかったといっても過言ではないでしょう。

化学業界は、大きく、総合化学メーカーと各素材に特化した化学メーカーとに分かれます。

前者は、三菱ケミカルホールディングス・住友化学・三井化学などで、とくにこの3社は財閥化学、財閥系化学メーカーなどとも呼ばれています。

後者は、自動車フロントガラス中間膜で世界トップの規模を誇る積水化学工業、ナイロン原料主力の宇部興産、半導体等の電子・樹脂材料を取り扱う日立化成などがあります。これらの企業については、追って、ご紹介できればと思っています。

そんな総合化学メーカー市場は、6社(後述)の総売上高だけで、およそ8兆円規模であり、平均年齢は42歳、平均勤続年数は17.1年、平均年収は846万円となっています。

 

総合化学メーカー ~今後の展望~

総合化学メーカーの今後の展望のキーワードとなるのは『シェールガス』と『協力』です。

シェールガス

2018年にはアメリカで天然ガス由来のエチレン生産が本格化し、安価でアジア地域に入ってくるとみられています。原油(ナフサ)由来のエチレン生産が主流である日本は価格競争で不利になると考えられています。その天然ガスがシェールガスなのです。

価格競争による悪影響を懸念しているなか、総合化学メーカー各社は、製造業の海外移転などにより過剰設備となっていたエチレンプラントの能力削減を進め、付加価値の高い機能素材や材料分野に注力しています。

 

協力

2017年6月19日付の日本経済新聞には、

“三菱ケミカルと住友化学、旭化成、三井化学と物質・材料研究機構は19日、人工知能(AI)を使った新素材の研究開発などで協力すると発表した。( 中略 )共同研究では、各社が過去の実験データを持ち寄って成否に関係なく電子化する。こうしたビッグデータを統計的な手法やAIなどを駆使して解析し、新材料の発見や開発などにつなげる。各社は成果を持ち帰って個別に活用し、新素材の開発などに生かす。”

と報じられており、今後、この取り組みによって新素材が開発されていけば、より一層、国際競争力が高まっていくものと考えられます。

 

総合化学メーカー6社と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

  • 三菱ケミカルホールディングス 1145万円
  • 住友化学 854万円
  • 三井化学 847万円
  • 旭化成 770万円
  • 東ソー 757万円
  • 昭和電工 703万円

総合化学メーカー6社(上記)の平均年収は846万円でした。詳細は、下図を参照ください。

総合化学メーカー、トップ3社の基本情報

三菱ケミカルホールディングス

業界1位の三菱ケミカルホールディングスは、国内最大の総合化学グループという位置づけとなっています。三菱ケミカル(石油化学や機能素材・材料)、田辺三菱製薬(医薬品)、大陽日酸(産業ガス)という化学企業3社を傘下に擁しています。

同社は、サウジ基礎産業公社(SABIC)に合弁として参画、中国石油化工(シノぺック)とも提携しています。

直近の大きなニュースとしては、三菱化学・三菱樹脂・三菱レイヨンが2017年4月に統合しました。スイスのクオドラント、日本合成化学工業、日本ポリプロを傘下に有しています。

基本情報

  • 売上収益:3兆3760億5700万円(国際会計基準)
  • 税引前利益:2583億4300万円(国際会計基準)
  • 社員数:69291名
  • 平均年齢:47.1歳
  • 平均勤続年数:21.6年
  • 平均年収:11,458,880円

 

住友化学

業界2位の住友化学は、合成樹脂や合繊繊維原料、工業薬品などの化学製品を提供しており、石油化学、エネルギー・機能材料、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬品の5部門を有しています。

同社は、大日本住友製薬、ペトロケミカル・シンガポール、ザ・ポレオレフィン・カンパニー(シンガポール)、ペトロ・ラービグ(サウジアラビア)、東友ファインケム(韓国)と出資関係にあります。

基本情報

  • 売上高:1兆9542億8300万円
  • 経常利益:1666億3200万円
  • 社員数:32536名
  • 平均年齢:40歳
  • 平均勤続年数:14.1年
  • 平均年収:8,542,320円

 

三井化学

業界3位の三井化学は、モビリティ、ヘルスケア、フード&パッケージング、暮らしを支える製品といったテーマで化学製品を世に送り出しています。

三井化学東セロ、三井化学アグロを傘下に持つほか、歯科材料世界上位のクルツァー(ドイツ)を2014年に買収しています。

モビリティでは、燃料タンク、バンパー、内装表皮のほか、車載カメラレンズ、リチウムイオン電池安全材料などの新しい製品も展開しています。

同社には次世代、ロボット材料など4つの事業開発室が設けられており、これらの部署をメインに顧客起点型ビジネスモデルへの転換を進めつつ積極的に新しい事業を創出しています。

基本情報

  • 売上高:1兆2122億8200万円
  • 経常利益:971億9600万円
  • 社員数:13423名
  • 平均年齢:41.9歳
  • 平均勤続年数:19.1年
  • 平均年収:8,472,609円

参考文献

  • 株式会社三菱ケミカルホールディングス第12期有価証券報告書
  • 住友化学株式会社第136期有価証券報告書
  • 三井化学株式会社第20期有価証券報告書
  • 日経業界地図2018年版 日本経済新聞出版社
  • 会社四季報業界地図2018年版 東洋経済新報社

 

転職・就職のアドバイス

三菱ケミカルの2018年度募集要項を参考にお伝えしますと、技術系は、理系の方でしかも化学工学、機械、電気、電子制御を専攻されている方のみとなっていて限定的ですが、事務系は文系・理系関係なく全学部全学科の方が対象となっています。

すべての学生に総合化学メーカーに入るチャンスがあるといえます。

職種は、事務系が営業、事業管理、生産管理、経理、人事、総務、購買、物流、情報システム、知的財産などで、技術系は生産技術・製造、設備技術となっています。

 

もちろん、これらは新卒総合職の募集内容となっていますので、キャリア採用で総合化学メーカーに入りたいと思っても、増員や補充案件がないかぎり募集とはならないはずですので、かなり狭き門になるのではと考えます。

そのため、理系、化学業界、研究職などに特化した転職エージェントに支援をお願いし、総合化学メーカーの中途採用情報や転職求人が出てきたら紹介いただけるような環境を構築し、情報漏れのないようにしておきたいものです。

誰にも負けない経歴やスキルがある方はスカウトメールへの登録も有効かと思われます。

 

とくに技術系で入社を目指す方は、大学や大学院でどのような研究に従事してきて、どのような成果を得てきたか、社会人になってからは、どのような企業でどのような研究や生産などに携わってきたかを面接などで説明できるようにまとめておく必要があります。

そして、その経験やスキルを、どのように新天地で活かそうと考えているのか、活かせるのかを論理的にいつでもプレゼンできる状態にしておくのが理想的です。

最後に、化学業界を目指しているのであれば、化学製品がどのような素材からどのような工程を経てどのようなものになるのかに興味を持ち、知識として蓄積していく必要があるのではと感じています。

その研鑽に活用できるのが、特許情報プラットフォームです。

志望する企業名を入れて検索すれば関連する文献が出てきますので、ぜひとも企業研究の一助に利用いただければと思います。

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